「この計画はトドのつまり中止になった」というと、計画は結局中止になったのだなとわかるだろう。
ところで、その「トドのつまり」っていったい何だ? 「トド」ってあの海に住む哺乳類の「トド」のこと? それがつまるってどういう状況なんだ?
今回の雑学では、この「トド」の正体を調べてみたぞ!
【動物雑学】「トドのつまり」の「トド」はアザラシの「トド」ではない
【雑学解説】トドの正体は「ボラ」だった
ボラは出世魚といい、稚魚から成魚になるまでの成長段階によって呼び名が変わる魚なのである。
その呼び方は地域にもよるのだが、オボコ・スバシリ・イナ・ボラ・トドというように成長し、大きさが変わるごとに5段階ほど名前も変わっていくのだ。
ボラの最後の呼び名が「トド」ということで、これ以上大きくならないことから、「トドのつまり」は「結局のところ」・「行き着くところ」といった意味で使われる。しかもその後に続くのは、「ダメだった」・「失敗した」のような言葉で、思わしくない結果のときに使われる言葉なのである。
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【追加雑学①】出世魚は縁起の良い魚
そんな良くないイメージの言葉に使われているボラだが、江戸時代には元服(成人になったことを示す儀式)や出世によって名前を変えていたことから、成長によって名を変えるボラは成長や出世のお祝いの料理に縁起物として重宝されていたのだ。
また、高級珍味のカラスミは、ボラの卵巣を塩漬けして乾燥させたものなのだ。ボラ…あなどれない!
ではボラが名前を変える理由はというと、成長が早いために1年の差で大きさが一回り以上も変わってしまうからである。大きさによって、味や商品価値が変わると同じ名前で呼ぶのに不都合があるため、呼び名を変えて区別するようになったのだ。
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【追加雑学②】ボラが語源の言葉
実は、ボラにはほかにも語源になっている言葉がある。
子どもが幼くて可愛い様子を表す「おぼこい」や、世間知らず・未熟・処女の意味で使われる「おぼこ」も小さいころのボラの名前「オボコ」からきている。
また、粋で男気があり、さっぱりした様子や容姿・気風のことを「いなせ」というが、これもボラになる手前の「イナ」という名前が由来だといわれている。
江戸時代以前の男性の髪型で、額から頭のてっぺんにかけて髪を半月形に剃りあげた部分を月代(さかやき)といい、その青い剃り跡を「イナ」の青灰色でザラザラした背中に見立てて「いなせ」というようになった。
もしくは、粋さを見せるために跳ね上げた髷(まげ)をイナの背びれに例えたことから「いなせ」という説もある。
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。「トドのつまり」の「トド」とはボラの最終形態の「トド」という呼び名が由来だった。
しかも、悪い結果になってしまう状況で使われることが多い言葉だが、ボラ自体は出世魚と縁起の良い魚であり、高級食材カラスミが取れる魚なのである。
自分も台湾旅行のお土産に勢いでカラスミを買ったのだが、結構な値段がしたことは覚えている。トドのつまり味は覚えていなかった…。