遠距離恋愛。私には無縁の話だが、この言葉を聞いて切なくなる人・悲しくなる人・恋人を思い出して幸せな気持ちになる人・まったく関係のない人…様々だろう。浮気してるんじゃないか…と、不安な気持ちになってしまう人もいるかもしれない。
そんな難しい遠距離恋愛は、実はペンギンの世界にも存在する。会えない期間は半年。しかし、会えない時間が長くてもパートナーのことは忘れないという! ステキ!
ペンギンといえば水族館の人気者だが、遠距離恋愛が得意なのは野生のペンギン。過酷な自然の中で必死に生きながら、遠くにいるパートナーのことを想い続けるイイ男・イイ女。
今回の雑学では、そんなペンギンの恋愛模様についてご紹介するぞ!
【動物雑学】ペンギンは遠距離恋愛が得意
【雑学解説】繁殖期のパートナーを生涯変えない種類のペンギンも!
ペンギンには繁殖期と非繁殖期がある。繁殖期に繁殖地でオスとメスが合コンをして、繁殖のパートナーが決定する。産卵が終わってヒナが孵り巣立つまでの間はカップルで子育てをし、それが終わると外洋での生活が始まる。
そしてまた繁殖期が来ると繁殖地に向かい、パートナーと繁殖行動をとるのである。このパートナー探しが、ペンギンの種類によって異なるのだ!
遠距離恋愛が得意といわれているのは、イワトビペンギン。頭に黄色い飾りのようなものが付いた、小型のペンギンだ。
イワトビペンギンの特徴
「ペンギン=よちよち歩きで移動速度が遅い」という常識を覆す、ジャンプしながら移動するペンギン。性格は怒りっぽくて、チャレンジ精神旺盛。段差にもジャンプで果敢に挑むが、高いところから飛び降りることに失敗して、ケガをする子もいるそう。自分の力を過信してはいけませんな。
好戦的で、巣に近づくヤツは敵であろうと仲間であろうと容赦ない。赤い目でガンを飛ばして威嚇し、くちばしでつついたり羽でビンタしたりする。
岩場に巣を作るが、親鳥ですら転がり落ちてしまいそうな崖に巣を作ったりもする。チャレンジャーすぎ!
イワトビペンギンがジャンプ移動をする様子がこちら。
水族館のペンギンなので、好戦的な様子は見られない。むしろかわいすぎる…! ジャンプのたびにぺちぺちいうのが愛おしい。
イワトビペンギンの遠距離恋愛
ペンギンといえば南極のイメージだが、イワトビペンギンの繁殖地は南半球の島々。10月から4月頃にかけて、そこでパートナーと繁殖行動をとる。産卵後はオスとメスが交代で卵を抱いてヒナを孵し、ヒナが巣立つまで子育てをする。
子育てがひと段落して繁殖期が終わると、オスとメスは別々に外洋へ旅立っていく。600km~2500kmくらい離れたところでそれぞれ生活するのだ。
札幌から那覇までの直線距離がだいたい2260km。めっちゃ遠距離!
外洋にパートナーと一緒に行けばいいのに…と人間としては思うのだが、オスとメスは繁殖期以外は基本的に別行動をとるそうで、そこがなんとも動物らしい。
4月、5月頃から10月頃まで外洋で過ごしたオスは、前年に巣を作った場所に先に到着し、巣を修復しながらメスが戻るのを待つ。…健気だなぁ。「彼女が来る前に、部屋キレイにしとかなきゃ!」という心境だったりして。
メスは1週間くらい遅れて到着し、こちらもまた前年の巣に戻る。そして、前年と同じパートナーと感動の再会を果たす。
相手を間違えたり、巣の場所を忘れてしまったりということはあまりないそうだ。…みんな似たような見た目なのに、どうやって見分けているのだろう。動物ってすごいよね。
再会したカップルは、長い時間をかけて求愛行動をとる。頭や羽を動かしたり甲高い声で鳴いたり。まるで会えなかった半年の時間を取り戻すかのように、じっくり愛を確かめ合い、交尾をするのである。
一度つがいになっていても、また求愛行動からやりなおすってところがステキ。何度でも君に恋をする…ってかんじ? ロマンティック!
このように、イワトビペンギンは毎年遠距離恋愛を繰り返す。まるで彦星と織姫のようなペンギンなのである。
ちなみに、映画などで「命を削って子を守り育てるイクメン」として話題のエンペラーペンギンのオスは、繁殖期ごとにパートナーが違う。彼女をとっかえひっかえとは…まさに皇帝(エンペラー)!
イワトビペンギンの求愛行動
動物園のイワトビペンギンの求愛行動を撮影した動画を発見したぞ! それがこちら。
動物園で飼育されているペンギンなので、野生のダイナミックさはないが、それでも仲睦まじい様子は伝わる。
たまに無言になるところがまたいいよね! 静かにお互いの存在を感じてるみたいな…と、ペンギンの恋愛にキュンキュンする筆者であった。
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【追加雑学】ペンギンに関するあれこれ
ペンギンはかわいい…ということは知っているが、生態についてはあまり知らないという方も多いのでは?
ここでは、ペンギンに関するプチトリビアをご紹介するぞ!
ペンギンの体温
種類によって差はあるものの、ペンギンの平熱は38℃といわれている。
鳥類は通常、平熱は40~42℃。体温が高いのは空を飛ぶためのウォーミングアップ的な要素があるからだそう。一方で、ペンギンは空を飛ばないので鳥類でも平熱は低め。
しかし、水に飛び込む直前は57℃くらいまで体温が上昇するそう。爆発力がすごい!
ペンギンの視力
地上にいるときのペンギンは、ド近眼。人間でいうところの視力0.3くらいしかないらしい。敵が来たらぜったい逃げ遅れるよね…。
しかし、水の中では瞳孔が大きく広がり、明かりがなくてもエサを取ることができる。極端だな!
他のカップルのヒナを誘拐する
エンペラーペンギンのメスは自分のこどもが途中で死んでしまったとき、他のカップルのこどもを誘拐する。そして、自分のこどもとして育てることがあるそうだ。
人間でもたまにそういうニュースが聞かれることもあるが…やはりどの種族でも母親は母親なんだね。いや、誘拐はやってはいけないことだけれども。
1年に1回絶食の時期がある
ペンギンの羽は1年に1度生え変わる。完全に抜け変わるまでの2~3週間は水の中に入れないため、エサを取ることができない。
羽の生え変わりが始まる前に海でエサを大量にとり、食いだめをする。しかし、絶食はツライようだ…。体重が生え変わり前の半分くらいになってしまうらしい。
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。人間でも難しい遠距離恋愛を夫婦の絆で乗り越えるイワトビペンギン。半年もの間、遠く離ればなれになりながらも、次に再会するときまで相手のことを想い続ける…なんてピュアな動物だろう!
今現在、遠距離恋愛で悩んでいる方や寂しい思いをしている方もいるかもしれない。しかし、離れているからこそ、会えたときの嬉しさはひとしおなのではないだろうか。いつまでも新鮮な気持ちでいられそうだし。
パートナーに再会するまでの期間を、「次に会ったら何しよう?」と楽しんで過ごすのも良い。
そして、水族館に行った際はペンギンたちの恋愛模様に着目するのもおもしろそうだ。飼育員さんに聞けば、どの子とどの子がカップルか教えてもらえるかもしれないぞ!
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