『ドラえもん』のスネ夫といえば、藤子・F・不二雄作品では鉄板の金持ちキャラ。いつも金持ち自慢ばかりしてくる嫌味なマザコンだ。
何かあるとすぐに「マ~マ~!」と泣き出すあたり、いかにも甘やかされて育った感が出ている。スネ夫には兄弟もいないし、きっと親の愛を独り占めして育ってきたに違いない…と思うところだ。しかし実は…
スネ夫は一人っ子ではない。弟がいるのだ!
え…? スネ夫の弟なんか見たことないけど? という人も多いだろう。それもそのはずで、スネ夫の弟は養子に出されていて、骨川家では暮らしていない。
なんだよ…その国民的アニメらしくない、訳あり設定…。今回はそんなスネ夫の弟の雑学に迫っていこう!
【サブカル雑学】スネ夫の弟「スネツグ」とは?【ドラえもん】
【雑学解説】突然登場したスネ夫の弟。
ドラえもんの主要キャラクターといえば、兄妹がいるのはジャイアンぐらいなもの。スネ夫に弟がいるイメージをもっている人は、そんなにいないだろう。
しかし彼には正真正銘、血を分けた弟が存在する。その名も「スネツグ」!
君は覚えているかスネ夫の弟のスネツグを! pic.twitter.com/kRsjTokkZ4
— CH* (@SxE65111049) October 31, 2019
ん…? これって『キ〇レツ大百科』の「トン〇リ」じゃないのか?
いやいや、彼の名前はスネツグだ! トンガリなんて変な名前ではない! …ともあれ、スネツグがどんなキャラクターかが気になるところである。
彼があまり知られていないのは、なんといってもその登場頻度の少なさからだ。
アニメでは「スネ夫は理想のお兄さん(てんとう虫コミックス40巻収録)」という回においてのみ、一時帰国したスネツグが登場し、それ以外は一度も出てこない。
そして彼が原作やアニメに全然登場しないことにもちゃんと理由がある。「ニューヨークに住むおじさんの養子になっているため、普段は日本にいないから」だ。
ちなみに視聴者は誰も知らないスネツグに対し、のび太たちは当たり前のように「大きくなったなあ」などと感想を述べている。無理やり進めるなオイ。
それにしても…幼くして養子に出されたなどと聞くと「なんか訳ありなのか?」などと思わされる。しかし、骨川家が子ども2人を育てるぐらいはものともしないほど裕福なことは誰もが知るところだ。
しかも養子に出されたおじさんの家もやっぱりお金持ちで、家にプールやテニスコートがあるぐらいだという。というかニューヨークに住んでいる時点でとんでもない金持ちである。
となると、スネツグは将来大物になるべく、ニューヨークという洗練された街へ送り出されたとか…? あるいはスネ夫の両親がバイリンガルの息子に憧れてたとか…?
どちらにしても兄貴より期待されてるじゃないか。スネ夫…お疲れ様。
…という話ではない。スネツグが養子にされたのは、骨川家の事情ではなく、実は原作者「藤子・F・不二雄先生」の都合なのだ。
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スネ夫の弟が養子に出された理由がヒドい
実のところ、スネツグは1970年代に連載されていた原作初期のストーリーにおいては、普通にスネ夫と一緒に暮らしている。以下の回にて、それぞれスネツグが登場するぞ。
- 「お化けたん知機」…1970年連載
- 「アリガターヤ」…1971年連載
- 「お返しハンド」…1972年連載
これ以降は、1984年に連載された「スネ夫は理想のお兄さん」までスネツグが登場しない。そう、最後に登場した話から、12年も出番が開いてしまったのである。
その理由はなんと…「藤子・F・不二雄先生が忘れていたから」だ。
当時、ドラえもん以外にも多数の連載を抱えていた藤子先生は、ついついスネツグの存在を忘れてしまっていた様子。
つまりスネツグは再登場するにあたり、「あ…コイツ12年も出てきてない…。仕方ない…養子に行ってたことにするか」という、つじつま合わせで海外行きになったのだ。
兄貴より期待されているのかと思ったら、スネツグはけっこう不遇な扱いのキャラだったのだな…。
ちなみに、原作初期に登場したスネツグはまだ幼稚園児で、スネ夫のことを「おにいたん」と呼んでいる。
【追加雑学①】スネ夫の弟があまり知られていないのはなぜ?
