日本を代表する産業といえば、自動車産業であろう。
そして、日本の自動車メーカーといえば「トヨタ」「ホンダ」「マツダ」など、創業者の名前が社名の由来であることが多いのが特徴である。
だが、各社の英語表記を見ると、トヨタは「TOYOTA」であり、ホンダは「Honda」であるのに、マツダは「Mazda」。日本語を素直にローマ字にすると「ツ」の部分は「tsu」であるが、なぜか「z」なのだ。
これを見て、とても不思議に思わないだろうか? 少なくとも、私はすごく不思議に思った。今回の雑学では「Mazda」の表記について詳しく解説していきたい。
【生活雑学】車メーカー・マツダの英語表記はなぜ「Matsuda」ではなく「Mazda」なのか?
【雑学解説】マツダの社名の由来と英語表記の関連性
まずは、マツダという日本名について紹介しよう。
マツダはもともと「東洋工業」という社名であるが、1931年に当時の社長である松田重次郎を中心に開発した三輪トラック「マツダ号」を世に送り出したのが「マツダ」という社名の由来である。
それならば、英語名は素直に「Matsuda」にすればいいのでは? と思うかもしれない。
しかし、社名を英語にする際、松田の姓に加えて西アジアのゾロアスター教の神様であるアフラ・マズダ(Ahura Mazda)からも名前を拝借したのが「Mazda」の由来なのである。
アフラ・マズダはゾロアスター教における叡智・理性・調和の神であり、「東西文明と自動車文明のシンボルとして捉え、自動車産業の光明となることを願って」名付けられたとのこと。
単なる松田のローマ字表記ではなく、一捻り加えた発想力には感心するしかない。
【追加雑学①】マツダはもともとコルクを製造する会社だった
現在では自動車メーカーとして有名であり、「ロードスター」など海外でも人気の車を販売しているマツダであるが、じつは創業当初は自動車とはまったく関係のない会社だったのだ。
マツダの前身となる東洋工業は、1920年(大正9年)の創業時には「東洋コルク」という社名であり、その名のとおりワインの栓などに使うコルクを製造する会社であった。
しかし、大正時代末期に、不景気や工場の火災などでコルク事業は赤字に転落する。そこで先ほども登場した当時の社長・松田重次郎が事業の方針転換を図り、1927年(昭和2年)に社名を東洋工業へと変更。発動機やエンジンなどの開発をメイン事業とする会社に生まれ変わったのだ。
ちなみに、東洋工業からマツダへと社名が変更されたのは1984年(昭和59年)のことであるが、現在も創業者一族である松田家が株式を所有するプロ野球の「広島東洋カープ」の名称に旧社名の名残がある。
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【追加雑学②】その他の車メーカーやブランド名の由来
冒頭では「トヨタ」「ホンダ」などの由来がわかりやすい自動車メーカーを挙げたが、パッと見ただけでは由来がわかりづらい自動車メーカーやブランド名も存在する。ここでは、そんなメーカーやブランド名について説明しよう。
ダイハツ
トヨタグループに属する「ダイハツ」であるが、もともとは1907年に大阪で創業した「発動機製造株式会社」という発動機メーカーであった。
しかし、当時は「発動機」を冠する名前の会社が多く、「大阪の発動機」と呼ばれたことから、それを短縮して「大発=ダイハツ」になったという。
SUBARU
「SUBARU」は、「富士重工業株式会社(富士重工)」が販売する自動車のブランド名であったが、2017年に社名そのものを「株式会社SUBARU」に変更した。
SUBARU(スバル)の名前は、昴ことプレアデス星団が由来であり、「六連星(むつらぼし)」とも呼ばれる6つの星からなる星座のことである。では、なぜ昴が由来なのか?
同社はもともと航空機メーカー「中島飛行機」という会社であったが、戦後の財閥解体で15社以上に分割されてしまう。
その後、1953年(昭和28年)に旧・中島飛行機グループの5社が出資して富士重工を設立し、1954年(昭和29年)には富士重工が出資した5社を吸収して、新しいスタートをきった。
つまり、富士重工の成り立ちは「1つの星(富士重工)と5つの星(出資会社)」であり、それと昴を重ね合わせたのがSUBARUという名称の由来なのだ。
レクサス
「レクサス(Lexus)」は、かつての「安くて壊れにくい大衆車」というイメージを払拭するためにトヨタが築いた高級車ブランド。
名前の由来は「ラグジュアリー」と「最先端テクノロジー」を組み合わせた造語であるらしいが、どうみてもテクノロジーの部分が見つからない気がするのは自分だけだろうか?
なお、レクサスについては他にも説があり、ドイツ語の「Luxus(贅沢)」が由来とする説もある。そちらの方が自然な印象ではある。
雑学まとめ
今回の雑学では「マツダ」の会社名の由来にスポットをあててみた。「マツダ」という日本ではありふれた姓が由来かと思いきや、神様の名前も含まれているとは、とても意外であった。
企業名の由来には、創業者の熱い思いや意気込みなどが込められているといういい例であろう。
ありふれた名前の企業名や商品名でも、由来を調べてみると秘められた思いなどを知ることができて面白いかもしれない。
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