小さな体に、ギョロっとした大きな目をもつメガネザル。名前のとおり、メガネをかけているように見えるほどの大きな目を、グリグリと動かして上下左右に幅広く見渡すことができると思っている人は多いのではないだろうか。
しかし、メガネザルの目は、実は大きすぎて動かすことができないという。
小さな体でパッと見は可愛らしいのだが、あの大きな目でじろりと見られたら、ちょっと怖い気もするこのメガネザル。マレーシアではオバケザルとも呼ばれているようだ。
ということで今回は、動かせないほどの大きな目をもつ、メガネザルにまつわる雑学を紹介するぞ!
【動物雑学】メガネザルは目が大きすぎて動かせない
【雑学解説】メガネザルの目は、眼球が大きすぎて頭蓋骨との間にすきまがない
メガネザルは、体長12cm程度、体重100gほどの小さな動物。夜行性で、一日のほとんどを木の上で生活している。
一番の特徴はなんといっても大きな目。まるで頭から飛び出したかのように見えるほどの大きな目だが、この目と頭蓋骨との間にはほとんどすきまがなく、動かすことができないというのだ。
1つの眼球の大きさは約16mmで、なんと自分の脳と同じ大きさになるそう。脳と同じ大きさの眼球が2つ…。もはや小顔なメガネザルの頭蓋骨の大部分は、目であるといってもいいだろう。
動かせないほどの大きな目…。いったいなぜ、そんな大きな目をしているのだろう...。私としても気になったので、メガネザルの目について、もう少し詳しく調べてみた!
なぜ大きな目になったのか
夜行性の動物が夜でも獲物を見つけられるのは、眼球の中に「タペータム」という反射膜をもっているからだという。ちなみに夜に猫の目が光って見えるのも、このタペータムの作用だ。
おすすめ記事
-
便利な機能!暗闇で猫の目が光る理由とは?
続きを見る
タペータムには、反射板のような役割をして、網膜から目に入ってきた光を反射させる役割がある。さらに、もう一度網膜に光を送り返し、少しの光を二度利用することで、月明かりなどのわずかな光しかない夜でも、ものを見ることができるのだ。
しかし、夜行性であるにもかかわらず、メガネザルの目にはこのタペータムがない。
実はメガネザルは、進化の過程で昼行性になった時期があり、不要になったタペータムを失ってしまったのだ。
その後、再び夜行性へと戻ったのだが、夜に活動するために必要なタペータムを再生できず、目が大きく進化して、わずかな光でもとらえることができるようになったと考えられているそうだ。
つまり、彼らはわずかな光をたくさんとらえるために、大きなガラス玉のような目をめいっぱいに開いて、頑張ってものを見ているのである。
これがメガネザルの目力!
そんなメガネザルの大きな目をアップでとらえた映像を発見した!
別名オバケザルという名前にもふさわしい、迫力あるこの動画。心してご覧あれ。
こんな目で見られたら、かたまって目をそらすことすらできないかもしれない。…やっぱり、どうしてもちょっとこわい…。
スポンサーリンク
【追加雑学①】メガネザルは、獲物を目ではなく耳で探す
さて、メガネザルは、主に昆虫を食べて生きている。しかし、目を動かすことができないのに、すばしっこく動き回る昆虫を見つけることはできるのだろうか。
そんな心配をしながら調べてみると、実はメガネザルは目ではなく、耳で獲物を探しているというではないか…!
メガネザルは目ほどではないが、体のわりには大きな耳をもっている。その耳は、90キロヘルツの音を聞くことができるそうだ。我々人間の耳では20キロヘルツ程度の音しか聞こえていないので、メガネザルは人間の5倍近くの聴力をもっていることになる。
この鋭い聴力で、わずかな昆虫の動きを感じとり、獲物の居場所を察知しているというのだ。
…恐るべき地獄耳である。
【追加雑学②】メガネザルは首を180度後ろに回せる
耳で居場所を察知できても、目を動かせないメガネザルは、自分の前にいる獲物しか見つけることができないだろう。しかし、食べてくださいといわんばかりに、目の前に現れる昆虫はそういない。それでは、どうやって昆虫を捕まえているのだろうか?
実はメガネザルは、目を動かせない代わりに、首を180度うしろにまわせるという。 わずかな音をキャッチし、首をまわして獲物をロックオン! そして俊敏な動きで獲物をとらえているのである。...それにしても、180度の首回転とは、ちょっとしたホラーだな...。
雑学まとめ
今回は、メガネザルについての雑学を紹介した。
メガネザルは目が大きすぎて動かせず、前しか見えていない。しかし、鋭すぎる聴力と180度も回転するその首で、真後ろにいる獲物でも捕獲することができるのだ。
…それにしても、あんな小さな可愛らしい体をしているが、やはりあの大きな目は少し不気味に感じてしまう。オバケザルとの別名にもふさわしく、もしも夜中の月明かりの中で出会ってしまったら絶対に怖いだろうな…と思ってしまう筆者であった。
おすすめ記事
-
絶滅危惧種。ストレスで自殺してしまうサル"ターシャ"とは?【動画】
続きを見る