ハゲワシ…人間が勝手につけた名前だが、よりによって「ハゲ」を名前につけるなんてひどい。名付けたひとに良心はなかったのだろうか?
いきなり「おまえはこれからハゲと呼ぶ!」なんていわれたら、海より広い心をもつ私でもキレる、か凹む。
そんなちょっとかわいそうなハゲワシだが、そもそもなぜハゲてしまったのだろうか? 好きでハゲたわけではないだろうから、きちんと理由があるはず!
ハゲワシの名誉のためにも、今回はハゲワシがなぜハゲているのか、雑学をご紹介するね。
【動物雑学】ハゲワシがハゲている理由と自然界での役割とは?
【雑学解説】ハゲワシ最強説!ハゲてる理由がすごすぎる
ライオンやハイエナたちが食べ残した死肉に群がるハゲワシの様子を、テレビなどで見たことがあるだろうか?
死骸に群がる様子が、弱って再起不能に近い企業を安く買取り高く売りさばく、という海外のヘッジファンドのようだということで、それを「ハゲタカファンド」なんて呼ぶのを聞いたことがある人も多いだろう。(ハゲタカはハゲワシ類の俗称)
人間からしたら腐った動物の残骸にしか見えないが、ハゲワシにとっては立派な食料。骨のすきまなどに頭を突っ込み、骨にこびりついている肉まで喰らう。
しかし、ここで疑問が。ハゲワシってなんで腐った肉を食べても平気なの? 普通あんなの食べたら食中毒を起こして死んでしまうのでは? そう、この疑問の答えこそハゲワシの最強たるゆえんだったのだ!
ハゲワシはなぜ腐った肉を食べることができるのか?
実はハゲワシは腐った肉を食べても平気な消化管をもっているのだ。進化の過程で、細菌などがもつ毒素や病原体を消化できるようになったそうだ。
天災やさまざまな原因で食糧難になり、他の動物たちが飢え死にしていったとしても、ハゲワシはその飢え死にした動物を食べることができてしまうのだ。強すぎるぞハゲワシ!
ハゲワシのハゲは進化の産物だった!
そしてハゲワシの進化はもう一つあった。それが「ハゲ」だ。
退化じゃなくて進化? そう思った人もいるだろう。
ハゲワシは肉に頭を突っ込んで食べる。そうすると頭に血や肉がこびりついてしまう。頭に毛があると、いつまでも肉や血が取れず雑菌が繁殖し不衛生な状態になる。そこで感染なんか起こしたら致命傷になってしまうかもしれない。
しかし、毛がなければ乾燥するのも早く、雑菌が繁殖する危険性も減り、さらに日光消毒もできてしまうのだ。まさに、生き延びるための進化の過程で「ハゲること」を選んでいったのだ。やばいハゲワシ、最高最強!
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【追加雑学①】ハゲワシがいなかったらどうなる?
おまえなんかいなくても会社は回るんだよ…なんて悲しい言葉が蔓延する今の日本。…という話は置いておき、ハゲワシがいなくなったらどうなるのか気になったので調べてみた。
なんとハゲワシがいないと、腐乱死体(死骸)があちこちに転がっている地獄絵図になってしまうというのだ。さらに、腐乱死体から感染症や伝染病がはやり、動物界の衛生環境が悪化してしまうらしい。
腐った肉を食べることができる動物にハイエナやジャッカルがいるが、彼らだけでは移動距離も限られているため、死体処理班としてはハゲワシには劣るらしい。
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こうしてみると、ハゲワシは動物界を守る最強のお掃除屋さんともいえる。
【追加雑学②】日本以外でも「ハゲ」ワシと呼ぶのか?
見た目だけで「ハゲ」と呼ばれているハゲワシだが、日本以外ではなんと呼ばれているのだろう?
実は海外ではハゲワシのことを「ハゲ」とは呼ばないのだ。ハゲワシは英語だと「Old World Vulture」もしくはかんたんに「Vulture(バルチャー)」と呼ぶそうだ。ハゲを意味する「Bald(ボールド)」はどこにも使われていない。
「Vulture」は「弱者を食い物にする強欲なヤツ」というような意味らしい。死体漁りのプロらしい名前だなと思う!
雑学まとめ
今回の雑学では、ハゲワシがハゲている理由をご紹介したがいかがだっただろうか?
ハゲワシときくと小さい頃テレビでみたインドの「鳥葬」の映像がよみがえる。「鳥って人間食べちゃうんだぁ…怖いなあ…鳥なんか嫌いだ!」と幼心に思っていたが、今思えばとても利にかなった葬儀法なのだったのだなと納得できる。
こんなに環境美化に役立っているハゲワシが、ハゲと呼ばれるのはなんだかかわいそうな気もするが、これからもハゲを活かして生き延びていってほしいと願う。
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