日本で1番有名なプロゴルファーといえば、日本人選手ではなくアメリカのタイガー・ウッズだろう。缶コーヒーや医薬品のCMにも引っ張りだこで、ゴルフに興味がなくても目にする機会は多い。
改めて思い浮かべてみると、"タイガー・ウッズ"って、強そうでいかにも大物になりそうな名前じゃないか。きっと親御さんも「虎のように強くなってほしい」みたいな願いを込めたのだろうな…。そんな期待に応えるウッズはほんとにすごい!
などと思っていたのだが…実は彼のタイガー・ウッズという名前は、虎とはまったく関係がない。親御さんの願いが込められている…という点は、間違ってはいないのだが…。
しかも本名は別にある。となると、…え? なんかわけあり? と、その名前の由来がいよいよ気になってくる。ということで今回は、プロゴルファー、タイガー・ウッズの雑学に迫ろう!
【スポーツ雑学】「タイガー・ウッズ」は本名でなかった!
【雑学解説】タイガー・ウッズの名前の由来とは?
タイガー・ウッズの本名は「エルドリック・ウッズ(Eldrick Woods)」。
1975年にカリフォルニア州サイプレスにて誕生した彼は、父アール・ウッズの教えで生後9ヶ月からゴルフを始めた。8歳のときには世界ジュニア選手権で優勝してしまうなど、子ども時代から天才以外の何者でもない記録を残している。
そんな感じで、幼少の頃から名を馳せていたエルドリック少年に「タイガー」というニックネームを付けたのは、ゴルフを教えた父親のアールさんである(ダジャレではないぞ!)。
アールさんが自分の息子をタイガーと呼んだのは、虎という意味ではない。実はこれは、アールさんの友人のあだ名だったのだ。
アールさんはアメリカ陸軍の特殊部隊「グリーン・ベレー」に所属してベトナム戦争に参加した経験があり、タイガーはそのとき共に戦ったグエン・フォング大佐のあだ名なのだという。由来となったフォング大佐自身が、虎のように勇敢な人だったのかもしれない。
しかし…このフォング大佐はベトナム戦争中に行方不明となり、生死がわからなくなってしまったのである。
そこで彼の身を案じたアールさんは「もし戦友が生還し、そのときに息子が有名なゴルファーになっていれば、きっと連絡をくれるはず」と、息子に「タイガー」というニックネームを付けたのだ。
父親の願いを汲んでか、ウッズは21歳になった1996年に正式な手続きを経て「エルドリック・タイガー・ウッズ(Eldrick Tiger Woods)」と改名した。
改名から破竹の勢いで活躍するタイガー・ウッズ
改名後のタイガー・ウッズの活躍は目覚ましく、プロゴルファーとしての知名度が世界一であることは、今や誰に聞いても疑う余地がない。父親の想いといい…それに応えようとするウッズといい、ええ話ずくめやないか!!
ウッズのデビュー以来の経歴を辿ると、以下のような驚異的な記録が並ぶ。
- 1997年…史上最年少でのマスターズ初優勝、ほか6大会でも優勝し世界ランキング1位、PGAツアー史上最年少賞金王
- 1999~2001年…PGA・全米オープン・全英オープン・マスターズのメジャー4大会を制覇(グランドスラム)
- 2002~2005年…PGA、全米・全英オープンで2度目、マスターズで3度目の優勝を記録し、ダブル・グランドスラム達成
- 2005~2008年…全英・全米オープンで3度目、PGA・マスターズで4度目の優勝を記録しトリプル・グランドスラム達成
これがどれぐらいの快挙かというと、トリプル・グランドスラムに関しては1978年にジャック・ニクラスが達成して以来、30年ぶり、史上2人目の記録である。それどころか一度のグランドスラムですら、ウッズとニクラスを含む5人しか達成していない。
父親の想いを遠くまで届けるという目的は、十分すぎるぐらいに果たされたといえる。
以下はPGAツアーにおける、ウッズの歴代スーパーショット集である。…まるで魔法のように、カップにボールが吸い込まれていく。
結局、アールさんが亡くなる2006年まで、戦友のタイガーから連絡はなかった。しかし自分の気持ちに応えてくれた息子を前に、アールさんも思い残すことはなかったのではないか。
このあとウッズは不倫のスキャンダルやケガなどで低迷期を迎えているが、2018年には正式に復帰。5度目となるマスターズ優勝を経て、2020年にはプロ歴代1位タイ記録の通算82勝をマークした。44歳にしてこのカムバック劇はやはり只者ではない…。
以下は2019年のマスターズ優勝時の映像だ。
