人の世は不平等である。平等な社会を謳(うた)う現代日本でさえ、金持ちとそうでない人や、美人とそうでない人などで待遇の差を感じる。筆者は辛酸をなめて生きてきた…そりゃあもう、何度神を恨んだことか…っ!
しかし、みんなのお尻から出るうんちは平等だ。どんなに持ち主(?)が金をもっていようが美しい顔であろうが、うんちはみんな同じような見た目をしている鼻つまみ者だ。なんと素晴らしき平等なうんちたちよ!!
だが、日本にはかつて、このうんちでさえも身分差があった時代が存在するのだという。しかも、今回ご紹介する雑学によれば、持ち主の身分によって、うんちの価格が違ったのだという…。か…価格だと…?!
【歴史雑学】昔はうんちの値段も身分によって違った
【雑学解説】身分が高い人のうんちは高価
人間のうんちは、肥料として使われていた。しかし、これは世界的な風習ではない。東アジアを中心とした、局地的なものである。この理由は実にシンプルで、多くの国では「人間のうんちを畑にまくなんて、ばっちぃ!」とタブー視する傾向があったからだ。
そんな中で、世界に先駆けて人間のうんちを肥料として利用した国、それが日本であった。
わが国では、鎌倉時代から肥料としてうんちを使っていた。室町時代にやって来た朝鮮通信使は、「なんか日本人、人のうんちを肥料に使ってるみたいなんだけど、けっこう作物取れてるみたいッスよ」という記録を残している。
そして時代は進み、江戸時代に入ると、うんちは売買されるようになり、それとともに身分差が出てくるのである!
江戸城のうんちが一番高額
江戸時代になると、「えぇもん食ってらっしゃる身分の方のうんちは栄養たっぷりだから、いい肥料になるにちげぇねぇ」と、うんちをひり出す人たちの身分によって、うんち自身もランク分けされるようになった。
江戸幕府が統治する江戸時代、天下の徳川家の居城である江戸城発うんちはトップクラス。うんちカースト制度の中で頂点に立つ江戸城から生まれ出るうんちたちは、一番高額で取引されていた。
当時のうんちのランクは、以下のように分けられる。下に行くほど安い価格となる。
- 幕府や大名の屋敷で出るうんち
- 辻便所(つじべんじょ)という当時の公衆便所でとれたうんち
- 長屋などに住む町民のうんち
- おしっこが大目にまじってしまったうんち
- 牢獄の罪人のうんち
ちなみに、中級ランクの町民のうんちは樽いっぱいで25文、現代のお金の価値で500円程度だったという。われわれ庶民が樽いっぱいにうんちをひねり出しても、それくらいの価値しかつかないとは…。
それに対して、幕府や大名のうんちは、町民の4~5倍程度の価値があったといわれる。庶民は吉○家でアタマ大盛、大名はイタリアンの食後のデザート・コーヒー付きコースランチが食べられるといったところであろうか? なんともやりきれない話である。
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【追加雑学】うんちが肥料として使われなくなった理由
ところで、現代の日本では、この人のうんちの肥料は使われていないようだ。どうやら、第二次世界大戦後に廃れていってしまったらしい。これには、以下のようないきさつがあった。
戦後、マッカーサーの軍は日本で摂れた野菜をサラダにして食べた。その後、寄生虫に感染してしまう。実は、肥料として使われている人のうんちの中に寄生虫がおり、それで育った野菜を生で食べたことで寄生虫を体内に取り込んでしまった…ということが判明した。
これにはマッカーサー大激怒。「人ノウンチデ野菜育テルナンテ、アンビリーバボーダヨ! スグ辞メサセナサイ!」と政府に掛け合った。
マッカーサーに責めたてられ、慌てた日本政府は各市町村に寄生虫予防会を設置、人のうんちの利用をやめて化学肥料を普及するように努めたのだ。
それまでの日本人は野菜を生で食べるという習慣がなかったらしく、もしアメリカからサラダを食べるという文化が持ち込まれなかったら、いまだにうんちを畑にまいて野菜を育てていたのかもしれない。いや、むしろそれまで、うんちばらまいていたから、生野菜を食べなかったのかもしれない…。
雑学まとめ
今回は昔の日本の驚きの雑学をご紹介した。日本では、昔から人のうんちを肥料として使っており、江戸時代に入ると豊かな食生活を送っている身分の高い人の栄養たっぷりのうんちは、高額で取引されるようになった。
ところが戦後、生野菜を食べる習慣がアメリカから持ち込まれると、寄生虫などの衛生面の問題が発生し始めたため、日本で人のうんちを畑にまくことはなくなった。
しかし、位の差で異なる価格で取引されていたとはいえ、うんちでさえお金になった時代があったというのは正直うらやましくもある。誰か、三十路の女である筆者のうんちを買ってくれないだろうか? おっと、もちろん「肥料用」としてだ。
…という話を先日知人としていたら、「君のうんちだったらボク…」とつぶやいていたのだが、その後の言葉が気になるところである。
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