皆さんはジャガイモの芽に毒があることはご存知だろうか。昔から、「ジャガイモの芽は食べてはいけない」「ジャガイモの芽は取り除かないといけない」と教えられてきたかもしれない。その理由は、毒があるためだ。
しかし、ジャガイモが毒をもつのは、ジャガイモの芽だけではなかったのだ。それ以外でも毒性を発揮することがある。では、ジャガイモはどんな毒をもっているのだろうか。
今回の雑学記事では、そんなジャガイモがもつ毒性について紹介しよう。
【食べ物雑学】ジャガイモの芽には発ガン性物質が含まれている?
【雑学解説】ジャガイモの芽には食中毒を起こす天然毒素が含まれている
ジャガイモの芽には「ソラニン」や「チャコニン」と呼ばれる天然毒素が多く含まれている。これらの毒素を摂取すると、吐き気・下痢・嘔吐・腹痛・頭痛などの症状が出ることがある。また最悪の場合、死に至る可能性もある…怖い話だ。
では、具体的にどのくらいの量を食べると、危険なのだろうか。
農林水産省によれば、ジャガイモによる食中毒を予防するための注意喚起として、「体重が50 kgの人の場合、ソラニンやチャコニンを50 mg(0.05 g)摂取すると症状が出る可能性があり、150 mg~300mg(0.15 g~0.3 g)摂取すると死ぬ可能性があります」と示されている。
つまり、少量の「ソラニン」や「チャコニン」でも危険があるということだ。食べないように気をつけなければならない。
また、「ソラニン」や「チャコニン」はジャガイモの芽だけではなく、ジャガイモ自体が緑色になった部分にも多く含まれているため、注意が必要だ。ジャガイモを買うとき・調理するときは、緑色に変色していないかをよく確認しよう。
ただし、緑色に変色していないジャガイモにも100gあたり平均7.5mg(0.0075g)の「ソラニン」や「チャコニン」が含まれているが、そのうちの3〜8割は皮の周辺にあるので、しっかりと皮を剥けば問題ないだろう。
ちなみに私はこの前、ジャガイモを皮ごと調理して食べてしまったので反省中だ。なんて体に悪いことを…。皆さんは、ぜひジャガイモの皮をしっかりと剥いて食べてほしい。
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【追加雑学①】ジャガイモが発ガン性物質を作ってしまうことがある
ここまで、ジャガイモの天然毒素について説明してきたが、それ以外でもジャガイモが毒性をもってしまうかもしれないときがある。それは、調理によるものだ。
ジャガイモは炭水化物の多い食材で焼いたり・炒めたり・揚げたりなどの高温調理をすると、「アクリルアミド」という発ガン性・神経毒性などをもつ物質を生成してしまう。
2016年に内閣府食品安全委員会が報告した食品健康影響評価によると、
「日本人は高温調理した野菜(ジャガイモ・モヤシ・レンコンなど)、コーヒーなどの飲料、スナック等の菓子類からのアクリルアミド摂取が多い。健康リスクについては、日本人の摂取量での非発がん影響については極めてリスクは低いと判断されたが、発がん影響については、 ヒトへの影響は明確ではないとしつつも動物実験で一定の発がん影響が推定される用量(BMDL10)と日本人の食事由来のアクリルアミド推定摂取量との幅を考慮すると公衆衛生上の観点から懸念がないとはいえない。」
との結論が出されている。
つまり、問題がまったくないと断言は出来ないので、「アクリルアミド」が多く含まれていると思われる食品は、食べるときは考えたほうがいいかもしれないということか。
ということは、フライドポテトやポテトのスナック菓子は……。
こちらは内閣府食品安全委員会によるアクリルアミドに関する報告の動画だ。さらに詳しく知りたい方はどうぞ。
【追加雑学②】そうは言ってもジャガイモは健康にもいい
このままだと、ジャガイモ好きの方に怒られてしまうかもしれない。ここで、ジャガイモの素晴らしい点をご紹介しよう。ジャガイモ関係の皆さん、どうぞ落ち着いてください。
① ビタミンCが豊富かつ丈夫
ジャガイモには、ビタミンCがほうれん草やみかんと同じくらい豊富に含まれている。また、ジャガイモのビタミンCは、デンプンに守られているので、加熱しても壊れにくい丈夫な形で含まれている。
ビタミンCは、風邪の予防・疲労の回復・肌荒れなどに効果があるので、適切な調理をして食べると健康にいいだろう。
② カリウムが摂りやすい
ジャガイモはカリウムも含んでいる。カリウムは塩分を排泄する役割があり、高血圧の予防に効果がある。また、よく運動する人にとっては、筋肉の痙攣などを防ぐ効果もあるので、欠かせない栄養素だ。
③ ナイアシンもある
ナイアシンは、ビタミンB3と呼ばれる水溶性ビタミンだ。ナイアシンには、糖質・脂質・タンパク質の代謝を良くしてくれる効果や抗酸化作用がある。また、アルコールの代謝を助ける効果もあるので、飲みすぎてしまったときにも役立つ。
うん、ジャガイモが健康にいいことがわかった。ジャガイモには、ジャガイモのいいところがある。どんな食材も調理することで、良くも悪くもなるのだから、正しい方法を知ることが大切なのだ。
どうでしょう、ジャガイモ好きの皆さん。
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【追加雑学③】ジャガイモによる食中毒を予防するために
最後に、ジャガイモによる食中毒を予防するためのポイントを紹介しよう。
① ジャガイモは光の当たらないところで保存する
ジャガイモは日光や蛍光灯などの光に当たると、天然毒素を増やすのだ。
② ジャガイモを傷つけない
ジャガイモを傷つけてしまうと、これまた天然毒素を増やすのだ。
③ 未熟なジャガイモは食べない
熟していないジャガイモは、天然毒素の濃度が高いのだ。
④ 苦いジャガイモは食べない
そもそも好んで苦いジャガイモを食べる人はいないだろうが、天然毒素の濃度が高いジャガイモは、苦くなるのだ。
買ってきたジャガイモの天然毒素を増やさないためには、光の当たらない場所で、傷つけずに保管するのが良いだろう。間違っても天日干しはしないように。芽がニョキニョキ生えてくるに違いない。
雑学まとめ
今回はジャガイモのもつ毒性についての雑学をご紹介した。
ジャガイモは、状態によって良くも悪くもなるということだ。ジャガイモを調理する際は、まずジャガイモの色が緑色になっていないかを確認しよう。次に、ジャガイモの芽をしっかりと取り除くことが大切だ。
おすすめの調理方法は、蒸す・茹でる・煮るである。比較的高温になりにくい、これらの調理方法ならば、アクリルアミドについてそこまで気にしなくても大丈夫だろう。
ちなみに、生のジャガイモを冷蔵庫で保存するのはNGだ。ジャガイモを低温保存すると、糖質が増えアクリルアミドの生成量の増加につながるからである。こちらも発ガン性の面から気をつけたいポイントだ。
皮ごと食べてしまったような私は、肝に銘じておかなければならない。皆さんも、ジャガイモの芽や調理方法には、十分注意して食べてもらいたい。
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