むかーしむかしは、地球のまわりを太陽が回っているものだと思われていた。でも今は、地球が自分で回転(自転)しているから、太陽が動いているように見えるんだと分かっている。
ところで、自転しているのは地球だけじゃない。太陽系では太陽を含めたすべての惑星が自転している。ほとんどの惑星は地球と同じ方向に回転しているけれど、中にはとんでもない自転の仕方をしている惑星もあるのだ。
今回の雑学では、地球もビックリな自転の仕方をしている惑星についてご紹介しよう。
【宇宙雑学】太陽系の惑星の中で、自転の方向が他の惑星と違うのは金星と天王星
【雑学解説】金星は逆回転、天王星は横倒しで自転している
地球は公転の軌道に対して23.4度傾き、北極を上にした状態で反時計回り(左回り)に回転している。
これは、太陽系のほとんどの天体に当てはまる。ただし、金星と天王星は別。
金星の自転
金星は公転の軌道に対して約177.3度傾いており、地球とは逆の時計回り(右回り)に回転している。つまり地球でいうと上下をひっくり返して北極が下・南極が上になったようなもので、西から太陽がのぼって東に沈む状態なわけだ。
なぜ金星の自転は地球と逆なのか? これについては、今のところハッキリした答えは出ていない。「金星に小惑星などがぶつかって向きが変わってしまった」という説や、金星が出来るときに大きな岩がぶつかり合った結果、他の惑星とは逆回転の軸ができたという説など、様々な仮説が立てられている。
天王星の自転
天王星はもっと興味深い。天王星の自転軸は公転の軌道に対して97.8度傾いている。つまり、横倒しになって回転しているのだ。
天王星の自転軸が横倒しになっている理由も、まだ判明していない。コンピューターシミュレーションに基づく推測では、天王星に地球くらいの大きさの天体が二度衝突したことによって、軸が現在のように傾いたと考えられている。
太陽系の8つの惑星はこんな風に自転している!
水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星の傾き具合と、自転の仕方を分かりやすくまとめた映像を発見した。
一見、水星と金星は回転していないように見えるが、それはこの2つの惑星の自転速度が非常に遅いからである。よく見ると、水星はすごくゆっくり右方向に動いている。
金星はもっと分かりづらいが、中央より左下にあるこげ茶色の部分を観察してみると動きが分かる。このこげ茶色の部分、最初はVの字の真上にあるが、10秒ほど目を逸らしてから視線を戻すと左に移動しているのだ。
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【追加雑学①】天王星の昼と夜はそれぞれ約42年間続く
横倒しになった天王星は、北極または南極にあたる部分にずっと太陽が当たり続けるため、地球のように一日の中で昼夜が変わることはない。
また地球は1年かけて太陽の周りを一周するが、ずっと遠くにある天王星は84年かけて一周する。つまり、天王星では42年間の昼が続き、そして次は42年間の夜が続くことになるのだ! これがもし地球だったら、一生の半分が真っ昼間・真っ暗…。
ちなみに、太陽の熱が届きやすい地球には昼夜の気温差があるが、地球の約19倍離れている天王星に届く太陽の光は、地球の約0.3%でしかない。そのため、表面温度は常にマイナス200度以下で、昼夜の気温差はほとんどないといっていい。
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【追加雑学②】金星は濃硫酸の雲で覆われている
ギリシャ神話の愛と美の女神・ヴィーナスの名で呼ばれている金星。夕方になるとひときわ輝いて見える宵の明星も金星のことだ。キラキラと美しく光り輝く金星の地表は、もしかしてゴールドで出来ているかもしれない…?
でも美の女神さまの名をもつ星は、そんな夢を打ち砕くような恐ろしい素顔をもっていた! 金星の大気はほとんどが二酸化炭素。二酸化炭素は太陽の熱を閉じ込める性質があるため、いわゆる温室効果によって地表が500度近い高温になってしまっているのだ。
ちなみに、金星が光り輝いているのは、地表が高温だからではない。金星を包み込んでいる濃硫酸の雲に太陽光がはね返されているためだ。
その反射率はなんと78%。金星では太陽光は地球の10分の1程度しか地表に届かない。
人類が生存することなど不可能な、薄暗い灼熱の世界。美の女神の名をあたえられた星の内部には、地獄としか言い様のない光景が広がっているのだ。
雑学まとめ
今回は惑星の自転についての雑学をご紹介してきた。太陽系の他の惑星がどんな向きで自転しているかなんて、日常の中で考える機会はなかなかないものだ。「太陽の引力でみんな同じ方向に回転するんだろう」くらいに思っていたので、地球よりも太陽に近い金星が逆回転だとは思ってもみなかった。
でも金星を上回る予想外の結果は、天王星が横倒しになっているということだ。まったく「事実は小説より奇なり」である。金星と天王星が傾いた原因は未だ謎のままだが、生きているうちに解明される日が来てくれたら嬉しい。
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