日々忙しくしていると、料理が手抜きになるのも仕方ない。みそ汁の出汁には市販の「かつお出汁の素」を使う人が多いかも。パラパラと水に溶かすだけの出汁の素、一度使うとやみつきの手軽さだ。
自分で出汁を取ろうと思ったときも、第一の選択肢はかつお節ではないだろうか?
だが、力強い出汁を取りたければ、使うのはやっぱり「煮干し」。うどんやそばの出汁、最近ではラーメンの出汁でも煮干しは有名だ。
とはいえ、一人暮らしの台所からは遠ざかってしまった煮干しだが、煮干しってそもそも何の魚なのか? 今回は、そんな煮干しの雑学についてご紹介しよう!
煮干しの正体を正確に答えられたら、あなたは立派な料理通である。
【食べ物雑学】煮干しってなんの魚なの?
【雑学解説】いろんな魚が「煮干し」になる!
日本農林規格(JAS)によると、煮干しとは「魚類を煮熟によってたんぱく質を凝固させて乾燥した物であり、水分が18%以下のもの」。
簡単にいうと、魚を煮てから干して、水分が18%以下になってれば煮干しだよーということだ。
魚類ということであらゆる魚介類が対象になるものの、一般的にスーパーなどで買ってくる煮干しは「カタクチイワシ」というイワシである。とにかくたくさん獲れる・安い・味もいいと三拍子そろった魚だからだ。
しかし、煮干しはカタクチイワシだけではない。
イワシだけでもウルメイワシ・ハダカイワシ・マイワシなど。アゴ出汁として有名なトビウオ、大衆魚のアジ・サンマ、なんとタイ・イカ・牡蠣(カキ)の煮干しまである。
それぞれ特徴が違うので、有名なラーメン店などではこだわりの煮干しを使っているようだ。
煮干しを作る工程は、巨大なせいろに魚介類を一度に並べ、蒸しあげる工程から乾燥させるまで、機械で一気に行う場合が多いようである。
実は煮干しの油分は紫外線に弱く、うまみ成分であるイノシン酸も紫外線で分解されてしまう。このため、昔ながらの天日干しよりむしろ機械による大量乾燥の方が美味しいというから驚きだ。
自分でおいしい煮干し出汁をとってみよう
煮干しは自宅でも簡単に出汁がとれる。力強い独特の出汁で作ったうどんは絶品だ。
実は煮干しの出汁は、鍋で煮出すだけなので初心者むけ!
以下の動画を見てぜひチャレンジしてみてほしい。
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【追加雑学①】ちりめんじゃこも煮干しの一種だった!
煮干し同様に正体不明な魚が「ちりめんじゃこ」や「しらす」だ。これらの違いがイマイチ分からない人もいると思うが、原料は全部同じ。カタクチイワシなのである。
煮干しはサイズごとに名称が変わり、大きさが2.5cm以下のものを「ちりめん(じゃこ)」、2.5~4cmまでは「かえり」、4~13cmのものを「にぼし」という。
私からすると、大きさが2.5cmまではちりめんでいいの!? とビックリだ。
それでは、ちりめんじゃことしらすの違いは何かというと、水分量の差だけである。煮ただけで水分量の多いものは「しらす(釜揚げしらす)」、水分量が70~65%のものは「しらす干し」と呼ぶのだ。
そして水分量が少なく乾燥しているものは「ちりめんじゃこ」。軟らかさや食べやすさはしらすに負けるものの、保存性はちりめんじゃこがダントツにいい。
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【追加雑学②】いりこ=煮干し。方言が多くて呼び方はさまざま
たまに煮干しのことを「いりこ」と呼んでいる人がいるが、それは煮干しの別名だ。煮干しは地方によってさまざまな方言で呼ばれている。
代表的な「いりこ」のほか、たつこ・むし・むしたづくり・じゃこ・いんなご・煮だし・だしご…ありすぎて大変だ。
「いりこ」は主に関西で使うらしいが、あなたの実家ではどのように呼んでいただろうか?
煮干しの雑学まとめ
今回は、煮干しについての雑学をご紹介してきた。
なんとなくで認識していた煮干しだが、種類に決まりがないとは。わたしたちが普段口にするのはカタクチイワシが多いが、タイやイカなどの豪華な煮干しも食べてみたいものだ。
有名なラーメン店では秘密の煮干しを使っているらしいので、もしかしたら出汁は口にしたことがあるかもしれないが…企業秘密は教えてもらえない。
ちりめんやしらすとの違いも分かってスッキリした。あいつらはぜんぶ同じ魚なのだ。カタクチイワシに感謝して、日々の出汁を味わおう。