現代の日本には、数多くの外来語が存在している。身近なところでいうとコップ、スプーン、マッシュルームなどであろうか。…と強引にマッシュルームを出したことでお気づきの方もいるだろうが、今回の雑学テーマはマッシュルームである。
「マッシュルーム」を日本語にすると「きのこ」だと思われている方が多いだろう。それはその通りで、マッシュルームはきのこ全般を指す言葉だ。しいたけマッシュルームと言えばしいたけ、しめじマッシュルームといえばしめじを指すことになる。
しかし。ただ「マッシュルーム」を思い浮かべて、と言われた時にしいたけを思い浮かべる人はいないはず。そう。今回のテーマは「マッシュルーム」といわれるあのきのこを日本語でいうと何なのだろうか、ということである。
【食べ物雑学】マッシュルームを日本語でいうと?
【雑学解説】マッシュルームとはハラタケ科のツクリタケのこと
マッシュルームとしてよく知られているあのきのこは、学名を「Agaricus bisporus」、和名を「ツクリタケ」というのだ。
正直に申し上げると、マッシュルームを日本語で何と呼ぶかなんて気にしたことがなく、マッシュルームにも日本語の名前があったことに感心した。
マッシュルームには主に生鮮流通品として扱われるホワイト種・オフホワイト種と、加工用として好まれるクリーム種・ブラウン種がある。
いわれてみれば、スープやパスタソースに入っているマッシュルームは茶色いが、スーパーなどに並んでいるマッシュルームは白っぽいものが多い。加熱すると色が変わるのかと思っていたが、単純に品種の違いだったようである。
【追加雑学①】マッシュルームは当初「西洋マツタケ」と呼ばれていた
マッシュルーム栽培が日本で始められたのは1922年といわれている。
アメリカやヨーロッパでマッシュルーム栽培を学んできた森本彦三郎氏が、日本での栽培に成功・普及したのだ。この時についた名前が「西洋マツタケ」である。今ではマッシュルームと呼ぶのが主流だが、現在でもセイヨウマツタケと呼ぶ場合もあるようだ。
ちなみにマッシュルーム栽培を広めた森本彦三郎氏は「きのこ栽培の父」と呼ばれる人物。
【追加雑学②】マッシュルームのフランスでの呼ばれ方
野生種のハラタケを栽培し、より優良な菌を選別していくうちに、現在のマッシュルームが種として成立した。その成立した場所というのがパリの栽培場だったのだ。
そのため、マッシュルームはフランスでは「Champignon de Paris」日本語にすると「パリきのこ」と呼ばれている。
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【追加雑学③】マッシュルーム人工栽培開始のきっかけはメロン
17世紀のパリ。南欧から伝わってきたメロンを栽培するために、厩肥(きゅうひ・有機肥料のこと)を発酵させる際に出る熱を利用した温床を使う方法がとられていた。
この温床にハラタケ類のきのこが多く発生していたことが、マッシュルームの人工栽培の始まりであった。発生したきのこを食用とするにとどまらず、より多くのきのこをとるために工夫されるようになったのである。
マッシュルームよりメロンを作ることに集中した方がお金になるのでは…という気もするが、マッシュルームに魅せられた人たちもいたということだろう。
【追加雑学④】マッシュルーム栽培場は競馬場のそばに多い
マッシュルームと競馬場に何の関係があるんだ!? と思うが、そこには先ほどもでてきた厩肥が関わっているのである。
マッシュルーム栽培にはかつて厩肥が必要不可欠であった。発酵した厩肥を培地としてマッシュルーム栽培していたからだ。発酵する際に生じる熱で有害な菌を除去できるという利点もあった。
この厩肥というのは、家畜の糞尿と藁などを混ぜたものを牛馬に踏ませることで腐熟させた肥料のことだ。つまり競馬場が近くにあることで、厩肥を手に入れやすくなったのである。
ちなみに現在では、厩肥を使わずにマッシュルーム栽培をすることもできる。しかし昔からの名残で、競馬場近くに栽培場がある場合が多いようだ。
マッシュルームの雑学まとめ
今まで安易に呼んできたマッシュルームだが、実は日本語ではツクリタケということがわかった。しかし、あれをツクリタケと呼んだところで誰にも伝わらないのが難点である。
フランスではパリきのこと呼ばれていたり、人工栽培のきっかけはメロンだったり、マッシュルームにはいろいろな雑学が隠されていたことが印象的であった。