「きんぴら」といえばきんぴらごぼう。千切りやささがきにしたごぼうをゴマ油で炒め、砂糖と醤油で甘辛く味付けした昔ながらの日本の味だ。
ところですっかり浸透した呼び名のため、あまり意識したことがなかったが、きんぴらごぼうの「きんぴら」の意味を知っている人って、けっこう少ないんじゃないか?
きんぴらにんじんやきんぴらレンコンもあるし…調理法のことだとは思うのだが、それにしたってきんぴらの意味がわからない。今回はそんなきんぴらごぼうの「きんぴら」に関する雑学だ!
【食べ物雑学】きんぴらごぼうの「きんぴら」ってなに?
【雑学解説】きんぴらごぼうを食べれば強くなれる!
きんぴらごぼうのきんぴらの由来は、江戸時代に流行した伝統的な人形劇・人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)の作品『金平浄瑠璃』に登場する主人公「坂田金平(さかたのきんぴら)」である。
そういえばきんぴらごぼうは漢字で「金平牛蒡」だった。漢字で書くと可愛らしいイメージが一気に勇ましくなる。
なんか似たような名前をどこかで聞いたことがあるぞ…と思った人もいるだろう。そう、金平は昔話の金太郎のモデルにもなった、坂田金時の子息という設定で考えられたヒーローなのだ!
金平は父親譲りでめっぽう強く、向かうところ敵なしの人物として描かれた。そこから強いものや丈夫なもの、立派なものを表す言葉として「きんぴら」が使われるようになったのである。
きんぴらごぼうを食べると精力が増強されて元気になる。すなわち丈夫な体を作れることが、きんぴらという名前に繋がっているのだ!
なんだかきんぴらごぼう食べたくなってきた! という人のために、レシピ動画も紹介しておこう。
ごぼうの切り方で食感が変わる! いつものきんぴらに飽きてきたら、違う切り方を試してみよう。
ちなみににんじんやレンコンなど、ごぼう以外の食材にもきんぴらが使われているのは、時代を追うごとに本来の意味合いが薄れ、調理法自体にその言葉のイメージが付いたからだろう。
【追加雑学①】きんぴら足袋・きんぴら糊もある
きんぴらが「強い・丈夫」を表す言葉であることの証拠に、破れないように丈夫に作られた「きんぴら足袋」という足袋があったり、にかわを混ぜることで接着力を強くした「きんぴら糊」というものがあったりする。
またその昔は男勝りのおてんば娘をそのまま「きんぴら」と呼ぶこともあったというぞ! うーむ、本家の坂田金平は強い男の象徴なのに、女性のニックネームになってしまうとは…。
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【追加雑学②】きんぴらごぼうは江戸時代の人気料理!
江戸時代には「見立番付(みたてばんづけ)」という、相撲の番付に見立ててさまざまなもののランキングを作るのが、庶民の間で流行ったのだとか。
なかにはもちろんお料理ランキングの「日々徳用倹約料理角力取組(ひびとくようけんやくりょうりすもうとりくみ)」もあり、きんぴらごぼうは上位にランキングされている。
坂田金平が江戸時代のスーパーヒーローなら、その名を受け継いだきんぴらごぼうもまた人気者。なるほど、坂田金平がきんぴらごぼうの広告塔になっていた可能性もあるかも? マスコットと呼ぶには少々イカツイ感じがするが。
それにしても…料理のランキングにまで「相撲」という名称が入ってくるとは、江戸時代はランキング=相撲が直結していたのか。そういえば金太郎も相撲が強いし…関係ないけど。
以下の動画では、東京江戸博物館に展示されている見立番付を見ることができるぞ!
動画内では、景観や祭りなどをランキングしたものが紹介されていた。ランキングなどと呼ぶといきなり現代っぽくなるが、江戸時代のそれはちゃんと日本人風情あふれる内容になっている。
きんぴらごぼうにしてもまたしかり。やはり日本人らしい伝統食なのだ。
きんぴらごぼうの雑学まとめ
今回の雑学はきんぴらごぼうの「きんぴら」にまつわるもの。その言葉の由来は江戸時代に活躍した架空のヒーロー・坂田金平の力強い姿にあった!
名前そのものが強さの象徴になっていったなんて、金平の物語を考えた人としても冥利につきるだろう。現代でも強い人に「悟空」などとニックネームを付けてみたり…うん…それはないか。