アニメに登場したのが1回だけなら、アニメでドラえもんを楽しんでいる人がスネツグを知らないのも無理はない。しかし意外なことに、スネツグの存在を知らない人は原作ファンでも多い。
え…初期のストーリーにはわりと出てきてたんだよね? 刊行されたなかでも最初のほうの巻って、注目度は高い気がするけど…? と思うところだ。
しかし、スネ夫の弟の存在が原作ファンにも知名度が低いことには、ドラえもんが単行本として刊行されるようになった時期が関係している。
ドラえもんの連載は1969年より、『小学一年生』『小学二年生』といった、小学館の子ども向け雑誌にて始まった。
これに対して、てんとう虫コミックスより、単行本として刊行されるようになったのが1974年の話。ドラえもんがコミックスになったのは、連載開始より何年も後の話なのだ。
そしてスネツグが登場するのは1970~1972年まで。つまりこれらの話が、1974年~刊行されたコミックスには載らなかったのである。
その後、1986年から刊行された『藤子不二雄ランド』というシリーズの単行本にて、スネツグの登場回が収録されたことはあった。しかしこちらは90年代に絶版となってしまったため、今は手に入りにくいシリーズとなっている。
こうしてスネツグはその存在を、原作ファンからも長らく忘れ去られることになったのだ。
ちなみに現在は『藤子・F・不二雄大全集』というシリーズにて、すべてが収録され、スネツグの登場シーンも普通に読めるようになっている。
また2009年に刊行されたてんとう虫コミックスの『ドラえもんプラス』『ドラえもん カラー作品集』においても、一部のストーリーが収録されているぞ。
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【追加雑学②】スネ夫の弟「スネツグ」の性格
スネ夫の弟といわれると、なんとなく「スネツグもさぞかし性格の悪いヤツなのだろう」と思ってしまう。しかしアニメの「スネ夫は理想のお兄さん」の回で登場したスネツグは、まったく嫌なヤツではなかった。
スネ夫は遠く離れた弟と文通でやり取りをしており、普段から自分のスペックをこのように語っている。
- 成績は学年トップ
- スポーツ万能
- 女の子にモテモテ
- ガキ大将のジャイアンも自分には頭が上がらない
どのように暮らしているかわからないのをいいことに、詐欺師っぷりがなかなかにヒドイ。
ここまでくれば、いくらなんでも嘘だとわかりそうなものだが、スネツグはこれを完全に信じ込み、スネ夫を「理想のお兄さん」と慕っているのだ。スネ夫の弟なのにこの純粋さである…。
そして彼が一時帰国した際も、ドラえもんがスネツグの純粋さに心を打たれ、その夢を壊さないため、スネ夫の嘘を道具を使って隠している。スネ夫よ…次、スネツグに会うときまで精進するんだぞ!
日本にいたときは嫌なヤツだった
とはいえ、原作初期に登場するスネツグは、上記のような素直な少年ではない。
スネ夫と一緒になってのび太に意地悪をするという…憎たらしいクソガキだった。
役に立たない豆知識
実はスネ夫にはスネツグという弟がいるが、ニューヨークの親戚の養子として引き取られている。(イメージキャップの回に登場)ちなみにスネ吉兄さんはよくお兄さんと勘違いされているが、従兄である。 pic.twitter.com/MhXHzPQfin— ✒️神田氏 (@Penga810_kanda) March 20, 2020
なんか顔まで変わってないか。
育った環境の違いが、彼の性格を大きく変化させたというのか…。骨川家…ドンマイ。
「スネ夫の弟」の雑学まとめ
今回はドラえもんに登場するスネ夫の弟「スネツグ」の雑学を紹介した。
12年の月日を経て晴れて再登場したものの、海外で暮らしているという設定上、彼の今後の活躍はあまり期待できない。そして原作での登場回も、長らく単行本にならなかったという不遇っぷり。
純粋で良い子なのに、なんだか報われないなあ…。
しかしよく考えてみれば、スネツグ以外のスネ夫の家族は「ママ」「パパ」としか呼ばれない。唯一本名が設定されている点は、せめてもの救いといっていいだろう。
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