「茶道」は日本が世界に誇れる文化の1つで、現代人が忘れてしまった和の心を思い出させてくれる芸術である。茶道を習っていると聞くと、その人が上品に見えてくるのは決して、私だけではないはず。
茶道には細かい作法がいろいろあるが、経験がない人でも「お茶を飲む前に茶碗を回す」というのは知っているのではないだろうか? ではなぜ回すんだろう?
クルクル回さずにいられないほど、茶碗が熱いのだろうか?
今回は、茶道で茶碗を回す雑学について紹介していこう。これを知れば、今まで遠い存在だった茶道が少しだけ身近に感じられるかもしれない。
【生活雑学】茶道で茶碗を回す理由
【雑学解説】茶道で茶碗を回すのは謙虚の意味が込められているから
茶道で茶碗をクルクルと回すのは、飲むタイミングを考えているからではない。日本人は謙虚であることを美徳としており、茶道ではもてなしてくれる相手への「謙虚」な気持ちを、行動で表しているのだ。
なんのことか分からないって? 落ち着いてくれ。順番に説明していこう。
茶碗には必ず正面がある。茶碗をぐるっと回して一番華やかな部分が正面だ。
もてなす側がお茶を出すときは、相手にとってその茶碗が一番美しく見えるよう茶碗を正面に向けて差し出す。これはお茶と一緒に茶碗の美しさも楽しんでほしい、というもてなす側の気持ちが込められている。これぞ「おもてなし」だ。
このままお茶を飲むと、当然茶碗の正面に口を付けることになる。ここで日本人の謙虚な気持ちが出てくる。謙虚とは控えめでつつましいことを意味する。つまり、茶碗の一番華やかな場所を避けてお茶をいただくことで亭主に対する敬意ともてなしに対する謙虚な気持ちを示すというわけだ。
この謙虚さと敬意を、茶碗を回すという行動で示している。では、それを踏まえたうえで茶道の動作を見てみよう。
どうだろう? 改めてみると今まで以上に謙虚さを感じるだろう。ちなみに、茶碗の正面を相手に戻すには、左に2回半回すといい。
しかし、あくまでも目安なので2回半という数字にとらわれすぎず、茶碗の正面が相手に向くことを意識するのがポイントだ。覚えておくといいだろう。
【追加雑学①】絵柄がない茶碗は刻印を目印にする
茶道の茶碗の中には、絵柄がないものもある。絵柄がないなら正面なんて分からないじゃないか! とパニックになりそうだが、安心してくれ。ちゃんと見分けるコツがある。
絵柄がない茶碗の正面を見極める方法…それは、茶碗の裏にある刻印。茶碗を作った人はお茶碗の正面を確認してから刻印を押しているから、この刻印が左にくるように茶碗を持ってくれば自然と正面になるというわけだ。
といっても、お茶を渡されたときは中身が入っているから当然、茶碗を裏返しになんてできない。茶碗の刻印を確認するタイミングは、ズバリ、飲み終わった後。
お茶を飲み終わった後に両手でさりげなく茶碗を傾け、刻印の場所をさっと確認すれば完璧だ。この刻印を確認することも慣れてくれば、触った感覚でどこにあるのか分かる、というからたいしたものである。ここまでくれば、もう上級者と呼べるだろう。
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【追加雑学②】本来、茶道は男性の嗜み(たしなみ)だった
現在では茶道というと女性の習い事・花嫁修業の一環というイメージが強い。しかし、千利休をはじめ本来は信長・秀吉が茶道を嗜むところから始まっていたのだ。
今ではすっかり茶道=女性というイメージが強くなってしまったが、最近では男性専用の茶道教室もできている。茶道に興味はあるけれど女性が多いから気が引ける…という男性がいたら、ためしに覗いてみてはどうだろう?
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【追加雑学③】茶道には立ってお点前を披露するものもある
茶道というと畳に正座、終わったころには足がしびれて動けない…なんてイメージをしている人も多いかもしれない。だが、茶道のお点前には正座ではなく、椅子に座ってお点前をする「立礼」というものもある。
立礼は椅子に座って行うもので、野外で使われることが大半だ。畳ではなく外で椅子に座ったまま茶道を楽しめるため、茶道が初めてという方でも気軽に楽しめるというメリットがある。見かけたときはぜひ、挑戦してみてほしい。
雑学まとめ
茶道に関する雑学を紹介してきたが、いかがだったであろうか?
茶道は相手に対する敬意や謙虚という、日本人ならではの意味が込められている。茶道の作法も大切だが、作法にこだわりすぎてせっかくのお茶を楽しむことができないなんてことになったら、もったいない。
まずは考えすぎず、お茶を楽しんでみることをおすすめする。きっと茶道の楽しさが分かり、自分の世界が広がるはずだ。
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