サーカスをご覧になったことがあるだろうか。アクロバティックな演技で観客を感動させるサーカスは、危険と隣り合わせでもある。その際、演者の命綱となるのが空中ブランコなどの際に張る「安全ネット」だ。
実は、この安全ネットからある物が考案されたことをご存知だろうか。それはトランポリンである。トランポリンは、サーカスに使用される安全ネットから考案されたものだったのだ。
この記事では、中世ヨーロッパのサーカスにルーツをもつ、トランポリンの雑学についてご紹介する。
【スポーツ雑学】「トランポリン」のルーツはサーカスにあった
【雑学解説】トランポリンは安全ネットからヒントを得て作られた
オリンピックの正式種目となっている「トランポリン競技」。オリンピックのトランポリン競技は、計3つの種目で競われる。現在はスポーツ競技として定着したトランポリンだが、この道具は、中世ヨーロッパのサーカスに起源をもっていることをご存知だろうか。
そもそも「トランポリン」は、中世ヨーロッパのサーカス芸人「ドゥ・トランポリン」という人物が、空中ブランコの際に張る安全ネットからヒントを得て作ったとされる。
そのトランポリンは、どんなシチュエーションで思いつき、どんな形状のものが作られたのか、今回調べたかぎりではその詳細は分からなかった。
これは筆者の想像だが、トランポリンは上の映像のように、サーカスの演技中に落下した人間の体が高く弾む様子にヒントを得て考案されたのではないだろうか。
演者の命を守る安全ネットが、後世に広く普及したことは、考案した当人にとっても想像できない出来事だったろう。
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【追加雑学①】スポーツ競技としての「トランポリン」が確立されるまで
中世に考案されたトランポリンのその後の歴史を見ていこう。トランポリンは、20世紀のアメリカにおいてパイロットの空中感覚を養うための練習道具として使用された。
この道具を利用してスポーツ競技を行えないかと考えたのが、アメリカ人の体操選手、ジョージ・ニッセンという人物である。
彼はトランポリンを制作するための会社を設立し、販売と普及を始めたのである。彼が日本に持ち込んだトランポリンの第1号は、早稲田大学のトランポリンの授業で使用されたといわれている。
1960年代、トランポリンはアメリカ国内で大ブームを巻き起こしたが、使用中に怪我人が続出したため、その人気は徐々に下火となっていった。
ヨーロッパへ渡ったトランポリンは、ドイツやフランスといったヨーロッパ各国で、安全対策がしっかりなされた。それにより、スポーツ競技として確立されていった。
そして、2000年のシドニー・オリンピックにおいて正式種目として採用され、現在に至っている。中世にサーカス芸人が考案した「トランポリン」は、こうしてスポーツ競技としてオリンピックの正式種目に採用されるまでになったのだ。
【追加雑学②】トランポリン競技には「シャトル競技」というものがある
トランポリン競技として一般的に知られているのは、オリンピックに採用された「個人戦」のほか、演技者の同調性が求められる「シンクロナイズド」、チームで得点を競う「団体戦」の3つがある。
だがトランポリンのなかには、日本を発祥とする「シャトル競技」と呼ばれるものがあることをご存知だろうか。「シャトル競技」とは、2台のトランポリンで2人の選手が交互に跳躍し、3分間の演技を行い得点を争う競技である。
上の映像は、2012年「全国トランポリンシャトル競技大会」の模様である。「シャトル競技」は「個人競技」と「チーム競技」の2つに分かれており、試技の安定度や跳躍の高さなどで得点を競い合う。技は38種類ほどあるという。
なお、競技では「宙返り」や試技者が背中をトランポリンのマットに着けることは禁止されているほか、2人の選手のうちの一方が同じ跳躍をできなかった場合、その時点で負けとなるルールもあるようだ。
現在、オリンピックのトランポリン競技は「個人戦」のみとされているが、日本を発祥とする「シャトル競技」がオリンピックに採用されるかにも注目だ。「柔道」や「ケイリン」のように、日本発祥のスポーツがオリンピックの正式種目に加えられる日は近いのかもしれない。
雑学まとめ
以上、トランポリンが中世のサーカス芸人によって考案されたという雑学と、スポーツ競技として「トランポリン」が確立されるまでの歴史、また日本発祥の「シャトル競技」のトリビアについてご紹介してきた。
体操競技の一種に数えられる「トランポリン競技」。選手たちの高い跳躍と回転技は、たしかにアクロバティックなサーカス芸人を思わせるものがある。
トランポリンのみならず、体操競技はサーカスに近い性格といえるだろう。いずれにしろ、落下や怪我には十分に気をつけてほしいことはいうまでもない。
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