プリンやゼリーにちょこんとのっかった「かわいいアイツ」。生とはまた違った魅力のある、缶詰のフルーツだ。筆者は子どものころから缶詰のフルーツは特別な気がして、デザートに入っているとテンションが上がっていた。
中でも不思議だったのがシロップ漬けの缶詰みかん。こたつで自分で皮をむくと、白いスジがいっぱいについてくる。缶詰みかんにはゴソゴソしたスジも、薄皮も見当たらない。
大人になってからあれはどうやって作っているんだろうと疑問に思った。まさか手作業では気が遠くなってしまう。調べてみると、ちょっとビックリする方法で処理されていた! 今回はその驚きの方法についての雑学を紹介しよう!
【食べ物雑学】缶詰のみかんの薄皮は塩酸で処理されている
【雑学解説】みかんの缶詰は想像以上にハイテク技術の結晶だった
塩酸! 理科の実験で使った「劇薬」としての記憶が濃い。勝手なイメージだが、素手で触ると手が溶けちゃいそうだ…。実はみかんの薄皮もその理屈で、ぬるっと溶かして落としているのだ。
みかんの缶詰の作り方は、ほぼ全て機械で行われている。まず蒸気を当ててふやかした外皮を機械でおおまかにむき取る。次にみかん本体を水流で押し流し、ゴム糸を張った装置を通過させてひと房ごとにバラバラにする。
この後がいよいよ薄皮の処理だ。ここで科学の力の出番である。薄い塩酸溶液(約0.5%)に漬けたあと、薄い水酸化ナトリウム溶液(約0.3%)に漬けると、薄皮は魔法のようにはがれていくのだ!
塩酸は酸性なので、アルカリ性の水酸化ナトリウムで中和し、さらにその後で約1時間は水洗・水さらしを行う。使用する塩酸は食品添加物に指定されている純度の高いものだし、きわめて薄い。水さらしの段階で完全に除去されるので安心なのだそうだ。
【追加雑学①】なぜ溶ける? 薄皮が溶ける仕組みと「つぶつぶみかん」
塩酸はたしかに「溶かす」イメージが強いが、どうして薄皮が簡単にむけてしまうのだろう?
みかんの薄皮の成分は「セルロース」という、水に溶けないじょうぶな食物繊維である。しかし、これに塩酸を加えると性質が水に溶ける「水溶性」に変化するのだ。このおかげで、あの薄皮も手間なくスルっとむけてくれる。
ちなみに、薄皮の処理中に圧力をかけると、みかんの房の中まで塩酸が浸透。薄皮だけでなく房のセルロースまで分解されて、みかんのつぶつぶがすべてバラバラになる。よく缶飲料に「つぶつぶ」のみかんがあるが、あれはこの加工で作っているのだ。
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【追加雑学②】まるで科学の実験。自宅なら「重曹」があれば自分でも薄皮をむける
台所でにおい消しや掃除に使われる「重曹(ベーキングソーダ)」があれば、自分でみかんの薄皮をむくこともできる。重曹はスーパーなどで売っているので、簡単に手に入る。
方法は簡単、水500mlに対して重曹を大さじ1入れ、吹きこぼれに注意しながらお湯を沸かす。ひと房ごとにバラしたみかんをゆで、薄皮が溶けたらそっと水洗いすれば、薄皮は魔法のようになくなっている。
工場の塩酸のように強力な薬品ではないが、家庭ならこの方法で簡単に薄皮をむくことができるのだ。小学生なら科学の実験のように楽しむことができるだろう…筆者もいい年だけどやってみたい。
作りたい! 自宅で大量生産、みかんシロップ漬け
市販の缶詰レベルのシロップ漬けを作る方法も動画で発見してしまった。あの缶詰みかんを、好きなだけ食べられるとは。これはもう作るしかない!
雑学まとめ
しつこいようだが、市販の缶詰みかんを食べたところで、健康にはなんの害もない。塩酸と聞いて初めはビックリしたが、しっかり除去されているので安心しよう。
今回の雑学で紹介したように、みかんの缶詰には想像以上に科学の力が利用されていた。この薄皮むきを小学校で実験にしたら、子どもはみんな喜ぶのではないだろうか? 実験のあとにみかんの実食があればテンションも上がりそうである。
さっそく筆者もシロップ漬けを手作りして、好きなだけ「あのみかん」を食べようと思う。みかんがたくさん余っている人はぜひお試しあれ!
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