優勝が決まったときの喜び方も若いころより、心なしか謙虚な印象を受ける。休止期間の反省を経て、いろいろと内面的な変化があったのかもしれない。
長男のチャーリーくんと抱擁する微笑ましい一幕も。アールさんがそうしてくれたように、ウッズもまた息子との絆を大切に育んでいるようだ。
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アールさんと連名での慈善事業も展開
タイガー・ウッズは単なるゴルフの天才ではない。その賞金の使い道に関しても、父アールさんとの絆を感じさせるエピソードがあるのだ。
ウッズはプロデビューした1996年その年に、アールさんとの連名で非営利公益法人「タイガー・ウッズ・ファウンデーション」を設立。以降、ゴルファーを志す子どもたちの育成に力を入れ、次代のゴルフ界の繁栄に貢献する活動を展開している。
また経済難で学校に通えない子どもたちの進学をサポートする教育施設「タイガー・ウッズ・ラーニングセンター」の開設や、奨学金制度を作るなど、若手に対する支援はゴルフ界だけに留まらない。
アールさんとウッズは、幼いころから磨いてきたその才能を、友人探しだけじゃなく、社会貢献にも役立てようとしたわけだ。こういった目的意識があるからこそ、今なおウッズは第一線で活躍し続けられるのだろう。
【追加雑学】本名じゃない日本人プロゴルファーを紹介
かつてのタイガー・ウッズと同じように、本名とは違う名前で活動するプロゴルファーは意外と多い。ここでは、そんな選手のなかから日本人選手を紹介しよう。
尾崎三兄弟
ゴルフ界で有名な尾崎三兄弟が、それぞれにニックネームをもつのは有名な話だ。
長男将司の「ジャンボ尾崎」の由来は、彼がプロゴルファーになった1971年当時、アメリカから入ってきたジャンボジェット機にちなんだものだ。これは親御さんや彼自身ではなく、体の大きい将司の姿を見たスポーツ紙の記者が命名したという。
次男の健夫(たてお)の「ジェット尾崎」というニックネームは、そのショットがジェット機のように強烈だったことから、若手プロたちから「ジェット」と呼ばれるようになったとのこと。お兄さんとのつながりからと思ったら、彼自身の実力から付いたあだ名だったとは!
そして、三男・直道の「ジョー」は、長男と次男の2人のニックネームに「J」が付くことから、「J」で始まるニックネームを公募して、そのなかから選ばれたそうだ。
…まあ、三男だけなにもなしっていうのもかっこがつかないし。
中嶋常幸
1980年代に活躍した中嶋常幸は、「つねゆき」という名前が外国人には発音しづらいという理由から、海外ツアーでは「Tommy Nakajima(トミー・ナカジマ)」という名前で参加している。
海外で外国人風の名前を使う日本人って多いよね。B'zの松本さんも「Takahiro」だと外国人が呼びにくくて、「Tak(タック)」って呼ばれ出したのをそのままアーティストネームにしているし。
…ここだけの話、留学していた友人が外国人風のニックネームを使っていたときは「なにを気取ってやがる」と思ったりもしたが、向こうではけっこう普通にある話みたいだ。
すし石垣
すし石垣の本名は「石垣 聡志(いしがきさとし)」であるが、実家が寿司屋だったとか、そんな事情はまったくない。だとしたら宣伝があからさますぎて逆に好感がもてるが…。
すし石垣もプロ転向当初は本名でツアーに参加していたが、彼の名前も中嶋常幸と同じように外国人には発音しづらく、なかなか名前を覚えてもらえなかったそうだ。
そのため、海外ツアー参戦時に知人から「外国人にもわかりやすいニックネームをつけよう」といわれ、「すし」というニックネームを採用したという。
なんでも「寿司は日本を代表する食べ物。僕も日本だけで終わりたくない」という願いが込められているらしい。…意外とちゃんとしてる。
雑学まとめ
今回はタイガー・ウッズの名前の由来に始まり、彼にまつわるさまざまな雑学を紹介した。
彼が本名ではないタイガー・ウッズという名前を名乗ったのは、友の身を案じる父の想いを受けてのこと。幼少より二人三脚で歩んできた親子の絆が、ウッズという天才を生んだことを思い知らされる。
スキャンダルやケガなどでスターとしての座が危ぶまれることもあったが、現在はまた見事に復活を遂げたウッズ。幼少より鍛錬に励んできた腕前はやはり本物。これだけは何があろうと変えられない事実なのである。
これからも特別な選手として、ゴルフ界を盛り上げていってほしい!
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