運動会や遠足でのお弁当の定番といえば、おにぎりではないだろうか?
自分で作るのはもちろん、コンビニやスーパーなどで手軽に買え、形も丸や三角とレパートリーに富んでいる。海苔で巻くところもあれば、とろろ昆布で巻くなんて地域もある。最近では「オニギラズ」なる新種も巷を闊歩しているではないか。
おにぎりはいうまでもなく日本人の心の象徴であり、国民食であると断言できる。さて、そうなると「おにぎり」の由来が気になってくる。
今回の雑学記事では、おにぎりとは何なのか? そして、同じような意味でつかわれる「おむすび」との違いも徹底的に検証してみよう。
【食べ物雑学】おにぎりの名前の由来とは?おむすびと何が違う?
【雑学解説】おにぎりの由来と歴史
いつごろから日本人がおにぎりを食べていたかというと、なんと弥生時代までさかのぼる。当時の遺跡から、現在のちまきのようなものが見つかったという。
その後、奈良時代には「握飯(にぎりいい)」という言葉が広まりはじめた。その名の通り、ご飯を握る動作に由来しており、これが現在でいう「おにぎり」の呼び方の由来となった。
鎌倉時代以前はもち米を蒸したものが多かったが、それ以降はうるち米を握った形状となったそうだ。
麦や粟(あわ)、稗(ひえ)を食べていた時代に、白米のおにぎりなんてのは飛び切りのごちそうであったため、滅多に食べられなかった。おにぎりに限らず、精米した白米を日常的に食べられるようになったのは戦後のことである。
また戦国時代の「炊いた米を水で洗い、乾かして丸めた干し飯(ほしいい)」もりっぱなおにぎりの一種であろう。やはり、古来より日本人の身近なところにおにぎりはあったのだ。
【追加雑学①】おにぎりとおむすびの違いとは?
「おにぎり」と「おむすび」。呼び方が違うだけで同じものかと思っていたが、実は明確な違いがあったのだ。それには諸説あるので、その違いを見ていこう。
形で分類される「古事記」説
まず、「おむすび」という呼び方は「古事記」から来たという説だ。
天と地が分かたれたときに生まれた神様が、三柱いらっしゃった。「天之御中主神(あめのみなかぬし)」「高御産巣日神(たかみむすび)」「神産巣日神(かみむすび)」とそれぞれおっしゃるそうだ。
その三柱の中に「産巣日」と書いて「むすび」と読む神様が二柱いらっしゃるが、こちらの神様は産み増やす神様とされている。
そして、古来より日本は山を神様と見立て、崇め奉ってきた経緯もあった。そのため、山の三角形と「産巣日」が結びついて、三角に握ったおにぎりは徳の高い「おむすび」として珍重されるようになったとのことだ。
いわれてみれば、おにぎりよりもおむすびの方が上品なイメージがある。要するに「三角形のおにぎりは神様に見立てた山に似てるから、特別におむすびと呼びますよ」ということだ。
その他の説
古事記由来の説の他にも、様々な説が存在する。
古事記での説が一番重みがあるので、他は諸説として箇条書きで紹介させてもらう。
- おにぎりの丁寧語としておむすびになった説
- 男言葉でおにぎり、女言葉でおむすび説
- おにぎりは携帯食、おむすびは捧げもの説
- 米を握り固めたものがおにぎりで、おにぎりを藁(わら)で巻いて運びやすくしたのがおむすび説
などなど、その説は百花繚乱。ひとつずつ解説していくと、最終的には文庫本のひとつでも作れそうなレベルだ。
日本おにぎり協会の公式発表
さて、おにぎりを知るにはおむすびとの違いを知るのが一番だろうと思い、日本おにぎり協会のホームページをのぞいてみると…
「諸説ありますが、日本おにぎり協会では大きな違いはないと考えております。」
とのこと。なんてこった、違いがないんかい!! これにて調査終了。…と思いきや、もう少しページを見てみると。
「呼び名・カタチ・握り方などの違いで分けられます。」
やっぱりあったじゃん! 最初からそう言ってよ!
少々長くなってしまったが、おむすびがどんなものかは大体わかった。
では肝心のおにぎりはどうかというと、先述の日本おにぎり協会いわく、違いは特にないということなので「おむすび以外の米を使い、具をのせたりのせなかったり、海苔で巻いたり巻かなかったりする類の食べ物」はなんでもおにぎりということでいいみたいだ。
なんと大雑把!
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【追加雑学②】「オニギラズ」はおにぎりなのか?
では、数年前から話題の「オニギラズ」とはおにぎりなのかそうでないのかという、究極的な疑問がわき起こる。だが、ここまで読んでくれた方ならば、オニギラズはおにぎりか否かという質問にはたやすく答えられるだろう。
握るという工程はないが、米・具・海苔を使っているため、オニギラズは歴としたおにぎりである。もう一度いおう。オニギラズは立派なおにぎりである。
オニギラズといってるにもかかわらずおにぎりの一種なんて、おにぎりというやつはなんて懐が深いんだ。チクショウ、立派すぎて涙が出てきやがるぜ。
おにぎりの雑学まとめ
今回はおにぎりについての雑学を紹介してきた。
まさかおにぎりの由来で、古事記にまでさかのぼるとは思わなかった。それほどの昔から、おにぎりは日本人のそばにずっと寄り添っていたということだろう。
おにぎりとおむすびの違いは、このような特に違いがない存在の食べ物に、ずっと二つの名前が多数派と少数派に別れるとしても、共存してこれたのは日本人の懐の深さと、いかにお米が大事な食べ物であったかを物語っているのではないだろうか。
昔話で「おむすびころりん」というものがあるが、この定義でいえば、おむすびは三角形で転がりにくいはず。それなのにころころ転がるというのは…やめよう、これ以上は日本民話の闇を暴いてしまうかもしれない。