犬は人間にとって非常に身近なペットである。その付き合いは長く、何千年も前から人間に飼われていたことが分かっている。
大きさもさまざまで、チワワなど、体長20cm・体重2kg程度の最小クラスのものもいれば、体長1m以上・体重100kgを超えるほどの大型犬も存在する。
そう、いろんな形で人間と関わってきた犬だが、今回紹介するのは、その大きさを人間に利用された犬の話である。驚いたことに中国の動物園では、ライオンと偽って展示されていた大型犬が存在するというのだ…。
【動物雑学】中国でライオンとして展示された犬がいる
【雑学解説】チベタンマスティフは、中国の動物園でライオンとして展示されていた
単純に「大型犬」といわれても、どのぐらいの大きさからが大型犬なのかよく分からない人は多いだろう。一般的に大型犬は成犬で体重25kg以上のものが当てはまるが、その大きさに上限はなく、中にはとても犬とは思えないほど大きな個体も存在するのだ。
2013年のこと、中国の河南省・ラク河市にある動物園で、ライオンの代わりに大型犬を展示していたことが発覚して問題になった。その犬は「チベタンマスティフ」という体高70cmほどにまでなる超大型犬で、大きなものだと体重100kgを超える個体もいる。
黒、赤、黃、白、灰、など毛色がかなり幅広く、加えて立派なたてがみが生えている場合もあり、中にはライオンにそっくりなものもいるのだ。
以下の動画でチベタンマスティフの様相を知ることができる。
人間の頭が口にすっぽり入ってしまうほどだといわれれば、その大きさもよりリアルに想像することができる…。
またチベタンマスティフはライオンを恐れないといわれており、本物かどうか確かめるにはライオンの前に連れていけばわかるという話もある。その大きさは見掛け倒しではないのだ。
外見がライオンに似ていることといい、ここでもライオンが引き合いに出されるとは、両者には何かと縁がある。
とはいえ、ライオンは体重200kgを軽く超えてしまうほど巨大な動物だ。さすがのチベタンマスティフといえども、ライオンを偽るのは少々無理があるだろう…。
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価格の乱高下がひどいチベタンマスティフ
このチベタンマスティフは中国では富の象徴とされたことがあり、一時は富裕層の間で大変な人気があった。価格が高騰し、2014年には2億円以上の値がついた個体もいたという。
しかし値段が跳ね上がったのも束の間。実際に飼うとエサ代などのコストが大きいため、すぐに人気がなくなり、その価格はなんと8万円ほどまでに落ち込んでしまう。
飼育をやめてしまうブリーダーも増え、中国ではチベタンマスティフの野犬がものすごい数になったのだとか…。
2015年、チベット自治区のラサでは、すべてがチベタンマスティフではないものの、野犬が13000頭にまで増えたという情報もある。今もチベタンマスティフの野犬が多いと聞くと、うかつに出歩くこともできないのでは…と思わされてしまう。
ちなみに日本には純粋なチベタンマスティフはほとんどいないため、安くても100万円以上の価格が付くという。そこまで価値のある犬が中国では野犬となってウヨウヨしているとは…ある種カルチャーショックである。
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【追加雑学①】チンギス・ハンはチベタンマスティフを軍用に利用したことがある
チベタンマスティフは元はチベットにて牧羊犬や番犬として飼育されていたと考えられており、しばしばチベット犬とも呼ばれる。
なんでもモンゴル帝国の初代皇帝・チンギスハンも軍用犬として重宝しており、侵略戦争の際には3万頭を連れて攻め込んだといわれている。
チベタンマスティフがどんな形で活躍したのか詳細は不明だが、これだけの大型犬を3万頭も引き連れた光景は、想像するにも壮絶だ。
またチベタンマスティフは忠誠心が高く、主人の敵と見なせば激しく攻撃する性質をもっている。その大きな体も踏まえて、軍用犬として非常に優秀なのだ。2006年には、中国で警察犬として採用されたほどである。
【追加雑学②】中国の動物園は問題を起こすことが多い
大型犬をライオンとして展示していたというのは信じられないニュースだが、中国の動物園ではこれ以外にもとんでもない珍事がいくつも起きている。
ライオンの代わりにチベタンマスティフを展示した動物園では、ヒョウの代りに白きつねを展示し、蛇の小屋にはなぜかネズミの仲間のヌートリアがいたという。ライオン以外の小屋も、いろいろとめちゃくちゃなのだ。
この他にも、市場で購入した鶏を野生動物として展示していた動物園もある。これだけでも「そんなのありかよ…」と思ってしまうが、この動物園は単純に動物を偽るだけに留まらない。
なんとペンギンを偽って、空気を入れたペンギンの人形を飾っていたというのだ…。ぼったくりもここまでくると清々しい。動物園だけでも驚きのエピソードがこれだけ出てくるとは、中国スゴすぎる。
雑学まとめ
中国の動物園では、チベタンマスティフをライオンとして展示していたというトリビアをご紹介した。
実際は見分けがつかないほど似ているわけではないが、このときは鳴き声で犬だと分かるまで問題にならなかったそうだ。堂々とライオンと書いておけば、案外思い込んでしまうものなのだろうか…。
蛇の代わりにヌートリアがいても問題にならなかったのだから、そもそも現地の人はあまり気にしていないのかも…?