紅葉狩りといえば秋の風物詩だが、その紅葉狩りに対して、妙なことを言う人を見かけたことがある。紅葉はそのまま読んでも「モミジ」と読めるぐらいなのに、「カエデの紅葉」などと言っているのだ。
いや、だから紅葉はモミジのことで…あれ? 言われてみるとカエデとモミジはよく似ている。カナダの国旗はメープルで、つまりカエデのことだが、あれもまるっきりモミジじゃないか?
あーもう! 何がモミジで何がカエデなんだ! と、真相に迫ってみたところ、意外な事実が発覚したぞ!
【自然雑学】モミジとカエデの違いとは?
【雑学解説】カエデの中で色が変わるものをモミジという
カエデはムクロジ科カエデ属の木。一方でモミジはなんなのかというと、このカエデのなかで色の変わる葉をつけるもののことだ。つまりモミジはカエデの一種なのである。日本で一番よく目にするイロハモミジも「イロハカエデ」と呼ばれることがあるぞ!
ちなみに、色付いた葉のカエデをモミジと呼ぶのは日本人だけだ。カナダの国旗は色付いたカエデの葉だが、カナダの人たちはあれをモミジとは呼ばない。四季に対する日本人の敏感さが垣間見える呼び名である。
しかし園芸や盆栽の業界では、単に色付いているからモミジとはせず、さらに明確に区別されている。
- カエデ…大きめの葉・浅い切れ込みが3つ程度
- モミジ…小さめの葉・深い切れ込みが5つ以上
といった感じだ。芸術的観点からいえば、それぞれ呼び分けられていたほうが扱いやすいのだろう。
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【追加雑学】モミジとカエデの語源は?
モミジの由来を辿ると、その起源は平安時代にまで遡る。もとは秋に草木が紅葉することに対して、色を揉みだすという意味を込めて「もみづ」・「もみつ」などと言っていたという。
これを名詞化したものが「もみち」で、時代を追うごとに「もみぢ」→「もみじ」と変化していったのだとか。平安時代にはすでに、モミジを手に乗せて鑑賞する風潮があったというし、昔から秋の代名詞だったのだろう。
一方、カエデの語源はシンプルで、カエデの葉が「蛙の手」に似ていたことからだという。そこから「カエルデ」と呼ばれ、これもまた「カエデ」へと変化していったのだ。こちらは蛙の手に似ているという発想がなんだか可愛らしく思える。
最後に京都嵐山、宝厳院の紅葉を撮影した動画を紹介しておこう!
雑学まとめ
モミジとカエデ。よく似ているとは思っていたが、まさかまったく同じ植物だったとは! そしてモミジという呼び名が、日本だけのものだというのもなんだか誇らしい。
外国人と紅葉を見る機会があったら、「日本では色付いた葉のカエデをモミジって言うんだよ!」と教えてあげたい気持ちになった。日本好きの外国人なら、喜んでくれるに違いない!