「地震・雷・火事・おやじ」ということわざが日本にはある。これは昔の人が世の中の怖いものを順に並べた表現だ。(最後の「おやじ」は皮肉がきいてて面白い…。)
このことわざからも分かるように、昔から雷は、地震に次ぐほどの恐ろしい自然現象として考えられていたようだ。実際に現在でも毎年、世界中で落雷により2,000人もの人が亡くなっているというから驚きである。
雷が怖い自然現象であることは今さら言うまでもないが、あなたは雷の正体をご存知だろうか? 実は雷の正体は、わたしたちのよく知る静電気だ。今回の雑学では雷の正体と発生のメカニズムを解剖していく。
【自然雑学】雷の正体は静電気
【雑学解説】雷は雲の中に溜まった静電気がまとめて放電されたもの
雷はほぼ1年中発生する自然現象だが、その発生時期は、6月~8月の梅雨から夏にかけての時期だろう。これは雷が、夏に発生する積乱雲の中でつくられることが多いためだ。
積乱雲の発生する上空では気温が氷点下にもなり、水滴は氷に変化する。そのため積乱雲の中は細かい氷で一杯になっている。そして、積乱雲の中に無数にある氷同士が摩擦したとき、氷の間で静電気が発生する。わたしたちが体験する静電気と同じで、氷の間でも静電気が発生するのだ。
すると摩擦した片方の氷はプラスの電気が帯電し、もう片方はマイナスが帯電する。
このとき、摩擦した氷の大きいほうがマイナスの電気を帯び、小さい氷がプラスの電気を帯びる性質がある。(その理由は未だに分かっていないが…。)
するとマイナスに帯電した氷は大きく重たいので、積乱雲の下部に溜まっていき、上部には小さく軽いプラスに帯電した氷が集まる。積乱雲全体で見たら雲の上部と下部で電極が真逆になっていることになる。
マイナスに強く帯電した積乱雲の下部は、地面に溜まっている電荷のうち、プラスの電荷を引き寄せる。結果、地面ではプラスの電荷が集まった状態になる。
こうして積乱雲の下部(マイナス)と地面(プラス)で強い電極差が生じるので、雲の中に溜まった静電気を大気中に放出してしまう。これが雷の正体だ。
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【追加雑学①】雷のときは何もない広い場所が最も危険!
雷が人に落ちる確率は非常に低いものの、雷に撃たれてしまったら、人間は高確率で死んでしまう。そのため雷が鳴っているときは、いち早く安全な場所に避難するのがいいだろう。
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ではどのような場所が危険で、どのような場所が安全なのだろう?
まず危険な場所だが、実は周囲に何もない広い場所が最も危険といわれている。「ゴルフ場や海辺、運動場などにいるとき突然雷が鳴りだした」という経験はあるだろうが、このような場合はすぐに避難したほうがいいのである。
雷は基本的に高い場所に落ちる習性があるので、周りに何もない広い場所だと人間めがけて落ちてくる可能性が高いのだ。
逆に安全な場所は建物の中だ。特に高いビルなどは、避雷対策がされているものが多く、安全といえる。
雷が鳴っているけど車の中にいても大丈夫?
車でドライブ中、雷が鳴りはじめた。そんなとき「雷は金属に落雷するから、車の中は危険だ!」と思うかもしれない。しかし、これは間違いだ。
実は、車の中は雷に撃たれても安全であることが分かっている。そもそも車は設計の段階で雷対策が施されているのだ。
たとえ車が雷に撃たれるようなことがあっても、雷は車体の側面を伝って地面に放電されていく。そのため中の人はまったく被害を受けない。
ドライブ中、急に雷がなり始めても、慌てず車内で待機したほうが安全なことは多いのだ。
雷のとき、危険な場所と安全な場所を詳しく解説した動画があるので、気になった方はぜひチェックしてみるとよいだろう。
【追加雑学②】雷に7回も撃たれた人物がいる
みなさんは雷に打たれる確率をご存知だろうか? 雷が発生して人間に当たる確率は1,000万分の1と言われ、これは宝くじで1等が当たり、億万長者になるほどの確率である。
つまり、普通に生きていれば雷に撃たれる経験をすることはないのである。しかしそんな中、世界には7回も雷に撃たれた人物がいるという驚愕の事実もある。
人生で7回も雷に撃たれた人物は、アメリカに在住していたロイ・サリヴァンという男性だ。死亡率70%以上と呼ばれる雷の落雷だが、サリヴァンさんは人生で7回も雷に撃たれたが、雷により死亡することはなかった。
サリヴァンさんが雷に撃たれた経験はすべて医師が判定しているため、嘘偽りのない事実だ。現在はギネスブックにもサリヴァンさんの名前は乗っている。恐ろしい男だ…。
雑学まとめ
今回は雷の正体が静電気である理由についての雑学を解説した。雷は積乱雲のなかで発生した静電気が地上に放電されることで起こる現象だ。
雷に撃たれる確率が、宝くじで1等が当たるほどの確率といっても、日本では年間20人ほどの人が落雷によって亡くなっている…。
「まさか自分には当たらないだろう」とタカをくくらず、雷が鳴りはじめたら安全な場所に避難するのがベストだ。
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