庭の植木鉢をどけてみると、ニョロニョロとその姿を現す「ナメクジ」。他にも日陰や湿気の多い場所で何匹も見かけることがあるだろう。茶色っぽい体にテカリのある質感は苦手な人も多いかもしれない。
そんなナメクジだが、昔からなんとなく常識になっていることがある。それは「ナメクジは塩をかけると溶ける」というものだ。筆者は試したことはないが、ナメクジ駆除の方法としては広く知られていることである。
が! 実は効果があるのは塩だけではないらしい。そもそもナメクジにはどうして塩が効くのだろうか。今回はその原理と塩以外に効果のある成分について調べてみた。
【動物雑学】ナメクジ退治に塩が効果的な理由とは?
【雑学解説】ナメクジには砂糖や小麦粉も効く
調べてみると、ナメクジに効くのは塩以外に砂糖や小麦粉など、ごく身近な調味料が効くことがわかった。どれも塩と同様にナメクジにふりかけると、その体が溶けてしまうのである。
だが、厳密には溶けているわけではない。実際にはナメクジの体内から水分があふれることにより、溶けているように見えるのである。つまり、塩や砂糖をかけるのはナメクジを干からびさせて駆除する方法なのだ。
はたしてなぜそんな現象が起きるのか。ここからは化学の話になるが、「浸透圧」という原理が関係している。なんだか難しい単語が出てきたが、簡単に説明するので最後まで読んでほしい。
浸透圧とは「半透膜」という薄い膜の内と外で濃度の違う液体があった場合、濃度を均一がなるように濃度が低い液体から高い液体へ溶媒(簡単にいうと水分)が移動することである。
もっとわかりやすいように、ナメクジに塩をかけた場合を例にしてみよう。
- ナメクジに塩をかけると体の外側に塩分濃度の高い水ができる
- ナメクジの体の内と外で塩分濃度を均一にしようという力が働く(この部分が浸透圧)
- 塩分濃度を均一にするためにナメクジの体内から外へ水分が移動する
- ナメクジは脱水症状となり、死んでしまう
といった感じだ。ナメクジの体の表面は皮膚ではなく、先述した半透膜と同じ性質をもった粘膜でおおわれている。そのため、塩や砂糖をかけると、この浸透圧が生じてしまうのだ。
塩以外にも小麦粉や片栗粉など、浸透圧を引き起こす物質ならナメクジには有効。ただし、一般的に「塩が効く」といわれるのは、塩が一番ナメクジの水分を吸収するかららしい。
興味がある人はいろいろと試してみてもいいが、脱水で死んでしまうと聞くとなんだか残酷な気もする。心優しい人はナメクジを見かけても草陰に逃がしてあげよう。
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【追加雑学】世界には見た目がバナナそっくりなナメクジがいる
ナメクジに関してユニークな情報を入手したので、ここで紹介しよう。世界にはなんと見た目が「バナナ」そっくりなナメクジがいるというのだ。さっそく、以下の動画でその姿を確認してほしい。
うーん、バナナというよりスイートポテトのような質感だ。だが、面白い見た目をしているのは間違いない。
このナメクジは通称「バナナナメクジ」と呼ばれ、主に北米に生息している。大きい個体であれば、なんと人の手のひらサイズもあるのだとか。何も知らないままその姿を見れば、誰もナメクジとはわからないだろう。
ちなみにカリフォルニア大学サンタクルーズ校では、このバナナナメクジをマスコットキャラに採用している。その衝撃的なデザインをご覧いただこう。
うーん、さすがアメリカ。筆者としてはいわれなければナメクジとわからない。とても斬新なデザインという感想だ。そもそも学校にマスコットキャラがいるというのも驚きである。
日本では考えられない生物や習慣があるのが海外の面白いところだ。
雑学まとめ
今回はナメクジについてあれこれお届けした。まさかナメクジ駆除に砂糖や小麦粉まで効果があるとは。家の庭やベランダに大量繁殖していたら、まずは台所に駆け込もう。
ただし、害がないのであれば逃がしてあげるのが人情だ。数匹程度なら飼育してみるのも面白いかもしれない。ナメクジの生態がわかるかも…?