野球やボクシングの試合などを見ていると、左利きの人のことを「サウスポー」と呼ぶことがある。なんか横文字でカッコイイな、なんて思っていたが、よく考えてみればどうしてサウスポーっていうのか謎である。
左って、そもそも英語だとレフトでしょ? レフティという言い回しもあるし…ますますわからなくなってくる。なんでもその答えは1891年当時の野球場に隠されているというぞ?
【生活雑学】左利きが「サウスポー」と呼ばれる理由とは?
【雑学解説】南から手が出てくるから「south(南)pow(手)」
左利きのことをサウスポーと呼ぶのは、一説には野球の左投手の腕の出どころを表したものだとされている。ちなみに「サウス(south)」は英語の南、「ポー(pow)」は動物の前脚のことだが、この場合は手と考えていい。
つまり「南から手が出てくる」という意味になるのだが…どうして南なんだ? これにはこの言葉ができた1891年当時の野球場の設計が関係している。
当時の野球場はデイゲームが行われた際に、日差しがバッターの妨げにならないよう、バッターボックスはマウンドの西南西に作る決まりになっていた。
試合が行われる時間には、ちょうどバッターの視界に入らない後ろの位置に太陽が上がっているということだ。ピッチャーや守備の人たちは眩しいんじゃ? という疑問はあるが…。
そこからおおざっぱに考えて、バッターボックスが西だとすれば、二塁ベースが東にあることになる。するとピッチャーの左手は南から出てくるというわけだ。
「サウスポー」の語源にはほかの説も?
前述の野球場の配置から、サウスポーという言葉を考えたのは、スポーツライターのチャールズ・シーモアだとされている。スポーツ誌内でこの言葉がいきなり使われたのなら、斬新な表現として注目されたに違いない。
…と、言いたいところだが、実はこれが起源というのは間違いだという話もある。
「野球が生まれる前の1813年にはすでにサウスポーという言葉が、マンガで使われていた」というものから、「アメリカ南部出身のピッチャーに左利きが多いからでは?」というものまで、さまざまな憶測が飛び交っているのだ。
チャールズさんが生きていれば、どこから生まれた言葉か真相をたしかめることもできるのだろうが…。
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【追加雑学】左利きには天才肌が多い?
クリントンにオバマ、ブッシュと直近のアメリカ大統領には、左利きの人物がズラッと並ぶ。全人口の10%ほどしかいない左利きの人が大統領になる確率を考えると、これは偶然ではないようにも思える。
また音楽家のモーツァルトや画家のピカソ、発明王エジソンなど、歴史上の天才と呼ばれる人たちにも左利きは多い。よくいわれるように、左利きはやっぱり天才肌なのだろうか?
左利きはイメージを司る右脳が発達しがち
脳のメカニズムには謎が多く、これに関する確証は得られない。しかし左利きであることが脳に影響を及ぼしているのはたしかだ。
基本的に人間の右半身は左脳がコントロールしており、左半身は右脳がコントロールするといわれている。よって左手を動かす機会が多い左利きの人は、左脳より右脳が発達している傾向にあるという。
左脳は言語を司り、右脳はイメージを司る。つまり左利きの人は、右利きの人より物事をイメージする力が強いということだ。
何か革新的なことを成し遂げるには、これまでになかったことをイメージする力が問われる。よって左利きの人が天才肌と呼ばれることも、あながち間違いではないのかもしれない。
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左利きはストレスフルな状態にさらされる頻度が多い
世の中の物は基本的に右利き用に作られているから、左利きの人は使いにくいものを使わざるを得ない場面が多々ある。その分、頭を使うから脳が発達するのでは? という話もあるぞ。
一方、そういったストレスフルな状況に置かれることで、左利きの人の寿命が短くなっているという説もある。
1991年にカナダの心理学者スタンレー・コレンが発表した研究によると、アメリカの南カリフォルニアの統計で、左利きの人は右利きより、平均して9歳も早死にだったという結果が出ているのだ。
ただそもそも絶対数が少ないのだから、統計を取ったとして一概にいえるものではなさそうである。
雑学まとめ
左利きをサウスポーと呼ぶのは、この言葉ができた当時の野球場の設計の関係で、左投手の腕が南側から出てくることにあった。カッコイイ響きの言葉だな、と思っていたが「南から手が出てくる」などといわれると、そうでもないような気もしてくる…。
対抗して「俺はノースポーだから!」などと言ってみようか。