飲み会の席での「とりあえずビール」は鉄板である。最近は「若者がビール離れしている」などとも聞くが、やっぱり最初の一杯には、あののど越しが欠かせない!
生ビールはもちろん、瓶からグラスに注いだビールも美味いし、花見などで屋外で飲む缶ビールもまた違う味わいがある…と、ここでふと思った。
ペットボールのビールってないよね…。
缶にしても瓶にしても炭酸が抜けてしまったりするし、ペットボトルがあればけっこう便利だともうのだが…。しかも海外では普通に販売されている!
なぜ日本ではペットボトルビールが販売されていないんだ? 今回の雑学ではそんな素朴な疑問を追求してみた!
【食べ物雑学】日本でペットボトルのビールが販売されない理由とは?
【雑学解説】ペットボトルはビールの入れ物には適さない
まずペットボトルのビールを見かけないのは、そもそもペットボトルがビールの入れ物としてはふさわしくないからだ。
実は1980年ごろのビール業界では、いかに珍しい容器を使うかという「容器戦争」があり、その時代にはペットボトルのビールも販売されていた。
しかしこれらはあまりにも賞味期限が短すぎるため、すぐに市場から姿を消したのだ。なんと容器に入ってから1ヶ月ほどしか品質を保てなかったのだ!
その理由は、ペットボトルが「酸素」や「光」を通しやすいことにある。
ペットボトルは酸素を通しやすい
ペットボトルの素材にはごく微小の隙間があり、缶や瓶に比べて酸素を通しやすい。つまりビールを入れるとすぐに酸化してダメになってしまうのだ。
じゃあコーラなど、その他の飲み物はどうなんだ? という話だが…そもそもビールというのは非常にデリケートな飲み物だ。
ほかの飲料が大丈夫なぐらいの酸素の混入でも、ビールの品質は大きく左右される。
ビールは光にも弱い
ビールがほかの飲料に比べてデリケートであることは前述した通りだが、酸素だけでなく、光にも弱い。
ペットボトルは、缶や瓶より薄い素材。そのぶん光も通しやすく、これもビールの品質劣化につながる。
また、ペットボトルで光を通さない工夫をするなら、瓶ビールのように着色を施す必要もある。すると透明なペットボトルとはリサイクルが一緒にできないため、単純に手間だという理由もあるようだ。
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【追加雑学①】アサヒビールがペットボトルビールを開発!しかし…
以上の理由から、ペットボトルビールはこれまで販売されていなかった。しかしそれはもはや過去の話。
実のところ、2004年にアサヒビールが、上記の問題をクリアした「ビール用ペットボトル」を開発し、ペットボトルビールの販売を発表したのである!
なんでも「ダイヤモンドライクカーボン膜」という、炭素の膜でコーティングされているのだとか。その名の通り、ダイヤモンドぐらい硬い素材だという。すごい!
…でも、ペットボトルのビールって、いまだに見たことないけど?
そう、実はこのペットボトルビールの販売には、環境団体からの待ったがかかった。
理由は「ゴミが増えてリサイクルの負担になる」「ペットボトルだと未成年も手軽に飲んでしまうのではないか?」など。
うーん…たしかに特殊加工がされているため、着色していなくても普通のペットボトルとはリサイクルを分ける必要があるようだ。しかし未成年どうこうは、缶でもあんまり変わらない気がするのだが…。
結局、アサヒビールはペットボトルビールの販売を断念してしまったのである。
ペットボトルビール普及の兆しもある?
実はアサヒビールは、上記のような逆境に負けず、2018年にペットボトルのノンアルコールビールを発売した。
以下の動画で紹介されているぞ!
なるほど、ノンアルなら未成年がどうこうにも引っかからないし…。こういった商品をきっかけに、今後ペットボトルビールが普及していくこともあり得るかも?
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またペットボトルから直接飲むわけではないが、キリンビールの「キリンホームタップ」という会員制サービスでは、ビールサーバー用のビールがペットボトルに入って届くぞ! 以下がそのPR動画だ。
たしかにペットボトルでサーバーの準備ができるならとっても手軽だ! そのままラッパ飲みするのも…ありっちゃあり?
【追加雑学②】海外では普通に買えるペットボトルビール
やはり日本人からすると珍しいからか、Twitterには海外のペットボトルビールの画像がたくさん載せられている。
https://twitter.com/taisuke5696/status/1184349491266248705
このようなビールのペットボトルは何故日本ではないのだろう?普通に旨いよこのドイツビール。 pic.twitter.com/VKVHnKRSfb
— クガッタ (@kugotta) March 3, 2015
このペットボトルビール、なにがいいって手軽さや保存のしやすさもあるが、とにかく安いのである!
ドイツなんかじゃ500mlの6本セットが1.6~1.7ユーロ(200円ぐらい)とかいう、ちょっとおかしいレベルの値段で売られているぞ。
しかも飲み終わったペットボトルをリサイクルに出せば数十円のデポジットが返ってくるので、実際はもっと安く買ったことになる。
筆者もドイツに行ったときに現地の人に教えてもらったが、リサイクルはスーパーなどに持って行かなきゃいけないので、荷物がペットボトルだらけになった覚えもある…。まあ安くなるからいいんだけど。
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またロシアではビールの量り売りがあって、ペットボトルに入れて持ち帰れるのだとか。
少しわかりにくいが、以下の画像ではたしかにペットボトルにビールを注いでいる。
ダニールと行った生ビール屋。サーバーがみっちり並んでてペットボトルで量り売り。ロシア地ビールの他、チェコやらドイツビールも。チェコビールは人気。このシステムはラトヴィアにもあった。 pic.twitter.com/c0pV0UOauQ
— 北川貴英 システマ東京 (@systemaTYO) April 9, 2019
ビール版ドリンクバーみたいな感じ?
雰囲気的には、陳列されたものを買うより美味しそうだ。
【追加雑学②】日本初の瓶ビールと缶ビールを発売したのは?
ここまでペットボトルビールについて語ってきたが、缶ビールと瓶ビールだってない時代があったはずだ。日本で初めて作られたのはいつなのだろう?
日本初の瓶ビールは、1900年(明治33年)にアサヒビールの前身・大阪麦酒が販売している。当時はワインのようにコルクで栓がされていたそうだ。
そして、1953年(昭和33年)に、日本初の缶ビール「アサヒゴールド」を販売したのもアサヒビール。
瓶ビールが主流だった当時、戦前からアメリカで発売されていた缶ビールを参考に開発したという。売上が低迷していたアサヒビールの起死回生の試みだ。
この缶ビール…発売当初はあまり売れなかったのだが、アルミ缶や自動販売機の普及により徐々に人気を博していったという。うんうん、手軽なことが缶ビールの売りだしね。
ということでなんと、缶も瓶もパイオニアはアサヒビールだったのだ! ペットボトルビールといい、常に挑戦を続ける熱い企業である。
ちなみにほかの企業で革新を起こした例を挙げると、1972年(昭和47年)に、サントリーが日本初のロング缶(500ml)を発売している。これも350mlじゃ満足できないお父さんたちを狙った鋭い観点だ!
ペットボトルビールの雑学まとめ
今回はペットボトルビールに関する雑学をお届けした。
技術的にも問題なく、海外でも実績があるペットボトルビール。しかし環境問題など、社会的な面との兼ね合いで、日本での普及はまだまだ先の話となりそうだ。
私としてはペットボトルビールにはぜひ普及してもらいたい。…ふたがあれば、酔っ払ってビールを倒すこともなくなるはずだ…!
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