あんかけや麻婆豆腐などの料理でとろみをつけるのに使われる片栗粉。豊かな食卓を作るためには欠かせない調味料の1つだ。
ただの白い粉にしか見えないのに、なぜか料理にとろみを与えてくれる。一体片栗粉とは何物なんだ…!
食卓に欠かせないにも関わらず、片栗粉のことを何も知らないとは、なんて私は無知なのだろう。自分の口に入れるもののことは知っておきたい!
そこで今回は、片栗粉の正体に関する雑学をご紹介しよう。あのとろみを与えてくれる粉の真相を、ぜひ皆さんにも知っておいてもらいたい。
【自然雑学】片栗粉はカタクリという植物から作っていた
【雑学解説】片栗粉はカタクリの根茎からとれるデンプンで作る
カタクリの粉だから、片栗粉。名前の通りだとわかっていても、植物があの白い粉状になるというのは、あまりイメージがわかないものだ。そもそも植物なら緑色になるのでは?
片栗粉は、カタクリの花や葉っぱなどの地上に出ている部分から作られているわけではない。片栗粉の原料となる部分は、地中にあるのだ!
ここでちょっとした雑学を紹介しておこう。カタクリのようなユリ科の植物では、地中で茎や葉などが肥大化し、根茎や鱗茎という貯蔵器官を作ることが多い。チューリップの球根も鱗茎だ。
カタクリでは地中に伸びた茎の「地下茎」が肥大化した、「根茎」が作られる。この根茎こそが片栗粉の原料である! 地下で育っていたのか片栗粉…!
もちろん根茎がいきなり片栗粉へと変わるわけではない。片栗粉の元となるデンプンのみを布で漉(こ)して抽出し、綺麗な白色になるまで不純物を取り除き、乾燥させてできあがるのだ。
手作業でやるとなると、根気のいる作業である。さらに1本のカタクリから取れる片栗粉は極僅かな量。あんかけ料理を食べるためには、とてつもない労力が必要だったのか…。
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【追加雑学①】現在の片栗粉はジャガイモのデンプンで作ることが多い
片栗粉はスーパーで手軽に購入できる身近な調味料だ。カタクリからは極僅かな量しか作れないのなら、もっと貴重な調味料になるのではないか?
家に袋に入った片栗粉がある人は、確認してみて欲しい。実は現在の片栗粉は、ほとんどが馬鈴薯(ばれいしょ)というジャガイモのデンプンから作られているのだ…!
片栗粉という名前なのに、カタクリではないとはどういうことだ。それはもうジャガイモ粉だろう。
何を隠そう、北海道でのジャガイモ栽培が盛んに行われるようになった明治時代以降には、ジャガイモの片栗粉が主流となっている。
これはカタクリとジャガイモから取れるデンプンの性質が似ていたためだ。自生している野草のカタクリと栽培されたジャガイモでは、ジャガイモから作るほうが効率的なのである。
【追加雑学②】カタクリは「春の妖精」とも呼ばれる植物
片栗粉の原料となっていたカタクリは、片栗粉だけでなく植物としても愛されているというのもトリビアとして知っておいてもらいたい。
カタクリは春の初めに、薄紫からピンク色の綺麗な花を咲かせる。なんとも春らしい色だ。群生地ではおよそ2週間程度、カタクリの花を楽しむことができるぞ!
花が散った後も初夏までは葉をつけているが、その後は葉も枯れ地下で過ごす状態となる。地上でカタクリの姿を確認できるのは、短い期間だけということだ。
こういったカタクリのような生活を送る植物は、「スプリング・エフェメラル」と呼ばれている。なんだかかっこいい…!
エフェメラルには「はかない」といった意味がある。そのまま訳せば「春ははかない」となるが、ひとひとねりを加え「春の妖精」と呼ばれることが多い。春を告げるはかない植物だから、春の妖精。なんてロマンチックなんだ…!
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【追加雑学③】日本の代表的なカタクリ群生地はここ!
カタクリは日本に自生しているが、日常生活ではあまり見ることがない。実際にカタクリを見てみたいという人は、開花時期に群生地に行くのがおすすめだ!
カタクリは山野草のため、群生地も自然が残っている山が多い。けれどもカタクリを見るためだけにいきなり山に登るのは少々ハードルが高すぎる。
山登りに慣れていない人のために、今回は比較的行きやすいカタクリの群生地をいくつか紹介するぞ! 近場にある人にはぜひ訪れてもらいたい。
・北海道旭川市の男山自然公園
・青森県黒石市のカタクリの小径
・山形県鶴岡市の下田沢かたくり園
・群馬県みどり市の岩宿の里
・神奈川県相模原市の城山かたくりの里
・愛知県豊田市の香嵐渓
開花期間は長くても2週間程度と、とても短い。見に行きたい人は、例年の開花時期やその年の開花情報をしっかりとチェックしておこう。
今すぐカタクリの花を見たいなら動画がおすすめ!
どうしても今すぐにカタクリの花を見たい人や、開花時期に見に行くのが難しい人のために、カタクリの美しさを楽しめる動画を見つけてきたぞ!
一面に可憐なカタクリの花が咲く、春の訪れを感じさせてくれる見事な光景だ! 動画を見ているだけでも癒される。
事前に動画でどんな場所なのかチェックしておくと、実際に見に行くときの服装なども考えやすくなるぞ。カタクリを見に行く前の予行演習としても、動画はおすすめだ。
【追加雑学④】カタクリは地域によっては絶滅危惧に指定されている
可憐な春の妖精・カタクリは、本当にはかない存在だ。なぜなら、絶滅危惧に指定している地域が多いのである! 絶滅危惧と聞くだけで今にも滅びそうなはかなさを感じる。
先に紹介した城山かたくりの里がある神奈川県でも、絶滅危惧の指定を受けているのだ。群生地のある地域ですら絶滅が懸念されているとは…。
カタクリを見に行く際には踏み荒らしたりしないよう、マナーにも配慮して見学して欲しい。1本くらいならと、抜いて持ち帰るような行為も禁止だぞ!
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雑学まとめ
今回は片栗粉はカタクリという植物から作っていたという雑学と、カタクリにまつわるトリビアを紹介した。いかがだっただろう。
カタクリから片栗粉とは何のひねりもない名前だと思いきや、現在はジャガイモから作られているとは…。まさかの展開に驚きである。
絶滅が懸念されているカタクリの花も、実際に見に行ってみたいものだ。見に行くときは歩きやすい服装をし、マナーを守って見学しよう!