クモといえば、糸で作った巣を張り巡らせ、獲物を狙う肉食ハンター。
家の中でも、放っておくといつの間にかクモの巣が…なんてこともしばしばだ。害虫を食べてくれるクモは益虫とされることも多いが、クモの巣をそのままにしておくのはキレイな家とはいえないだろう…。
でも、そんな人間の都合に応えるように、毎日巣をたたむクモがいるのだ。今回は、そんなクモの雑学をお届けしよう!
【動物雑学】オニグモが毎晩クモの巣を張り替える理由とは?
【雑学解説】オニグモは毎晩巣を張り毎朝たたむ
クモというと、綺麗に張った巣の上で生活しているイメージが強い。
たしかに、日本によくいるジョロウグモなんかは大きく張った糸の中心でじっとしていることが多く、木の葉や小枝が引っかかって汚れても気にせずすましている姿を見かけることがある。
そんなイメージゆえに、クモが作る糸のレースは「クモの網」でなく「クモの巣」と呼ばれている。あのレースの役割は「家」でなく、獲物をしとめる「罠」であるはずなのにだ。
もちろんクモの巣を「家」として使うクモもいるが、必ずしもそうではない。
毎日巣を張り替えるオニグモも、本当のねぐらは「クモの巣」ではない。毎日巣をたたむというとせわしなく聞こえるが、彼らは引越しをしているわけではないのだ。
では、オニグモはどこで寝ているのか。それは、木の葉の下などの物陰だ。
彼らは日中、巣をたたんで物陰で眠るのだ。そして夜になると、狩りをするために網を張る。大抵、夕方に起きて30分から1時間かけて糸を張り、明け方には撤収。撤収は素早く、1分ほどで終わるそう。なんといらなくなった糸は食べてしまうのだ。
オニグモが糸を撤収する様子、張る様子はこんな感じ。
まさに必殺仕事人。このようにオニグモは、毎晩狩りのためだけに糸を巡らせているのだ。
つまり、オニグモにとって「クモの巣」はただの仕事道具。その日の狩りが終わったら片付けてしまうというわけだ。
とはいえ、せっかく作った巣を明け方には壊してしまうとは律儀なやつだ…。もったいないし面倒臭いし、そのまま明日も使っちゃおうって思ってしまいそう。
クモの巣に悩める人間たちにとっても、ありがたい存在である。虫も食べてくれてクモの巣も毎日ちゃんとたたむオニグモ…うちにも来てくれないかな…。10センチほどもあるのでびびってしまいそうだけど…。
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【追加雑学①】クモがクモの巣に引っかからない理由とは?
クモの巣を張って引っかかった獲物をしとめるクモたちだが、見ていて疑問に思うことはないだろうか。
彼らは決して自分の糸に引っかからないのだ。いくら自分でしかけた罠でも、ちょっと間違えたら自分も引っかかって身動きが取れなくなってしまいそうなものだが…。
クモが自分の巣に引っかからないのには、クモの出す糸とクモの足に秘密があるからだ。
基本的にクモの巣の糸は、縦糸と横糸で放射状に構成されている。この縦糸と横糸、同じように見えて実は違う種類の糸なのだ。
横糸はベタベタしていて、獲物を引っ掛けるために使われる。対して、縦糸はベタベタしておらず、サラサラだ。クモが巣の上を移動するための糸なのである。
この縦糸の上をすいすいと移動することで糸にくっついたり引っかかることなく動き回れるのだ。なんというハイテク…。
加えてクモの足にも秘密がある。クモの足先には油がついており、横糸のベタベタを防ぐ効果があるのだ。また、足自体にもびっしりと毛で覆われているため、糸に接地する面積が少ないのだ。よってスムーズに移動できるわけである。クモ、すごいやつだ…。
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【追加雑学②】空き家にクモの巣が多いのはなぜ?
クモの巣がたくさんある場所…と聞くと、古い空き家やお化け屋敷を思い浮かべる人も多いだろう。空き家のイメージには必ずといっていいほどクモの巣がついてまわる。
でも、どんな新築のきれいな家だって、クモの巣はできるのだ。
クモはエサとなる虫がいる場所に巣を張る。虫一匹いないような環境では人間も生きることはできないので、人間の住む場所にクモはつきものだ。
でも、空き家にクモの巣が多いのはなぜだろう。
ひとつは、人の出入りが極端に少なく掃除がされることもないからだ。人が住んで掃除をすればクモの巣は壊されるが、住む人のいない空き家ではクモの巣を壊すこともなくなる。
壊されることなく残ったクモの巣…。クモはそこで安泰に生活を送るが、いつか寿命が尽きて死ぬ。死んでしまったクモの残したクモの巣は壊されることなく放置される。
人の手入れのない空き家には、そのような持ち主がいなくなったクモの巣がたまっていくのだ。
空き家に張り巡らされたクモの巣もまた、空き家なのかもしれない。
雑学まとめ
今回はクモについてのトリビアを紹介した。
毎晩毎朝糸を張ってはたたむオニグモ。その律儀さには脱帽だ。夜にせっせと仕事をして昼には物陰で眠る…。そんな彼らの生活を思うと、なんだかクモなのに愛らしく思えてくるから不思議だ。
糸を張るオニグモに出会ったときにはぜひ、「ご苦労様です」と声をかけたい。