一緒に生活している家族や、恋人へ届いた郵便物。何も考えずに開封したことはあるだろうか? 実は、自分以外の郵便物を勝手に開封すると罪になるらしいのだ。これはたとえ、親しい間柄であっても、家族であってもというのだ。
しかし、郵便物と一言でいってもいろいろとある。お店などから来たダイレクトメールや、広告・友人などからの手紙・請求書などなど。数ある種類の郵便物、そのどれもが他人あての郵便物を開封すると罪になるのだろうか?
ダイレクトメールやお店からのお知らせなどは、別に開けても良いような気がするのだが。もちろん、手紙は開封してはダメな気がするが。罪というより人としてのマナーである。
これはどこまでが罪になるのだろうか。今回は、他人の郵便物に関する雑学について詳しく見ていこう。
【ルール雑学】他人あての郵便物を勝手に開封すると罪になる。たとえ家族でも。
【雑学解説】信書開封罪とは人のプライバシーを侵す罪のこと
他人あての郵便物を開封すると、信書開封罪という罪になる。信書開封罪とは、秘密やプライバシーを侵す罪のことである。
【刑法第133条】
正当な理由がないのに、封のしてある信書を開けた者は、1年以下の懲役又は20万以下の罰金に処する。
刑法を見てみると、実は重い罪であることがわかる。では、信書とはどんなものだろうか?
信書は「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、または事実を通知する文書」という定義がある。簡単にいえば、送り主が指定した相手に対し、必ず伝えなければいけない文書のことである。
たとえば、領収書や契約書などの請求書の類・結婚式等の招待状・住民票などの証明書の類である。
では、信書にあたらない郵便物はというと、新聞や雑誌などの書籍、小切手やカタログなど文書に特定の氏名が入っていないものである。もちろん個人間でやり取りされている手紙も信書となる。
郵便物を開けてもいい条件とは?
さて、お気づきだろうか。
正当な理由があれば、万が一他人あての信書を開封してしまっても罪には問われない。家族間で他人の郵便物を開けるとしたら、もっとも多いのは妻が夫あての信書を開封することだろう。
夫婦は同じ生活を共にするのだから、たとえば光熱費関係の請求書などの信書が夫あてに届く。それを妻が開封しても罪には問われない。
また、子供に関する学校などからの文書も夫宛てに届くだろうが、これを妻が開封しても罪にはならない。正当な理由として認められるからだ。
しかし、これが夫の友人から夫宛てへ届いた手紙を妻が開けてしまうと、正当な理由とは認められない。手紙はプライバシーが高いものだからだ。
また、たとえば夫婦や親子であっても別居している場合には、罪に問われる可能性が高い。
さらに注意してほしいことは、信書開封罪は実際に、中身を読んだかどうかは問題ではなく、封を開けた時点で罪になる。しかし、信書開封罪は親告罪であり、つまり被害に遭った側が訴えなければ特にお咎めはない。
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【追加雑学】誤配された郵便物を開けてしまったら?
賃貸マンションなどに住んでいる人は経験があるだろうか。以前に住んでいた人宛てに郵便物が届いたり、はたまたご近所の似たような住所や名前で誤配されたり。
間違って配達された郵便物を、よく確認せず封を開けてしまったら、これは罪になるのか?
これは、誤配が原因なので気が付かずに開封してしまった場合は、改めて封をして、郵便物の表面に誤配があり、誤って開封してしまったこと、氏名と住所を書いた付箋などを貼り、郵便ポストに入れる。
あるいは最寄りの郵便局へもっていき、誤配があり開封してしまったことを伝えれば良い。
宅配便などから配達されるメール便などは、郵便局で配達していないので、その宅急便センターなどに連絡しよう。あくまで誤配があり、誤って開封してしまった場合だ。
開封する前に気が付いたときにはすぐに郵便ポストへ入れればよし。意図的に開封すれば、罪になる可能性があるので注意しよう。
雑学まとめ
今回は他人宛ての郵便物を開封すると罪になることがあるという雑学をご紹介してきた。
あなたは家族あての郵便物を開封したことはあるだろうか? なんでもかんでも罪になる、というわけではなく、明らかにプライバシーの侵害となりそうな手紙や契約書など、「常識に考えて見ちゃだめだろう」と思われるものを開けると罪になる、という認識で大丈夫そうである。
しかし、このプライバシー満載そうな個人間での手紙も、非常時には開封しても罪に問われない。たとえば行方不明になったり、連絡が数日間つかない、などである。
正当な理由があれば、どんな信書も開封して罪に問われる可能性は低い。ところが、これが妻が夫の浮気を疑って、手紙を開封するのは、残念ながら正当な理由にならないので注意が必要だ。
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