ベストセラー本が生まれると、話題になるのはその印税額だ。ワイドショーなどで「印税は推定〇億!」などと発表されている場面もよく見かける。
印税とは、著作権(自らの著作物を独占的に使用できる権利)の使用料のこと。つまり、人の作った作品を使うことに対して発生するお金だといえる。
しかし、なぜ著作権使用料のことを「印税」などと呼ぶのだろう。あまり気にしたことはなかったが、「税」と付くわりには、税金とは関係がないような気もする…。
そこで今回の雑学では、著作権使用料を印税と呼ぶ理由を調べてみたぞ!
【生活雑学】著作権使用料を「印税」と呼ぶ理由とは?
【雑学解説】「印税」は「印紙税」が由来だった
まず具体的に印税の発生するシチュエーションを挙げると、作家が書いた小説を複製して出版社が販売する場合、ミュージシャンが作詞作曲した曲を、CDにしてレコード会社が販売する場合などになる。
本やCDなどの著作物を販売する際は、印税に相当する額が上乗せされ、販売価格となっている。つまり、皆さんが本やCDを買うために支出した費用の一部が、作家やミュージシャンに印税として届いているということだ。
気になる印税額だが、「本体価格×発行部数×印税率」の式によって決定される。印税率は著者と出版社のあいだで決められ、通常、5~10%になることが多い。
上記の式を見るとわかるように、本の発行部数が多くなればなるほど、印税額も大きくなるのだ。そのため著者にとって、自分の書いた本の発行部数は特に重要な数字だといえる。
収入印紙税の計算方法から「印税」へ
この発行部数の確認方法として、昔(昭和40年代ごろまで)は、著者が発行となった書籍の奥付に、一つ一つ「検印」を押したり、検印紙を貼ったりしていたのだ。つまり印税の額も、その押印の数に応じて決定されることになる。
実はこの計算法が、収入印紙税の計算法とそっくりなのだ。そのことから印紙税の名を借り、「印税」と名付けられたのである。
また出版社から見れば、売れば売るほど著者に支払う金額が増える性質は、所得の分だけ支払い義務が生じる税金の徴収に似ている。だから、「税」という言葉が使われたという話もある。
いずれにせよ、計算方法や仕組みが似ているというだけで、印税は税金とはなんら関係がないのだ。
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【追加雑学】カラオケの印税は一曲いくらになる?
印税というと、本やCD以外に有名なのがカラオケだ。カラオケで自分の作った曲が歌われると、印税がミュージシャンに入ってくる。
カラオケ印税の強いところは、昔作った曲でも、印税収入になりやすい点だ。たとえば、一青窈さんの「ハナミズキ」やレミオロメンの「3月9日」といった曲は、発売されたのは何年も前で、今になってCDを買う人は少ないだろう。
しかしカラオケとなれば、多くの人は自分の青春時代の曲を歌ったりするものだ。よって、昔の曲でも継続的に印税が入ってくる。
何とも羨ましい話だが、そもそもカラオケの印税は、一曲いくらになるのだろう?
シンガーソングライターのほうが印税が高い
まず歌手がもらえる印税は、一曲あたり、およそ1~3円となるようだ。具体的な金額は所属事務所との契約や、歌手のネームバリューによって変わってくるといわれている。新人は1円ぐらいの値段からスタートするのだろう。
また、カラオケの場合、作詞や作曲をした人にも印税が入ってくる。作詞家や作曲家も含めると、1曲を合計して、2~7円程度の印税となる。
そのため作詞作曲を兼ねている歌手なら、1曲歌われるごとに7円もの印税が一人に入ってくるようなこともあるのだ。全国のカラオケで歌われた数と考えると、これは相当な額になると想像できる…。
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「印税」の雑学まとめ
著作権使用料を印税と呼ぶのは収入印紙税と計算法が似ているから、という雑学をご紹介した。
そして出版社から見れば、検印の数に応じて印税を支払う額が増えるのだから、まるで税金のようにみえるという説もまた、納得感がある。
それにしても当時の作家や漫画家の方は、新しく本を発行するたび、一冊一冊に検印を押していたわけだ。一冊を書き上げるだけでも大変なのに、その労力には頭が下がるものがある。