サッカー・野球・バレーボール・バスケットボールなど、国内のスポーツの中でも球技は特に高い人気を誇っている。
そんな球技に欠かせないのが試合で使用するボールだ。そしてそれぞれのボールには、競技の発達とともに進化をしてきた歴史がある。たとえば、バレーボールで使用されるボールはかつては白一色だったが、ある理由でカラーに変更されたものだ。
白色の何がいけないのだろう? この色の変更にどんな理由があるのか、以下より迫っていこう!
【スポーツ雑学】バレーボールのボールはもともと白色だった
【雑学解説】バレーボールのボールの色が変更された理由は?
現在でこそバレーボールの試合にはカラフルなボールが使用されているが、かつては、そのボールは白一色だった。
こちらの映像をご覧いただきたい。1964年、東京オリンピックの決勝で、東洋の魔女と呼ばれた日本女子バレーボールチームがソ連と対戦し、金メダルを獲得した際の試合である。
動画からもボールの色が白いことがおわかりいただけるだろう。実際、ボールがカラーに変更されるまでは、100年以上も白一色のボールを使用していた歴史があるのだ。
白一色だったボールが、カラーに変更されたのは1998年のことである。そのボールは、スポーツ用具メーカーのMIKASA(ミカサ)が発表した「青・黄・白」の3色でデザインされたものだった。
ボールの配色については、500種類にものぼる色の組み合わせを考えたうえで採用されており、色が変更された理由は、テレビ中継した際によりハッキリとボールを見やすくするためだといわれる。
変更されたボールは実際にプレーする選手たちの評判も上々で、ボールの回転や軌道が見やすく、レシーブに入る地点が予想しやすいとの感想が聞かれたという。
ちなみに、オリンピックでカラーボールが採用されたのは、2008年の北京オリンピックからである。同大会では、「青・黄色」の2色のボールが採用された。
またVリーグの試合でも、MIKASA社製のボールが使われている。以下の動画はVリーグのハイライトだが、コートの後ろに同社の広告がはっきりと映っているのがわかる。
【追加雑学①】バレーボールでおなじみの2大スポーツメーカーとは?
バレーボールのボールを製造するスポーツメーカーといえば、先ほどご紹介したMIKASAと、もう1社「MOLTEN(モルテン)」がおなじみだろう。
MIKASAは、おもにバレーボールをはじめ、サッカー・バスケットなどさまざまな球技に使用されるボールを製造・販売するスポーツ用具メーカーで、本社は広島県にある。
同社のボールは、2019年のVリーグの公式球で使用されるほか、「FIVBワールドカップバレー2019」の公式球にも採用されている。以下の動画はその大会の模様である。
また同社はユニークなボールも扱っており、『機動戦士ガンダム』とコラボして作られた「ハロボール」が販売されている。ガンダム好きにはたまらない商品ではないだろうか。
いっぽうMOLTEN(モルテン)は、競技用ボールをはじめ、自動車部品や医療・福祉機器などを製造・販売する会社で、本社は同じく広島県にある。
もともと同社はMIKASAとの深い縁をもっている。1985年に、MIKASA(当時は明星ゴム工業)を退社した技術者らが立ち上げた会社なのだ。
MOLTEN製のボールは、日本パラバレーボール協会の公式試合球をはじめ、イタリア・フランスリーグのバレーボールの公式球および、サッカー2019/20シーズンの「UEFAヨーロッパリーグ」の公式球としてもおなじみだ。
以下の動画は19/20シーズンのUEFAヨーロッパリーグの大会の模様である。
サッカーの祭典・FIFAワールドカップでは、アディダス社製のボールがたびたび公式球に選ばれてきたが、実はアディダスはMOLTENと技術提供を結んでいるのだ。そのボールにも同社の技術が採用されていたのかもしれない。
雑学まとめ
バレーボールのボールが白から3色のデザインを配したものに変更されたのは、テレビの見栄えを配慮したことからだ。またボールが変更されたことによって結果として、選手たちのプレーが向上することにもつながった。
競技レベルの向上の多くは、選手たちのプレーや他国と競い合うことで育まれるが、試合に使用する道具もまた重要なのである。