国を代表する花のことを「国花」、そして鳥のことは「国鳥」という。日本の国花はサクラとキク、国鳥はキジということをご存知の方は多いだろう。
しかし「国○」シリーズには、「国菌(こっきん)」というものもあるのを知っているだろうか? 国菌…つまり国を代表する「菌」ということである。
今回は、そんな知られざる国菌についての雑学をご紹介していくぞ!
【生活雑学】国花や国鳥以外に「国菌」も存在する
【雑学解説】日本の国菌は「麹菌」
今や世界的にも注目されている和食。味噌や醤油をはじめとした発酵調味料がベースとなっており、健康的だと海外でも大人気である。また、ユネスコ無形文化遺産に登録されたことも記憶に新しい。
そんな日本の伝統的調味料に欠かせないのが「麹(こうじ)」であり、それの元となる「麹菌」という菌の存在だ。SAKEの愛称で外国人にも大人気の日本酒も、麹でできている。また、日本国内でも昨今、塩麹・醤油麹や甘酒などの麹ブームが起きている。
2006年、この麹菌が日本を代表する菌・国菌として認められた。これを認定したのは「日本醸造学会」。1906年に明治政府により作られたという、醸造業の進歩・発展を目指す歴史ある団体なのだ。
ちなみに、麹菌の学名は「アスペルギルス・オリゼー」である。えぇ! めっちゃかっこよくない?!
麹菌の歴史
麹菌は我が国を代表する菌であるがゆえに、やはりその歴史は古い。一説によると、弥生時代に稲作とともに伝わったともいわれている。
なお、奈良時代に編纂された書物の中には、麹菌を使って酒を醸造したという記述が残されている。現存する中では最古といわれる、日本酒醸造について書かれている書物「播磨国風土記」である。
この中で、「うわぁ~ヤバ~い! 神様にお供えしてたご飯にカビが生えちゃったぁ~☆ でも、とりあえずこれでお酒作ってまた神様にお供えしなおして、お祭り騒ぎしちゃったんだよねぇ~!」と記されている。この「ご飯のカビ」が、麹菌なのである。
当時のカビに対する考え方は現代とは違うものかもしれないが、カビたお供え物をリサイクルして、何事もなかったかのようにまたお供えするとは、なかなかの強者がいたものである。
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【追加雑学】やんちゃな時代もあったといわれる麹菌
古くより日本人の食を支えてきた麹菌。しかし、この麹菌は、昔はかなり凶暴な存在であったのではないかといわれている。
はるか昔、まだ野生にいたころ、麹菌は荒くれ者であった。バリバリのツッパリ(死語)だったのである。
どれだけヤバかったというと、ヤツらはなんと、自然界に存在する物の中では最強の発がん性物質を作り出すほどの毒があったというのだ! この猛毒はアフラトキシンと呼ばれ、肝細胞がんを引き起こす元となっている、かなり危ないヤツである。
そんなギザギザハートを持っていた麹菌を丸くさせたのは、「もやし屋」の存在である。いわば、暴走族を更生させた熱血教師といったところであろうか。
この「もやし」とは、野菜のことではない。麹の元になる種麹菌のことをもやしと呼び、もやし屋とはそれを製造している店のことである。このもやし屋が何百年という長い時をかけて、荒ぶる麹菌の無毒化に成功したのだという。不良は、一夜にして更生しないのである。
ちなみに、もやし屋は全国でも10軒に満たないごく少数ではあるが、現代でも存在している。その中でも、京都にある「菱六」というもやし屋は、なんと創業360年以上という超老舗である。
雑学まとめ
国菌についての雑学、いかがだっただろうか。日本を代表する菌・国菌は「麹菌」であるが、これが設定されたのは2006年と比較的新しい。
調味料から酒造りまで、さまざまなシーンで使われる日本の食文化のベースとなっている麹菌だが、その昔は猛毒を持ったかなりヤバいヤツだったのである。
昔相当なやんちゃしていたヤツほど、立ち直ると驚くほどいいヤツになったりするものだ。麹菌はそのいい例のひとつではなかろうか?
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