雪の中、温泉につかってくつろぐニホンザルの姿は、日本人だけでなく海外でも有名な光景だ。顔もお尻も真っ赤な彼らは、温泉につかっているからぽかぽかして赤くなっているのかな…なんて真剣に思っている人もいるんじゃないか?
しかし赤くなっているのは、当然お湯につかっているからではない。ということは、赤くなるのにもなんらかの理由があるということか?
というわけで今回は、ニホンザルの顔やお尻が赤い理由について調べてみた!
【動物雑学】ニホンザルの顔やお尻はなぜ赤い?
【雑学解説】ニホンザルの血管が透けて赤く見える
真っ赤な顔で温泉につかっているニホンザルの姿を、テレビなどでよく目にするせいか、サルはどんな種類でも顔やお尻が赤いものだと思っている人もいるだろう。
しかし実は、サルの中で顔やお尻が赤いのは、ニホンザルを含むほんの一部だけなのだ。…たしかに、ゴリラやチンパンジーなどもサルの仲間だが、赤いイメージはない…。赤いお尻と顔は、ニホンザルならではの特徴なのだ。
では、なぜニホンザルは赤いのだろう。
その原因は、ニホンザルの顔やお尻には毛が生えていないことと、肌の色素が薄いことにあるという。
私たち人間もそうであるように、彼らの皮膚の下には、たくさんの毛細血管が通っている。そう、皮膚の色素が薄いために、この毛細血管の色が浮き彫りになって、ニホンザルの顔やお尻は赤く見えるのだ。
しかし、年がら年中真っ赤っかというわけでもないようだ…。季節によって色が変わることには、何か理由があるのだろうか?
【追加雑学①】ニホンザルの繁殖期には赤みが強くなる
ニホンザルは、秋から冬にかけて繁殖期に入る。このころから、顔やお尻の赤みが強くなるという。
なんでも彼らは人間と同じように色が分かるらしく、特にオスザルは、目立つ赤い色で相手をひきつけているのだ。つまり、顔やお尻が真っ赤っかになるのは、メスへのアピールの意味もあったのである。
雪の中、赤い顔で温泉につかっている光景…。あれは、ちょうど彼らの繁殖期の冬ということもあって、余計に赤みが増しているわけだ。
また、群れの中でもボスザルは、ほかのサルよりいっそう赤みが強い。以下に真っ赤な顔のボスザルの映像を紹介しておこう。
俺がボスだ! と言わんばかりの佇まいである。赤みが強ければ強いほど、血流がよくて元気な証拠! それが強さの象徴となるわけだ。
ちなみにオスもメスも、お尻の赤みが強い方がモテる。やはりサルの世界でも、男女問わず健康なのが一番なのだ。
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【追加雑学②】ニホンザルの子ザルの顔やお尻は、それほど赤くない
以下の映像には、可愛い子ザルが捉えられている。……あれっ!? 一緒に映っている親ザルと比べて見れば、一目瞭然。子ザルは顔もお尻も赤くないのだ。
なぜかというと、子ザルは毛細血管を通る血流も、大人ほど強くない。まして繁殖期にメスへアプローチするなど、まだまだ先の話だ。赤くなる要素もなければ、赤くなる必要もないのである。
それにしても…やんちゃな子ザルと、心配そうに世話を焼く親ザルの仕草を見ていると、人間もそれほど変わらないと思わされる。
これから成長するにつれて赤みが増し、成熟すると、あの真っ赤な顔とお尻で異性をひきつけるようになるのか…。それも、人間が思春期にオシャレをしだす感覚とどこか似ているような…。
愛くるしい姿を見ていると、このままでいて欲しいなんて思ってしまうが、そんなわけにもいかないな…。
雑学まとめ
ニホンザルの顔やお尻が真っ赤なのは、皮膚の下の毛細血管の色が透けて見えるからだった。さらに繁殖期には赤みが増し、異性へのアプローチに一役買う。真っ赤なのは血流の良さ、健康な証拠である!
ニホンザルを見る機会があれば、どのサルの顔やお尻が1番赤いのか探して、ボスザルを当ててみるのもおもしろいかもしれない。