相撲界では、下位の力士を独特の名前で呼ぶらしい。その名も、「虫メガネ」。しかし、力士に虫メガネのイメージはまったくない…
どちらかというとかけ離れている存在だと思うが、なぜ力士を虫メガネと呼ぶのだろうか? 力士と虫メガネにいったいどんな関係が…?
というわけで、今回の雑学では下位の力士を虫メガネと呼ぶ理由を調べてみたぞ! いわれてみると「なるほど!」と納得すること間違いなし。
ついでに、相撲番付表に書かれている謎の言葉「蒙御免(ごめんこうむる)」についても紹介させてくれ! さすが日本の伝統文化だけあって、話は戦国時代までさかのぼるぞ。
【スポーツ雑学】相撲界では下位の力士を「虫メガネ」という
【雑学解説】相撲界で下位の力士を「虫メガネ」と呼ぶ理由は、番付表の力士名が下に行くほど小さくなるから
大相撲には「番付表」という名の、ランク別の力士の順位表がある。力士のランクは大きく分けて6つある。
- 幕内
- 十両
- 幕下
- 三段目
- 序二段
- 序ノ口
横綱・大関・関脇など、有名どころは幕内に入る。
実際に見てみないと番付表がどんなものか分からないと思うので、番付表を写した動画をまずは見てくれ。
番付表では、一番上の段に横綱・大関などの力士名が書かれ、下に行くほどランクは下がっていく。見て分かる通り、特徴的なのは上の段ほど字が大きく、下の方では正直何が書かれているのかよく分からないくらい文字が小さいことだ。
一番ランクが下の「序ノ口」になると、初めて番付表に自分の名前が載ることになるのだが、力士の中では一番下に名前が書かれるので、普通に見るとまず読めない。小さすぎて虫メガネを使わないと読めないから、下位の力士は「虫メガネ」と呼ばれるのだそうだ。
いくら小さいといっても頑張れば読めるんじゃないかと思っていたが、映像を見る限りでは解読は無理そうだ…ちなみに一番下の段で比較的大きめに書かれているのは親方や行司たちの名前で力士の名前ではないぞ。
1枚の紙にあれだけたくさんの力士名を書こうと思ったら、無理があるのは仕方ない。番付表に載る力士の数は一定ではないが、力士だけでも630人程度はいるらしい。ちなみに、平成6年の943人が最多記録なのだという。
さらにそこに年寄(親方)や行司・理事・床山(髪を結う人)・世話人などの名前が200人分くらい追加される。書く方が大変だ…
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【追加雑学】相撲の番付表の一番上には「蒙御免(ごめんこうむる)」と書かれている
上の動画を見て気付いた人もいるかもしれないが、実は番付表の中央最上部には「蒙御免(ごめんこうむる)」と大きく書かれている。
横綱よりも大きな字で、ど真ん中に目立つように書かれているのはなぜなのか? 実はこの「蒙御免」には、「興行の許可を得た」という意味があるのだ。
「蒙御免」と書かれるようになったのは、江戸時代の頃の勧進相撲の名残だといわれている。勧進(かんじん)とは聞き慣れない言葉だが、仏教用語で「寺院や仏像を新たに作ったり修繕したりするための費用を信者などから寄付してもらう」ことをいう。
戦国時代後期に寺社の建築修復費用の調達を目的に始まった勧進相撲は、1648年に風紀を乱すという理由で江戸幕府によって一度興行が禁止された。しかし数十年経つと解禁されるようになり、寺社奉行(宗教行政機関)から許可を得られれば、勧進相撲をやってもいいということになったのだ。
そこで、「ちゃんと許可を得て興行しているんですよ」と示すために「蒙御免」とデカデカと書くようになったのだ。今でもそのことが慣例として残っている。
ただ、このスペースがあるなら、下位の力士たちの名前をもう少し大きく書いてあげてもいいのではないだろうか…
雑学まとめ
今回の雑学では相撲界の不思議な風習について紹介したが、いかがだっただろうか。
たしかに下位の力士名は小さすぎて、虫メガネがないと読めないくらいだ。読めない字をどうやって書くのかと思っていたら、実際は番付表より4倍大きいサイズの紙に書いているらしい。わざわざ縮小しなくていいと思うぞ…
番付表に「蒙御免」と書かれているとは初耳だったが、伝統的なスポーツだけあって歴史を感じさせる。ちなみに番付表を書くのは行司の仕事だ。約10日かけて1人で書きあげるらしい…まさに縁の下の力持ちである。
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