樽の穴のどれかにハズレがあって、ハズレに剣を刺すと黒ひげが飛び出す。まるでロシアンルーレットのように、ビクビクしながら順番に剣を刺していき、飛び出させた人が負け…そう、みなさんご存知「黒ひげ危機一髪」だ。
若い人は知らないかもしれないが、そこそこの年齢になるとみんな知っている。もちろん飛び出させた人が負けというルールも当たり前である。
しかし…発売当初は今とルールが少し違ったというぞ? え…それ以外の遊び方っていったい? 今回はそんな黒ひげ危機一髪にまつわるトリビアを紹介しよう。
【面白い雑学】「黒ひげ危機一髪」のルールはもともと真逆!
【雑学解説】「黒ひげ危機一髪」の本来のルールとは?
黒ひげ危機一髪が発売されたのは1975年の話で、当初は今とはまた違うストーリーが設定されていた。「縛られている海賊の親分の縄を、仲間たちが剣で斬って助ける」というものだ。
…ん? 助けてあげるゲームってことは…? ズバリその通りで、当初は「飛び出させた人が勝ち」というコンセプトで発売されたおもちゃなのである。…助けてるようには見えないが。
またこのコンセプトになったことにも裏話があり、タカラトミーの企画会議にて「飛び出させた人が負けだと、剣を奥まで刺さずにズルをする人が出てくる」という意見が出たのだという。
なるほど、さすがタカラトミー。子どもの心理をよくわかっていらっしゃる。つまりズル防止のために、海賊の親分を助けるゲームになったわけか!
…じゃあ、どうして今は「飛び出させたら負け」というルールになっているんだ?
「黒ひげ危機一髪」のルールが変わった理由
飛び出させたら勝ちという当初のルールに対して、消費者からは「飛び出したらびっくりするのに、勝ちってなんか変じゃね?」という意見が頻繁に寄せられていた。
そして極めつけは発売の翌年から放送を開始したフジテレビ系「クイズ・ドレミファドン!」にて黒ひげ危機一髪が使われ、番組内では「飛び出させたら減点」という方式が取られたことだ。
当時のテレビの影響力は、テレビ離れが進んだ今より数倍すごい。こうして飛び出したら負けのルールは、瞬く間に世間へと広まっていったのである。
これを経て1979年にはタカラトミーも「飛び出させた人が勝ち、または負け」という、半ば投げやりなルールを正式に記載するようになる。要は遊ぶ人で勝手に決めてくれということだ。
もちろんその後も飛び出させたら勝ち、なんてルールで遊ぶ人が少なかったことはいうまでもない。
そんな「飛び出させたら負け」優勢の状態が続いた挙句、1995年になってようやく、タカラトミーもこれを正式ルールに採用するのだ。…ねばったなあ…。
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【追加雑学】豊富なバリエーションがある黒ひげ危機一髪!
発売から40年以上の歴史を誇る黒ひげ危機一髪には、これまでにたくさんのバリエーションが登場しているぞ!
- ドラム缶に剣を刺し水が飛び出す
- 黒ひげではなく、人気キャラクターが飛び出す(ドラえもんなど)
- 黒ひげではなく、芸能人が飛び出す(マツコ・デラックスなど)
このようなコラボ商品はもちろん、持ち運びに便利なキーチェーンやストラップ版などもある。そしてもっともインパクトがあるのは、通常より5倍飛ぶ「超飛びジャンボ黒ひげ危機一髪」だろう! 以下が発売当時のCMである。
設計ミスというあからさまなフィクションはもとより、淡々とした語り口調がジワジワくる…。センスあふれるCM…やっぱりさすがタカラトミーだ。
「黒ひげ危機一髪」の雑学まとめ
今回紹介したのは、タカラトミーのロングセラーおもちゃ・黒ひげ危機一髪のルールにまつわるトリビア。「飛び出させたら勝ち」という当初のルールは世間から受け入れられず、徐々に息を潜めていった。
しかしそれでも「飛び出させたら負け」が正式にルールになったのは、発売から20年後のこと。タカラトミー…どんだけ負けず嫌いなんだ…。