筆者は食べたものがすぐ出るので、いくら食べても太らないタイプだ。そのためしばしば「胃がないんじゃないのか」と冗談を言われることがある。自分でもなんだか栄養を無駄にしているようで、もったいない…。多分関係ないけど。
ところで、魚にも筆者のような体質の者がいるという。しかも彼らは「胃がないんじゃないのか」が、冗談じゃ済まないというぞ。いやいや…胃のない魚なんて…え? けっこういるの?
【動物雑学】腸だけで胃がない魚はけっこういる
【雑学解説】無胃魚に胃がなくてもいい理由とは?
胃のない魚で代表的なものを挙げると、ざっとこんな感じだ。
- サンマ
- イワシ
- トビウオ
- サヨリ
- トラフグ
- フナ
- メダカ
彼らの総称は「無胃魚(むいぎょ)」。めっちゃそのままである。
もちろんこれ以外にもいるが、キリがなくなってしまうので紹介はこのぐらいにしておこう。そういえばサンマやイワシは内蔵を取り出さず、焼いて丸々食べられる印象があるな。
しかし胃がないって…食事をしないわけじゃないだろ? と思っていたら、彼らと胃のある魚との違いは、どうやらその食事にあるのだとか。
タイやカツオのような、胃のある有胃魚(ゆういぎょ)は、エビや小魚といった比較的大きなエサを食べるため、胃を使って何時間もかけて消化を行う。
一方、無胃魚は基本的に小さなプランクトンなどを食べるため、消化するのに大掛かりな器官は必要ないのだ。そのため体内は食道と腸が直接つながったシンプルな構造。食べたエサは30分ほどで消化・排出してしまうというぞ!
無胃魚はその燃費の悪さも相まって、日中は常にエサを食べ続けている。うーむ、体が小さいと大きな魚に食べられてしまうことだってあるだろうし、無胃魚はいろいろ大変そうだ…。
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【追加雑学①】サンマの内臓からウロコ?
無胃魚はプランクトンが主食のはずなのに、サンマを食べたら内蔵からウロコが出てきた! という経験がある人もいるだろう。
これはサンマが「棒受け網漁」という方法で捕獲されていることが関係している。棒受け網漁は、夜間に光で魚をおびき寄せて、網で一気に捕獲する漁法だ。
網で一気に捕らえると聞いて、ピンと来た人もいるだろう。そう、網のなかは通勤ラッシュ並みのもみくちゃ状態。このときに剥がれ落ちたウロコが仲間の口に入ってしまうことがあるのだ。
断じて、サンマが共食いをしているわけではないぞ!
以下の動画では棒受け網漁の様子を紹介している。これは予想以上のラッシュである…。
【追加雑学②】サンマはやっぱり目黒に限る。目黒のさんま祭り!
無胃魚の王様サンマ。秋口になると良心的な値段と、脂の乗った絶品度合いで家計を助けてくれるサンマ。
東京の目黒では、そんなサンマのお祭りが毎年開催されている。「目黒さんま祭り」と、「目黒SUNまつり」だ!
庶民にはおなじみのサンマといえど、これだけズラッと並んで焼かれているところはそうお目にかかれない。匂いだけでヨダレが出てきそうだ!
さんま祭りでは岩手県宮古産、SUNまつりでは宮城県気仙沼産のサンマが、なんとそれぞれ無料で振る舞われる。野外で食べるシチュエーションも相まって、いつもよりおいしく感じるはずだ!
毎年9月には総勢3万人近くが訪れる目黒のさんま祭り、SUNまつりを要チェックである。
雑学まとめ
おなじみのサンマやイワシをはじめ、小さなプランクトンをエサにする魚たちには、胃がないことがわかった。ほとんど消化に手間もかからないような、味気ない食事を延々と続けている無胃魚…なんだか気の毒に思えてきたぞ…。
いや…プランクトンも意外とおいしいのか? それとも味という概念すらないのか? 真相は、胃のない彼らのみぞ知るところである。