スポーツのなかでも、芸術点などを競う採点競技は人気がある。
採点競技といえば、フィギュアスケートやアーティスティックスイミング(旧・シンクロナイズドスイミング)などが有名だが、演技の美しさなどを競うだけあって、女子種目のほうが華やかな印象だ。
とはいえ、フィギュアスケートには羽生結弦などの有名選手も多く、採点競技でも男子種目の注目度が高いのはご存知のとおり。
だが、有名な採点競技の1つ、新体操に関しては男子競技の存在を知らない人も多いのではないだろうか? 実は、男子新体操は競技としては存在するものの、日本以外の国ではほとんど行なわれていないのだ!
そこで今回の雑学では、まだまだ知名度が低い男子新体操について、その魅力を伝えていきたいと思う。
【スポーツ雑学】男子新体操があるのは日本だけだった
【雑学解説】男子新体操の歴史について
女子の新体操はバレエが由来の体操であり、1920年代にドイツで生まれた競技だといわれている。
そして、1950年に世界体操選手権の女子種目として採用されると、1963年からは独立して世界新体操選手権がスタート。その後、1984年にオリンピックの正式種目となり、現在に至っている。
一方の男子新体操は、戦後の1946年(昭和21年)の第1回国民体育大会(国体)で行なわれた「団体徒手体操」が始まりであり、女子と同じように個人競技と団体競技が存在する。
女子新体操との違いは、「タンブリング」と呼ばれる宙返りなどのアクロバティックな技が認められていることで、女子新体操にはみられないダイナミックな演技が一部の人たちのあいだで人気となっているのだ。
まずは、男子新体操がどのようなものか、動画をみていただきたい。
女子とは異なる動きが多いことに驚いた方も多いだろう。男子新体操は高校総体(インターハイ)や全日本学生新体操選手権大会(インカレ)などの国内大会はあるが、国体は2008年を最後に休止となっている。
男子新体操の現状と注目度
日本国内では男子新体操のさまざまな大会があるものの、国際体操連盟の正式種目としては認められていない。そのため、国際大会は存在せず、もちろんオリンピックの種目にもなっていないのだ。
2000年代になって日本から世界各地に指導者を送るなどの努力をしているが、残念ながらまだまだ普及は進んでいない。
しかし、そのパフォーマンスはたびたびテレビなどで取り上げられ、動画共有サイトに多くの動画がアップされるなど、少しずつ注目を集めるようにはなっている。
さらに、日本でも人気のパフォーマンス集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」も男子新体操に着目し、男子新体操選手をメンバーにスカウトしているそうだ。
このように、男子新体操は日本以外の国では普及していないが、競技としての魅力に疑いはない。今後、世界的に普及していくことを祈るばかりである。
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【追加雑学①】男子新体操が五輪に出場!?
ここまで説明したように、男子新体操は世界での普及はまだまだであり、オリンピックの正式種目になるのは先の話のように感じる。しかし、2016年のリオデジャネイロオリンピックにおいて、男子新体操が注目を浴びることとなったのだ!
その理由は、同大会の閉会式で行なわれた東京オリンピックのプレゼンテーションにおいて、男子新体操選手が出場したこと。
このプレゼンテーションで行なわれたダンスパフォーマンスに、青森大学の男子新体操部のメンバー20人が参加し、躍動感のある動きを披露したのである。そして、このパフォーマンスのおかげで男子新体操部が脚光を浴び、メディアでも取り上げられて話題となったのだ。
【追加雑学②】男子新体操を描いたフィクションなど
まだまだ注目度が低い男子新体操だが、関連した映像作品もいくつかある。ここでは、それらも紹介しておこう。
ドラマ「タンブリング」
2010年にTBS系列で放送された「タンブリング」は、高校の男子体操部員の成長を描いた山本裕典主演のスポ根青春ドラマである。
男子新体操の演技は俳優が吹き替えなしで行なっており、実際の男子新体操選手も登場するなど、かなり力の入った作品であった。
[st-kaiwa-]10648え、あの演技マジで俳優がやってたんっすか?![/st-kaiwa-10648]
しかし、視聴率は振るわず、男子新体操ブームを生み出すにはいたらなかったようだ。「ウォーターボーイズ」のように話題になれば、男子新体操を取り巻く環境も変わっていたかも?
映画「FLYING BODIES」
2013年に開催された、青森大学男子新体操部による舞台公演。その舞台裏を追ったドキュメンタリー映画がこの作品である。
この公演は、日本有数のデザイナー・三宅一生が企画やコスチュームのデザインを手掛けており、海外から大物演出家を招いたことも話題となった。
普段の競技としての新体操とは異なる動きを要求され、それを克服していく姿が感動を呼ぶ映画である。予告編を観て興味を持った方は、ぜひ本編をご覧いただきたい。
雑学まとめ
女子新体操とはまた違う特徴をもった男子新体操についての雑学を紹介してきたが、その魅力がおわかりいただけただろうか? まだまだマイナーな競技ではあるが、1度観ればその迫力に魅了されると思うので、機会があればぜひ触れてほしい。
そして、先ほど2008年をもって国体競技としては休止されているといったが、2023年の佐賀国体で復活することが決まったという。
これをキッカケに男子新体操が盛り上がり、いつの日か五輪の正式種目になることを願ってやまない。そして、そのメダル第1号は、ぜひ日本人選手が獲得してほしいものだ。
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