ある人はバカンスのために、ある人は自分探しのために、そしてまた別の人は自分の知らない文化を学ぶためにすること。そう、海外旅行。
日本にはないエメラルドグリーンの海、建造物や街並みが織りなす幻想的な風景、本場の絶品料理、数え上げればきりがないくらいの楽しみがある。素晴らしい。
しかし…海外にいくにはお金とそして何よりも時間がかかる。そんなまとまった休みを取ることも難しいし、長い時間飛行機なんかに拘束されている時間も億劫…。
それなら日本国内にある温泉にいってゆっくりしよう…海外は退職後にいこう。そんな悩みを抱えているみなさん…実は飛行機にも拘束されず、どの国にいくとしても、観光を満喫して日帰りできる方法があることをご存じだろうか。
海外旅行好き必見! 今回はそんな不思議な雑学を紹介していこう!
【自然雑学】地球の表から裏側まで穴を掘って飛び込むと、おおよそ42分で到着する
【雑学解説】その名も重力列車
そうなのだ。残念ながら、現実はそんなに甘くないのだ…。やっぱり海外旅行は定年後にゆっくり行こう…。
ただし! これは決して夢物語ではなく、もしかしたら将来的に実用されるかもしれない理論なのだ!
その名も「重力列車」。
ガリレオのピサの斜塔での実験をご存じだろうか? ピサの斜塔の上から、大小重さの異なる金属の玉を落とした実験である。結果は…重さが異なるにもかかわらず、同時に地面に落ちたのだ。
そう、空気抵抗を考えなければ、どんな物質でも落ちる速度に変わりはない。それが10グラムの消しゴムと10トンの金塊だろうとだ。
そして物質のもつエネルギーは、失われないかぎり、同じ量を保つことができる。
振り子を思い出してほしい。振り子は手を離すと、最初に持ち上げた高さと同じ高さまで上がる。そして少し最初より少し低い位置に戻ってきて、またその高さまで上がる。最終的には戻ってくる高さと上がる高さが徐々に低くなっていき、最終的には止まる。
あれは振り子のもっていたエネルギーが空気抵抗で失われていくからだ。逆をいえば、空気抵抗で失われないかぎり、振り子は最初と同じ高さまで上がって、また戻ってくるを繰り返すことになるのだ。…少し頭が痛くなってきたな…。
重力列車の理屈はまさにそれを使ったもの。本当に地球の表から裏まで穴を掘って貫通させる。そしてその中を真空にして空気抵抗をなくす。中へ入ると地球の中心に引っ張られる力で進み、中心を過ぎれば中心に引き寄せられる力で減速していき、ちょうど裏側で速度が0になって止まる。
空気抵抗をなくすことでエネルギーが失われることがないので、振り子と同じように、落ちた距離だけ上昇できる。つまり日本からブラジルに行けるのだ! 言葉にすればとても簡単に思えるな!
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【追加雑学①】しかし、実際のところは…
重力列車は理屈上では可能である。しかし…やっぱり現実は甘くない。
そもそも地球の中心を通るトンネルを掘ることが難しい。地球の中心部は高温高圧の液体が存在し、それに耐えることができるトンネルを設計し、それを維持させることが無理。
また、列車の形をとるのであれば、車輪で走らせるのではなく、リニアモーターカーのように磁力を使って浮かせる形になるのだが、その際にどうしても磁力の流れによって、抵抗が発生してしまう。
だから、実際に地球の中心に向かって落ちたとしても、同じだけの高さを上がっていくことはできないのである。最終的には地球の中心部分で止まる…地球の中心で助けを呼ぶことになるな…
【追加雑学②】考えたのはあのルイス・キャロル!?
この重力列車、考えたのはあのルイス・キャロルという説もある。実際に彼が書いた小説の中にこの重力列車が登場するのだから驚き。
また、ルイス・キャロルは作家だけでなく、数学者としても大変有名だから、こんな難しいことを考えつくのも頷けるところ。
不思議の国のアリスといい、ルイス・キャロルは穴が好きなのか…
【追加雑学③】時速28000キロメートルでボールを飛ばせれば…
重力列車は無理…なら代わりはないのか! といわれたら、ある! ボールを地面と平行に時速28000キロメートルで打ち出せば、地面に落ちることなく、こちらも地球の裏側までおおよそ42分で到着するぞ。
無理だろ! と思うかもしれないが、国際宇宙ステーションは実際にこの速度で地球を回っているから、こちらの方が全然実用的だ!
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雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。重力列車…ロマンあふれる空想の乗り物だ。
今はたしかに地獄への片道切符かもしれない…現代の科学で考えたら絵空事かもしれない…ただ、今後どんどん進歩していくであろう技術を使えば、もしかしたら実現する日がくるかもしれない。
そのとき…パスポートの問題はどうするのだろうか…ブラジルに着いたら、すぐに密入国で捕まってしまうのか…それだけは避けたい!