鳥居・五十音・はい・いいえが書かれた紙に10円玉を置き、参加者全員が10円玉の上に指を置いて「こっくりさん、こっくりさん、おいでください」という呪文を唱え、霊を呼び寄せて占いをする「こっくりさん」。
ホラーの題材にも使われ、禁止令が出た学校もあるという「こっくりさん」は、実は西洋生まれということを知っているだろうか?
今回は、知っているようで知らない「こっくりさん」についての雑学を紹介しよう。
【世界雑学】「こっくりさん」は西洋生まれ
【雑学解説】アメリカを通して渡ってきた「こっくりさん」
私が子供のころには、すでに「こっくりさん」の噂があったので、日本に昔からあるオカルトの1つだと思っていた。しかし、そのルーツは西洋にあったのだ。西洋では「テーブル・ターニング」や「ウィジャーボード」が、日本における「こっくりさん」だ。
日本には明治時代から伝わり、現在ではホラーの題材の1つとしてよく知られている。
テーブル・ターニング
「テーブル・ターニング」というのは、丸いテーブルの回りに複数人が集まって、テーブルに手を乗せて呪文を唱えて神様を呼ぶ占いである。「イエス」ならテーブルの足を1回叩き、「ノー」なら2回地面を叩く。
この「テーブル・ターニング」が明治時代にアメリカから日本に伝わってきて、テーブルが「こっくり、こっくり」と傾く様子から、「こっくりさん」と名付けられた。
そして日本では、テーブルの代わりに3本の竹の上におひつのお盆を乗せて、布をかぶせた。そこに手を乗せて、その傾きによって占いを行ったのだ。
「こっくりさん」といえば、10円玉と紙を使ったイメージがあるのだが、おひつを使った方法もあったとは知らない人は多いだろう。私も10円玉と紙を使う以外にも、「こっくりさん」をやる方法があるんだと思ったほどだ。
歴史的にはこちらが古いのだが、次に紹介する「ウィジャーボード」が伝わり、時が流れるにつれて「ウィジャーボード」由来のこっくりさんが有名になったのかもしれない。
ウィジャーボード
私たちがよく知る、10円玉と紙を使った方法は、「ウィジャーボード」に由来する。
「ウィジャーボード」とは、1892年にアメリカのパーカー・ブラザーズ社が開発した占い用のゲームだ。1枚のボードに、アルファベット・アラビア数字・「イエス・ノー・グッバイ」の文字が書かれており、まさによく知られている「こっくりさん」に似ている。
これは私の推測なのだが、先ほど紹介した「テーブル・ターニング」由来の「こっくりさん」は、竹やおひつなど準備しなければならない物が多い。
しかし、「ウィジャーボード」由来の「こっくり」さんは、10円玉と紙があればどこでもできるという利点がある。そういった気軽にできるポイントから、こちらの方法の「こっくりさん」が広まったのかもしれない。
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【追加雑学】戦時中の「こっくりさん」エピソード
「お帰りください」といっても帰ってくれない、「呪う」など不吉な言葉を回答してくるなど、怖いエピソードの多い「こっくりさん」。私もホラーなイメージしかない。しかし、「こっくりさん」にはこんなエピソードがある。
松谷みよ子という人が書いた「現代民話考2」という本には、「こっくりさん」にまつわる話が2つある。どちらも太平洋戦争中のもので、海外の戦地に行った日本兵たちが、「こっくりさん」で占いをした。
1つ目の話では、「戦争がいつ終わるのか?」という質問だった。こっくりさんが答えるには、「昭和23年に日本が大勝利」とのこと。しかし、実際には負けてしまった。その理由を聞くと、こっくりさんはこう答えた。
「原爆に驚いた」
さすがのこっくりさんも、終戦の決定打となる原爆を予想することができなかったようだ。
2つ目の話では、「戦争の勝敗はどうなるのか?」という質問。こっくりさんが答えるには、「来年の7月に負ける」というものだった。
この占いが太平洋戦争中いつ行われたのかは分からなかったが、実際に終わったのが8月という点を考えると、「7月」という答えはなかなか惜しい占いだったと思う。
たとえ海外に行っていても、海を越えて占いをしてくれることが分かるエピソードだ。このエピソードを見たとき、ホラーなイメージから、少々意外な印象を受けたことを覚えている。
雑学まとめ
意外にも西洋生まれだった「こっくりさん」についての雑学をご紹介してきた。もともと「テーブル・ターニング」や「ウィジャーボード」というものが、明治時代にアメリカから日本に渡ってきて、日本流にアレンジされて今の「こっくりさん」になっている。
「降霊術」というオカルトな要素があるからなのか、今ではすっかりホラーの題材の1つとなってしまった。
もともとこっくりさんが怖い存在だったからなのか、私たちが「こっくりさんはヤバイ、怖い」といい続けたから怖い存在になっているのか…今でも不明である。