昔、筆者の父がとある猫を見た瞬間、「あいつはメスだな」と言い切ったことがあった。不思議に思った私は、何故わかったのかを即座に聞いた。…すると父は一言こういったのだ。
「三毛猫はほとんどメス」
あのときなぜ、父ははっきりといい切れたのか…。ずっと気になっていたその理由を、以下より雑学として解説していこう。
【動物雑学】三毛猫のオスが生まれる確率はとっても低い
【雑学解説】三毛猫のオスが少ない理由は”染色体異常”
茶色・黒・白の3色の毛色をあわせもった三毛猫。なんでも、そのオスが生まれる確率は3万分の1なのだという。となると、オスに遭遇する可能性は非常に低い。どおりで父ははっきりメスだといい切れたわけだ。
しかし、どうしてオスが生まれる確率がそんなに低いのか? その理由には、猫の特徴の遺伝において、重要な役割を担う「染色体」が関わってくるのだ。
猫の染色体は人間と同じように、メスがXX、オスがXYとなっている。実はこの染色体は性別だけでなく、猫の毛の色も司っているのだ。
Xには毛の色が黒と茶になる要素が入っているが、Yにはその要素が存在しない(白の要素はXY両方に入っている)。つまり、Xが一つしかないオスは、黒と茶を両方もち合わせることができないのである。
よって、三毛猫になるためには、XX=メスであることが必須となる。また、黒と茶のみのいわゆるサビ猫(黒と茶2色の猫)も、三毛猫と同じくオスの確率は3万分の1だ。
しかし…メスであることが必須だというのに、低確率とはいえオスが生まれているではないか。
どういうことかというと、これは「クラインフェルター症候群」という染色体異常が原因だ。クラインフェルター症候群とは、オスの染色体であるXYが、遺伝の際の染色体異常によってXが一つ多い、XXYとなってしまう現象である。
ちなみに、この症状は人間界では難病指定されている病気だ。クラインフェルター症候群をもって生まれてきた男子は、生殖機能をもたないなどの障害を抱えている。そう考えると、オスの三毛猫がしょちゅう生まれるものではないことにも納得がいく。
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【追加雑学①】三毛猫のオスはペットショップには売られていない
そんなSSレアな猫、私も欲しい! という方。残念ながらオスの三毛猫はペットショップにはまず売られていない。入手するためには、オークションに参加するのが確実なようだ。
ただ、その額は恐ろしく高い。日本のテレビやアメリカのオークションでは、2,000万円で取引された例もあり、名古屋のペットショップで販売された「メインクーン」という種の猫は、なんと3,000万円の高値がついた…実際の販売サイトはコチラだ。
また販売されたオス三毛猫を撮影した動画も公開されている。たしかに可愛いけど…3,000万もするなら普通にメスの三毛猫でいいか…。
【追加雑学②】三毛猫のオスは幸運を呼ぶ
三毛猫のオスを一般人が手に入れることはまず不可能だとわかった。…しかし、それでも欲しがる人がいるのはなぜだろう。
実は三毛猫は幸運を呼ぶ象徴だといわれているのだ。日本の招き猫のモデルは三毛猫のオスだなんて話も…いわれてみれば招き猫のデザインは、三毛猫になっているものが多い。
2,000万出してでも欲しいという方々の購入理由のほとんどは、その縁起のよさからだろう。しかし単に縁起がいいという理由でそれだけの大金を出せるのは、やはりよほどのお金持ちだけである…。
雑学まとめ
今回は三毛猫にまつわる雑学をご紹介した。2,000万を超える高値で取引される三毛猫のオスだが、残念ながら寿命が通常より短い。さらにはその症状を抱える人間と同じく生殖能力も皆無なため、子孫も残せないという悲しい運命を背負っている…。
幸運の象徴としているのは人間側の都合で、当人(当猫)からすれば悲運極まりない。何がいいたいのかというと、珍しいか否かに関わらず、どんな猫でも平等に愛しましょうということだ。あんなにも可愛いのだから!