プロ野球ではオープン戦と呼ばれる試合がある。そう呼ぶからには開幕戦のことかと思いきや、実はそうではなく、シーズン前に行われる試合のことをオープン戦と呼ぶらしい…。それが本当なら非常に紛らわしい名称である。
そもそもシーズン前の試合をオープン戦というのは矛盾していないか? と感じたので、今回の雑学ではそんなプロ野球のオープン戦のことを調べてみたぞ。
【スポーツ雑学】プロ野球のオープン戦が開幕前に行われるという矛盾
【雑学解説】プロ野球のオープン戦は開幕前に行われる練習試合
オープン戦とは開幕前に行われる練習試合のことである。
プロ野球の開幕は3月末であるが、オープン戦は2月下旬から1ヵ月程度行われる。開幕してからいきなり試合に入るとなるとケガをしやすく、試合勘などを取り戻すのに時間がかかる。そのため開幕前に練習試合の期間を設けて、選手が調整しやすいようにしているのだ。
このオープン戦は調整のための試合であるが、ルールは公式戦にのっとっているため、日程も決まっている。オープン戦はセ・リーグとパ・リーグのあいだで行われる。そのため同リーグ内の試合は行われない。
以前は昼間に試合をするデイゲームが中心だったが、近年は夜間に試合をするナイトゲームも増えてきた。
オープン戦と普通の練習試合との違い
プロ野球ではオープン戦以外にも各球団、他球団との練習試合を行なっている。ではこの練習試合とオープン戦の違いはいったい何なのだろうか。これは先ほども述べたが、オープン戦は非公式試合でありながら、正式なルールにのっとって行われることが大きな違いである。公式記録員もおり、観客も入る。
また、オープン戦の日程はNPB(日本野球機構)が定めている。公式戦同様ナイターもデイゲームも行われるので、ほぼ公式戦と考えてもいいだろう。
対して練習試合であれば、対戦するチームは球団の意向で自由に決めることができ、海外のチームと対戦してもかまわない。ルールも対戦するチーム同士で自由に決めることができるのだ。
【追加雑学①】オープン戦は日本製の和製英語である
オープン戦は日本で作られた和製英語のようである。ナイトゲームのことを「ナイター」というのと同じ仕組みらしい。新聞記者が、ペナントレース開幕を間近に控えた練習試合のことをオープン戦と呼んだのが始まりだそうだ。
誰が呼びはじめたのかははっきりしないが、この「オープン戦」という名称はかなり紛らわしい。通常の「open」という英語の意味からすると、開幕戦のことだと考えてしまう人は多いだろう。「オープニングゲーム=オープン戦」といったほうがしっくりくる。
【追加雑学②】オープン戦のジンクスとは?
オープン戦で好調なチームは、シーズンでの結果が振るわないというジンクスがある。オープン戦は公式戦のように調整をしながら試合をするため、そこで好調ならばうまくいきそうなものだ。しかしシーズンに入ると雲行きが悪くなってしまうことはよくあるのだ。
このジンクスのはじまりは阪神タイガースである。2000年代に入ってからはリーグ優勝を達成するなど、強いチームの印象がある阪神だが、1980年代後半から1990年代は最下位常連の弱小チームだったのだ。
その暗黒時代、オープン戦で助っ人外国人選手がヒットを打ちまくるほどの絶好調だった。そのため「今年こそ阪神はやってくれる」とファンは期待したのだが、シーズンが始まり蓋を開けてみると、やはりチームは低迷してしまったのである。
この話が始まりとなり、オープン戦で好調なチームはシーズンに入ると低迷するというジンクスが生まれたのだ。実際、低迷とまではいかないまでも、オープン戦とシーズンの結果はリンクしないことが多い。
シーズンは長丁場で、選手の好不調の波を受けやすいなど、オープン戦とシーズンの結果が一致しない理由はいろいろと考えられる。とにもかくにも、オープン戦で好調だったからといって油断は禁物、オープン戦の結果はあまり当てにならないのである。
雑学まとめ
プロ野球のオープン戦はシーズン前に行われる練習試合のことである。練習試合といってもオープン戦はルールも公式試合と一緒で、NPBが日程を決めているというちゃんとした試合なのだ。
オープン戦という名前は紛らわしいが、今回の雑学で間違えることもなくなり、より野球を楽しめるようになったのではないだろうか。
悲しいがジンクスのとおり、オープン戦とシーズンの結果はリンクしないことも多い。開幕前と開幕後では別のチームだと考えて応援した方がいいかもしれない。