春になると食べたくなる桜餅。口に入れた瞬間にふわっと香る桜の風味と、塩漬けにされた桜の葉のしょっぱさがクセになる。
ところで、桜餅は関東と関西で見た目がかなり違うことを知っているだろうか? あなたの知っている桜餅は、別の地域では「何それ…?」といわれるかもしれない。
今回は、そんな桜餅に関する雑学を紹介しよう。
【食べ物雑学】桜餅は関東と関西でかなり違う
桜餅は、関東と関西で見た目がかなり異なる。関東の桜餅は「長命寺餅(ちょうめいじもち)」と呼ばれ、関西の桜餅は「道明寺餅(どうみょうじもち)」と呼ばれる。
【雑学解説】長命寺餅と道明寺餅
関東の桜餅といえば、餡子をクレープ状にした生地で包み、桜の葉でさらに包んだものだ。
関西の桜餅といえば、まるでおはぎのような見た目のお菓子に、桜の葉が巻かれている形になっている。
関東風桜餅をもっと詳しく知ろう!
関東風の桜餅は、長命寺というお寺が発祥となっている。長命寺は隅田川沿いにあるお寺で、そこにある桜の葉っぱが長命寺に落ちてくるのだった。
江戸時代、当時長命寺で山本新六(やまもとしんろく)という男が門番をしていた。彼の仕事には門の掃除もあったのだが、1つだけ悩みがあった。それが、長命寺に落ちてくる桜の葉っぱだ。
桜の葉は大量に落ちる。掃除をする量も多かっただろう。さて、この大量に落ちてくる桜の葉をどう処理しようか…。
ある日、町を歩いていた新六は、「椿餅(つばいもち)」という和菓子を販売しているところを目にする。椿餅というのは、お団子のようにしたお餅を、椿の葉で包んだ和菓子だ。これを見た新六はひらめいた!
「そうだ! あの桜の葉っぱも椿餅のようにすれば…!」
新六は桜の葉を塩漬けにして、小麦粉から作った皮で餡を巻き、そこからさらに桜の葉で包んだのだ。
桜の葉を塩漬けにしたのは、桜の葉が乾燥して使い物にならなくなることを防ぐため。さらに、桜の葉を塩漬けにすることで、香りづけや乾燥防止にもなるというメリットもあった。
さて、新六が桜餅売り出したところ、新しい物好きな江戸の人たちに大人気に! 花見の席でのお菓子の定番として、新六の考えた桜餅は定着したのだ。
ちなみに、この新六の考えた桜餅が、日本で初めての桜餅。ここから各地へと伝わっていくのだが、関西では違う形になったのだ。
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関西風桜餅をもっと詳しく知ろう!
関西風桜餅は、道明寺粉という餅粉で作った生地に餡を包み、さらに桜餅の葉で包んだ形だ。知らない人が見れば、まるでおはぎのように思えることだろう。
桜餅の起源は江戸の長命寺…つまり、関東の桜餅だった。しかし、なぜ関西では大きく見た目が異なってしまったのか。
実は関西では、道明寺粉を使ったお餅を作るのが定着していたのだ。関西の桜餅は、関西で定着していた道明寺粉に、関東の「桜餅の葉を巻く」というアイデアを取り入れた形となっている。
そのため、同じ桜餅でも、関東と関西で見た目の差ができたのだ。見た目が異なることに驚くかもしれないが、日本の地域差を楽しめる。
ちなみに関西風桜餅は、もちもち食感の中に、つぶつぶとした食感が楽しめるようになっている。もしも関西風を食べたことがなければ、一度関東との違いを楽しんでみてはどうだろうか?
【追加雑学】お月見団子も関東と関西で違う
関東と関西で見た目が違う桜餅。実は、お月見団子も関東と関西で見た目が異なることを知っているだろうか?
関東でお月見団子といえば、オーソドックスな白いお団子をピラミッド状にしたものだ。味付けも商品によって異なるが、基本的には砂糖のみのシンプルなものとなっている。
それでは関西ではどうだろうか? 関西では、里芋をイメージした形をしている。たとえるならば、ラグビーボールのような楕円形の形だ。そして、団子には雲に見立てたこし餡が巻かれている。
関西地方では、お月見である中秋の名月のことを「芋の名月」と呼ぶことがある。そのため、お団子の形が里芋をイメージした形になるのだ。
私はお月見団子といえば、関東風のものをイメージしていたので、初めて関西風の形を見たときは驚いた。「え?! お月見団子って積み重ねなくても良いの?」と、当時は思ったものだ。
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雑学まとめ
同じ食べ物1つとっても、見た目が異なるのはおもしろい。桜餅ができたのは関東だが、関西では、その土地に定着していた道明寺粉と関東の「桜の葉を巻く」という発想がミックスしたものになった。
関西風桜餅は、同じ日本でも、地域の文化交流が形になったように見えてとても興味深い。桜餅を食べることがあったら、今回の雑学をぜひ思い出してほしい。
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