みたらし団子。ほんのり焦げたお団子に、からみつく甘い醤油だれ。私は小さい頃からみたらし団子が大好きだった。
田舎暮らしの私は、たまに都会に連れて行ってもらったとき、お土産はおしゃれなケーキではなく、有名店のみたらし団子をねだって買ってもらった。そんな大好きなみたらし団子が、漢字で書くと「御手洗団子(みたらしだんご)」となると知ったのは、ずいぶん大人になってからだ。
知らない人が読むと「おてあらいだんご」と読んでしまう危うさ…。「御手洗」という漢字は、団子の形状や味には関係してなさそうだ。では、なぜこの漢字なのか?
【食べ物雑学】みたらし団子の由来とは?
【雑学解説】みたらし団子はなぜ「御手洗」が由来になった?
「御手洗(みたらし)」は辞書では、「神社の社頭にあって、参拝者が手や口を浄めるところ。手水をつかうところ」とあり「御手洗川・御手洗祭の略」ともある。
「御手洗川」とは、「神社の近くを流れていて、参拝者が口をすすぎ手を洗い清める川。京都の下鴨神社のものが有名」とのこと。
今のように手水舎(ちょうずや)のようなものはなく、昔は近くの川で手や口を浄めてからお参りしていたため、「御手洗川」と呼ばれる川は全国にたくさんある。
中でも京都の下鴨神社には毎年7月に「御手洗祭」という神事があり、土用の丑の日の前後4日間に境内を流れる「御手洗川」に足をつけると、無病息災が叶えられるという。
このお祭りの際に、神社の氏子(うじこ)がお供えをしたお団子が「御手洗団子」の始まりといわれている。また、人がたくさん集まるお祭りどきに合わせて、境内でこのお団子を売る店が出始め、「御手洗団子」という名前と共に全国に広がっていった。
さすが関西、商売上手である。
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【追加雑学】みたらし団子の「5つの団子」の意味とは?
下鴨神社の御手洗団子は串にお団子が5個ついている。しかも一番上に1つささり、少しあいだを開けて4つのお団子が刺さっていて、初めて見たときは「店主のいたずらか?」と思うほど違和感がある。
これには2つ諸説がある。
- 鎌倉時代に後醍醐天皇が下鴨神社を訪れた際に御手洗川で水をすくったところ、最初に1つ大きな泡がでて、次に4つの泡が続いて出てきたという逸話からとった説。
- 人の体を団子で模していて、一番上を頭、あとの4つを四肢としている説。
人の体と思うと若干怖い気もするが、食べることによって、厄除けの意味をもっているとのことなので、躊躇なくいただこう。
みたらし団子の団子の数は、関東と関西で違う!
今では、どこでも手軽に買えるようになった御手洗団子。コンビニやスーパーでもよく見かけるが、大抵お団子は4つ。関西のお店などは5つが多いが、関東では4つだったり、3つだったり。
関西で5つが多いのは、やはり下鴨神社の御手洗団子との関係が深い。では、関東の4つは何に由来しているか? 実は、江戸時代の貨幣の流通に関係がある。
関東でも江戸時代お団子は5つ刺しが基本で、1本5文で売られていた。しかし、4文銭が作られ流通していくと、4文銭を出しておいて、5つ刺しのお団子を食べるという客が増えたため、困ったお店は、逆にお団子の方を4つにすることにした。
関東でお団子が4つになったのは、いわば、困った客への対策が広まったためであった。
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みたらし団子の雑学まとめ
御手洗団子の「御手洗」の由来についてご紹介した。御手洗団子の歴史の深さや意味を知ることができ、今まで何も考えずにひたすらおいしいからと食べていた自分を反省した。
京都を訪れた際には、下鴨神社へ参拝し、ぜひ本場の御手洗団子を食べていただきたい。