皆さんは、寝ているあいだに何回寝返りを打っているだろうか。…おそらく、自分が夜中に何回寝返りを打っているかを知っている方は、ほとんどいないだろう。
部屋にカメラを付けて撮影するか、一緒に住んでいる人に一晩中起きていてもらって自分が寝返りを打った回数を数えてもらうか…。まあ、そこまでして自分の寝返りの回数を知りたい人はいないと思う。
一般的に、人は一晩で20~30回ほど寝返りを打つらしい。無意識のうちにそんなに動いているとは…!
そんな無意識の行動である寝返りだが、江戸時代の武士は寝返りをしないようにしつけられていたらしい。一体何のためにそんなしつけをしていたのか…?
今回は、江戸時代の寝返りについての雑学をご紹介しよう。…というか、しつけでなんとかなるものなのか…。
【歴史雑学】江戸時代の武士は、寝返りをしないようにしつけられていた
【雑学解説】寝返りをしなければ、寝込みを襲われても対応できる!
江戸時代の武士がなぜ寝返りをしないようにしつけられていたのか。それは、寝込みを襲われても刀を取れるようにするためである。
利き腕を下にして寝ることで、寝込みを襲われて斬りつけられても、利き手を守ることができるのだ。利き手が無事なら、刀をもって応戦できる。しかし、寝返りを打って反対側を向いてしまったら、利き手が斬られて刀がもてない。
…そんないつ斬られるか不安な状態だと、熟睡はできなかっただろうなぁ。いや、「斬られるとき」の心配をしているのは、熟睡しているからなのか…? 熟睡していなければ、侵入された時点ですぐに気付きそうなものだ。
不安で仕方ないけど、いざ眠りについたら熟睡してしまう…人間の体のしくみは、武士にとってはなかなか面倒なものだったに違いない。
偉いお殿様の寝床には鉄板が敷かれ、畳の下からの攻撃に備えていたという話もあるぞ!
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寝返りをしないようにするしつけって…?
寝返りをしないようにする理由はわかったが、そんな無意識下で起こることについて、どのようにしつけをしていたのだろうか。寝返りをしないようにしつけるということは、寝相が悪い人にも効果があるのか!?
寝返りのしつけを受けていたという有名な逸話があるのは、江戸幕府15代将軍徳川慶喜(よしのぶ)。慶喜公は子どもの頃とても寝相が悪かったそうで、実の父親がカミソリの刃を枕の両脇に置いて寝返りを打たないように訓練したという。
「カミソリで傷つきたくなかったら寝返りするな」ということだ。なんか思ってたのと違う…。「寝返りをしないように体を縛り付けた」みたいなことを想像していたが、そんな甘いものではなかった!
物理的に寝返りをしないようにするのではなく、精神的に寝返りが打てないようにするという方法は本当に効果があるのか…ちょっと疑問だが、慶喜公の寝相はめでたく改善されたそうだ。
将軍になっても、緊張感を保つためにカミソリの刃を枕元に置いて寝ていたらしい。ストイックがすぎる!
【追加雑学】寝返りはした方がいい!
一晩で20回~30回寝返りをすると述べたが、なぜ人は寝返りをするのか。それにはちゃんと理由がある。
寝返りは、寝ているときに体を支えている筋肉を偏らせないようにするためのものなのだ。長時間同じ体勢でいると疲れるのは、立っている・座っている・寝ているときも一緒。横になっているときに使う筋肉の負担を分散させるために寝返りを打つのは、人間の体の自然治癒力のひとつなのである。
朝起きたときに腰や首が痛くなるという症状は、寝ているときにほとんど寝返りをしていなかった場合に起こりやすい。江戸時代の武士は、毎朝起きるたびに腰痛や肩こりに悩まされていたに違いない…。
寝相が悪い大人は要注意
子どもの寝相が悪いのは大脳がしっかり休息が取れている証拠なので、成長の証としてとても良いこととされている。しかし、大人の寝相が悪いのは、睡眠環境が悪かったり、自律神経が乱れていたりで睡眠の質が悪くなっているサインなので、ちょっと注意したほうがいいかもしれない。
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雑学まとめ
今回は江戸時代の驚きの雑学をご紹介した。寝返りをしないようにするためのしつけが、まさかカミソリを枕元に置く方法だったとは! 結局は、自分の気のもちようというか…。無意識下の行動まで気持ちでなんとかしようとするとは、さすがは武士といったところか。
自分のパートナーの寝相が悪くて毎晩困っている方は、この「慶喜メソッド」を使ってみてはいかがだろう。さすがにカミソリを置くわけにはいかないので、つぶしてしまったらショックを受けるものとかを使って。
しかし、あまりにも寝相がヒドイ場合は、しっかり休息がとれず疲れが溜まっていく一方なので、寝具などを見直してみよう。