涙を浮かべたように潤んだ大きな瞳。プルプル震える小さな体。その全身から庇護欲を掻き立てるのは、大人気のチワワである。
ペットブームでさらに火が付いた犬の中でも人気上位に入る犬種で間違いないだろう。飼い主の腕の中にすぽっと納まったまま散歩している姿のかわいいこと。
散歩になっているかは定かではないが、安心しきったその表情にこちらも癒されるので問題なしである。しかし数年前、そんなチワワに異変が起きた町があるというニュースが取りあげられた。
凶暴化した野生のチワワが、街中を我が物顔で走り回っているというのだ。「チワワ」と「凶暴」という言葉が組み合わさることに強い違和感を感じるが…今回の雑学記事では、その実態を明らかにしていこう!
【動物雑学】アメリカにはチワワが野生化して危ない街がある(あった)
【雑学解説】脅威!凶暴化した野生チワワの軍団
その衝撃的なニュースの舞台は、アメリカのアリゾナ州フェニックスにあるメアリーベール地区という場所である。当時、年間6000件以上にも上る苦情の電話が相次いだという。その被害内容はというと…。
チワワが路上で子供たちを追い掛け回し、住民の敷地に侵入しては糞尿を撒き散らし、しつこく食べ物を要求するなどといったことが繰り返されているというものだった。
なかには、大型犬を取り込んだチワワの軍団が徘徊している姿も目撃されていたという。さらに、避妊や去勢の手術を受けていないため繁殖し、地元職員では対応しきれない数にまで増えていったという…。まさに悪循環である。
チワワが野生化した理由
そもそもこうなった原因はどこにあるのか。悲しい事だが、予想通りの結論に至る。人間の飼育放棄だ。チワワが突然出現し、野生化して凶暴になるわけがない。
無責任な一部の飼い主によって飼育放棄されたチワワたちが、ことの始まりなのだ。チワワはもともと、とても忠実で勇敢な犬だ。自分が認めた相手には従順で、その小さな体で守ろうと脅威に立ち向かっていく。
信じていた飼い主に裏切られれば、再び人間を信用することが難しくなるのである。人懐こく愛嬌たっぷりのチワワが人を襲い凶暴化するとは、その心の傷はとても深いのだろう。
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【追加雑学①】野生化チワワ捕獲作戦
作戦というほど参加できる動物保護施設の職員がいないため、住民に協力を仰ぐことに。職員到着前になるべく野生化チワワを自宅の庭などに引き付けておいてもらうという、至ってシンプルな捕獲作戦である。
しかし前述のとおり繁殖と捕獲のスピードに大きな差があり、結局いたちごっこなのだ。住民たちは子供たちへの危害や、糞尿による衛生面などに不安が募る毎日を過ごしていたことだろう。
【追加雑学②】チワワだけじゃない…ペットブームのその先
ブームが去ると、人気だった種類の動物が捨てられ野良になったり、保健所に持ち込まれたりといったことが極端に増えるという。どうしてこのようなことが起こるのか。
動物にも命はあり、感情はあるのだ。人間の身勝手で左右していいものではない。動物はアクセサリーではないのだから、その動物を飼っているという優越感の為に飼うことをやめてほしい。
現在人気のハリネズミなどの小動物。数年後、野生化した小動物がニュースになるかもしれない。しかしそれを止める術を持っていないことをとても歯がゆく思う。
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雑学まとめ
チワワが野生化し、凶暴化している街があったという雑学をご紹介した。そのニュースが放送されたのは数年前の事だ。現在このチワワたちがどうなったのか、街は平和を取り戻したのか、それは定かではない。
しかし、その原因を作ったのはまぎれもなく人であり、無関係な人が迷惑をしている。チワワたちも、凶暴になりたくてなったわけではない。本当は飼い主と幸せに暮らしたかったはずだ。
最後まで責任を取れないなら飼うな! と言いたいところだが、そんな人間はこんな記事を読むことはないのだろう。こういった記事を最後まで読んでくれるのはきっと、動物を愛している人たちなのだ。
悲しいことだが、野生化したかわいそうなチワワたちを助けてあげることは難しい。ならばせめて、自分の飼っているペットたちがそんなつらい気持ちを知ることのないように、愛情いっぱいに過ごさせてあげたい。
動物を愛する皆さんを代表して、少しでも悲しい事を経験する動物がいなくなることを願っている。