水族館にいる生き物、と聞いてパッと思い浮かぶ動物はなんだろうか。私の場合は、イルカ・アザラシ・ペンギン、変わり種だとチンアナゴあたりが頭に浮かぶ。
正直にいうと「水族館に行こう」で「ラッコ見たい!」と思ったことはない。しかし、実際に見るとラッコは実にかわいいのである。丸っこく愛らしい顔立ちがまずかわいい。また、お食事タイムには、お腹の上で器用に貝を割る姿を見ることもできる。
さて、この貝を割るときにお腹にのせている「石」なのだが、実は毎回同じものを使っているらしい。
今回の雑学では、ラッコのマイストーンについて調べてみた。
【動物雑学】ラッコはマイストーンをもっている
【雑学解説】ラッコのマイストーンはわき腹にあるポケットにしまわれている
ラッコはイタチ科カワウソ亜科ラッコ属の動物で、イタチ科の動物の中で、海に進出・適応した唯一の現生種といわれている。
貝や甲殻類・ウニなどを食べて生活しており、歯が立たないほど固い食材に当たるとマイストーンの登場である。
お腹の上にマイストーンを出して獲物をぶつけ、中身を取り出して食べるのだ。ラッコそれぞれに使いやすい石があるらしく、気に入った石があるとそれを使い続けるのである。
ラッコのわき腹には余った皮がたるんでできたポケットのような場所があり、使わないときにはそこにしまいこんでおくのだ。
また、陸地に隠しておくこともある。その場合にも必ず決まった場所にしまうことで、マイストーンをなくさないようにするとのこと。なかなか几帳面である。
マイストーンをなくすと、食欲がなくなってしまうラッコもいるんだとか。人間は箸や茶わんをなくしてもそこまで落ち込まない。ラッコは繊細である。
霊長類以外で道具を使うことが明らかにされているほ乳類はラッコだけ、といわれている。地味な印象のあるラッコだが、実はすごいのである。
【追加雑学①】毛が汚れたラッコは溺れることがある
ラッコは体毛の密度が非常に高いことでも知られている。人間でいうと、6㎠の皮膚に頭髪すべてが生えているのと同じくらいの密度で毛が生えているとのこと。明らかに生えすぎである。
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しかし、この毛深さにも理由がある。ラッコは毛のすき間に空気を貯めることで、浮力を得ているのである。
毛皮が汚れると、毛のすき間がなくなって空気が逃げてしまう。すると浮力が足りなくなって溺れてしまうラッコもいるのだ。また、毛のあいだに貯めた空気は潜水時の体温維持にも役立っている。
浮力と体温維持のために、ラッコは起きている時間の大半を毛づくろいに費やしているのである。
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【追加雑学②】ラッコは真水を飲まずに生きることができる
人間をはじめとするほ乳類のほとんどは、生きるために真水が必要である。ところが、ラッコはほ乳類であるにもかかわらず、真水を飲まなくても生きていける。
ラッコは毎日大量のエサを食べる。そのエサに含まれる水分を吸収しているので、他の水分補給は必要ないのである。
エサからとる水分には、当然多くの塩分が含まれている。その過剰な塩分を排出するため、ラッコの腎臓はカワウソ類の平均の2倍の大きさがあるという。
陸地から海に進出・適応するために、ラッコの体が進化したといえよう。
【追加雑学③】ラッコは海藻を寝床にしている
ラッコは海に浮いたまま眠る。しかし海には当然潮の流れがあり、ただ浮いたまま眠ったのでは大海で迷子になってしまう。
そこで、ラッコたちは海藻を体に巻きつけて流されないようにして眠るのである。実に賢い。ちなみに海藻のない水族館ではこんな光景を見ることができる。
再生時間1分くらいのところで手を繋ぐラッコ…! 流されるわけもないのに手をつないで眠っている。かわいすぎる…! 各水族館のみなさまには、もっとラッコ人気を後押ししていただきたい。
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雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。ラッコのわき腹にポケット状のひだがあるとは知らなかった。腎臓の大きさといい、必要があるとうまい具合に進化するものだと感心させられる。
今までは、石を使って貝を割るラッコの姿をなにげなく見ていた。しかし、霊長類以外で道具を使える哺乳類はラッコだけと聞くともっと真剣に見ようという気になった。
毛を清潔にしておかないと溺れてしまうというのも驚いた。身だしなみどころではなく、命がけの毛づくろいだったとは脱帽である。
かわいらしいラッコにもさまざまな秘密が隠れていた。次に水族館へ行くときには、マイストーンに注目してラッコを楽しむことにしよう。