広大な海原に浮かぶ船。一見なんの疑問も抱かない光景だが、あれだけ大きな鉄の塊をどうやって浮かべているのだろう。我々の認識では鉄は水に入れると沈むというのは一般的だ。
しかし、豪華客船やタンカーなどの大型の船は何トンもあるのに沈まない。いままでは当たり前のことだと思い込んでいたが、説明しろといわれたら正直困ってしまう。
いつか、子供に質問されたときにスマートに答えられる大人でありたい…。今回はそんな人のために、船が浮かぶ原理についての雑学をご紹介していくぞ!
【生活雑学】船が海に浮かぶ原理とは
【雑学解説】船が浮かぶ原理は…鉄を浮かせる浮力!
古代ギリシャの学者・アルキメデスはある日、風呂場で「物体を浮かせる力」を思いつく。彼は、水などの流体の中に物体を入れると、その物体が押しのけている流体の重さと同じ大きさで上向きの「浮力」を受けることを発見したのだ。かの有名な「アルキメデスの原理」である。
「物体が押しのけている流体の重さ」というのがわかりづらいが、ようは、浮かべたものが水を押す力である。たとえば、コップに満タンの水を入れ、その中に物体を落とすと、押しのけられた分だけ水があふれてくる。このあふれた水の重さが、「物体が押しのけている流体の重さ」である。
この「物体が押しのけている流体の重さ」よりも物体そのものの重さが大きければ沈み、小さければ浮く、ということになる。船はこの原理を利用して海に浮いているのだ。
鉄でできた大型の船はより浮力を大きくするため、水に接する面積を広くして、中に空洞を作ることで[流体を押しのける力>船の重量]としているため、海に浮かべても沈まないのである。
ちなみに、浮力の計算は以下の公式によって求めることができる。
F(浮力)=p(流体の密度)×g(重力加速度)×V(「物体が押しのけた流体」の体積)
流体の密度は流体によって変わるが、水の場合1000[kg/㎥]、海水の場合は1030[kg/㎥]で、数字が大きいほど浮きやすい流体とされる。この場合、水よりも海水の方が浮力が大きいということになる。
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【追加雑学】万が一の転覆も安心の船。サンダー・チャイルド。
船は船自体の重心と海に浸っている部分の中心(浮心)の連動によって、ちょっとやそっとの波では転覆しないように出来ているが、この重心と浮心が大きくずれると一瞬で転覆してしまうので、小型船など重心と浮心が離れている船は転覆しやすいので注意が必要だ。
しかし、ここに転覆をもろともしない頼もしいボートが開発された。Safehaven Marine社の作る「サンダー・チャイルド」である。
このボートは船自体の重心を船底に置くことで、万が一転覆しても自力で戻ることができるのだ。まずはその勇姿をご覧あれ。
動画を見てもおわかりのように、船内は完全防水。さらに船体も繊維強化プラスチックで軽量に作られているため、重心を船底に配置することを可能としている。
全長17m、定員10人乗りで、アイルランド海軍ではすでに導入されている。救助活動などで活躍しているが、残念ながら日本では未発売。購入はアイルランドまで。
雑学まとめ
今回の雑学では、船が水に浮かぶ原理について解説してきた。
プールに入ったときに体が軽く感じるのも、人間の体に浮力が働いているからである。おふろのお湯があふれ出るのも、我々の体が押しのけた水があふれ出たもので、あふれる水の量が多いほど、大きな浮力が働いている。
よく、太っている人の方が水に浮きやすいという話を聞くが、これは体重のせいではなく、水を押しのける面積が広いから、というのが正しい理解である。筋肉質で細い人よりも、脂肪だけで幅が広い人の方が浮くということのようだ。
つまり、水に浮かびたいときは水面に対して接地面をより広くとることが重要なのである。
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