文武両道を目標やスローガンに掲げる人は少なくない。教育目標として文武両道を貼り出している学校も多いことだろう。「文」勉強と「武」武道やスポーツ、この両方の才をどちらも極めるというのはそれほど難しくかっこいいことなのだ。
勉強ができる人はスポーツが苦手で、スポーツが得意な人は勉強が苦手…たしかにそんなイメージをもたれやすい。努力のベクトルを両方向に向けるって簡単なことではないからだ。
それでも、文武両道を地でいく人だって世の中にはいる。
かつて、「文」の頂点であるノーベル賞と「武」の頂点であるオリンピック、どちらでもメダルを獲得した人がいたのだ。今回は、その人物についての雑学をご紹介していこう!
【オリンピック雑学】ノーベル賞を受賞したメダリストがいる
【雑学解説】陸上のメダリストがノーベル平和賞!
イギリスで生まれたフィリップ・ノエル=ベーカーは、数々の大学で学ぶ傍らで陸上中距離の選手として活躍していた。
そして1912年のストックホルムオリンピックにイギリス代表として選出。1920年のアントワープオリンピックではなんと選手兼監督として出場し、1,500メートルで銀メダルを獲得した。
その後イギリスの中道左派政党である労働党の党員となり国際連盟の創設に尽力。国際連盟の事務局員や大学教授などを経て、1929年にイギリスの議会のひとつである庶民員の議員に当選した。
様々な大臣の座につきながら36年国会議員として活躍したノエル=ベーカー。終始平和軍縮運動に携わり、核廃絶を目指して広島にも何度も訪問をしている。1959年にその功績を称してノーベル平和賞を受賞したのである。
スポーツの祭典オリンピックと人類の叡智の集約であるノーベル賞。この2つの栄誉を得てメダルを手にしたのは、後にも先にもノエル=ベーカーただひとりだ。
ノエル=ベーカーはオリンピックについて「核時代における国際理解のための最善のメディア」と述べている。オリンピックはスポーツを通して人類の平和と幸福を実現する、まさしく「平和の祭典」だ。
オリンピック選手がノーベル平和賞を得るとはなんとも粋な話である。
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【追加雑学①】二足のわらじ!世界にはメダリストのレーサーもいた!
二足のわらじメダリストは他にもいる。2012年ロンドンオリンピックの男子射撃で銅メダルを獲得したカタール代表のナサール・アルアティヤ選手。
彼はクレー射撃の選手として活躍し、カタール代表としてオリンピックに6大会連続出場するほどの実力の持ち主。
一方で一流レーサーとしての顔ももち、公道でタイムを競うラリーの選手としても活躍している。2006年の世界ラリー大会ではチャンピオンに輝き、その後も様々なタイトルを取得し活躍を続ける超一流レーサーだ。
どちらも長く第一線で戦い続ける彼は、まさに二足のわらじ選手。それにしても、射撃と車の二刀流なんて、「男のロマン」の塊のような人物だ。ぜひ、映画にしてもらいたい。
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【追加雑学②】夏季と冬季、どちらでも金メダルを獲った二刀流選手!
違う分野でも活躍を残したメダリストを紹介したが、オリンピックのなかで二足のわらじを履いた選手もいる。
アメリカ代表のメダリスト、エディー・イーガン(1897〜1967)はなんと夏季オリンピックと冬季オリンピックの両方で頂点に立った。異なる競技で夏季・冬季の二冠を達成した選手は長い歴史の中で彼ひとりである。
1920年のアントワープ大会ではボクシング男子ライトヘビー級で金メダル、1932年のレークプラシッド大会では男子ボブスレー4人乗りで金メダル!
ボクシングとボブスレー。全く気色の違う競技で世界一になるなんて、すごすぎる…。
そしてなんと、二冠を達成したあとに彼は弁護士になったというからさらに驚きだ。彼もまさしく文武両道。なんて器用なんだ…。
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雑学まとめ
今回の雑学ではノーベル賞とオリンピックのメダリスト、フィリップ・ノエル=ベーカーについて紹介した。
オリンピック選手としても国会議員としても優秀だったノエル=ベーカー。「文」でも「武」でも頂点に立てるなんて、信じられない。素晴らしい人物だ。
世界の舞台で活躍するアスリートには、他の分野でも一流な多才な人物もいるものだ。二刀流・三刀流で輝く人を見ていると、ほれぼれするとともに力がもらえる気がする。
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