働き者の代名詞でもある昆虫アリ。イソップ童話「アリとキリギリス」にも勤勉な働き者として出てくるように、アリといえばよく働いているイメージをもたれがちだ。
公園や道端でも、自分の体よりも大きな食べ物をせっせと運んでいる姿を見かけることがある。小さな体で一生懸命働くアリに自分を重ねる人もいるのでは…。
さて、今回の雑学テーマはそんなまさしく「仕事の虫」なアリについて。彼らは雨の日はどうしているのだろうか…。雨の日くらいゆっくり休んでほしいものであるが、果たして…。
【動物雑学】働きアリは雨が降ったときも仕事をする
【雑学解説】雨が降ったらアリは巣を守る!
地面に穴を掘って作られているアリの巣。アリの巣を見たことのある人も多いだろう。ぽっかりと小さな穴が空いている。そんなアリの巣に雨が降りこんできたら…。
アリは水中で生きられる虫ではないので、水没したら全滅だ。そのため、アリにとって雨は天敵。雨からいかに巣を守るかは、死活問題なのである。
なので、アリは雨が降ると巣の入り口をせっせと塞ぐのだ。正確には、雨が降りそうになると工事を始める。気圧や気温の小さな変化を感じることができるアリは、雨が降り出すのも察知することができるのだ。
雨が降り出しそうだと感じたら、すぐさま入り口の穴を塞ぐことで、巣を守っているのである。アリの雨対策はそれだけではない。
そもそも、雨で巣が崩れるような地盤の弱い土には巣を作らないようにしているのだ。きちんと地質調査を行った上で巣を作る場所を決めているのである。
さらに、巣の構造も雨を意識された造りになっている。ただやみくもに細長く穴を掘っているのではない。縦に掘った大きな通路から横に枝分かれするように細い通路を何本も掘り、その先にたくさんの小部屋を造るのだ。
雨が巣に流れ込んでも、縦方向に掘られた通路を下に向かって流れていくので小部屋までに浸水してくることはない。部屋の入り口も土で塞いでしまえば完璧。なんて防災ばっちりな家…。アリは一流の建築家でもあったのだ。
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【追加雑学①】働きアリの2割は働かない!?
雨の日も働いているアリさんたち。やっぱりアリは働き者だなあ…と思いきや、実はそうでもなかったりする。「働きアリ」のなかで、一生懸命に働きまくっているアリは1割から2割だという。
残りの6、7割はだらだらのんびり働いていて、なんと2割は働いていない。フラフラと散歩していたり部屋でじっとしていたり…「サボリーマン」たちなのだ。
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中には生まれてから死ぬまで働かない「働きアリ」もいるという。それはもはや「働きアリ」とは呼べないのでは? …とはいえ、アリたちもサボりたくてサボっているわけではない。アリの世界には「サボリーマン」も必要なのである。
働かないアリたちは、「交代要員」。働いているアリたちが働けなくなったり、何かあったときに備えて待機している状態なのだ。
もし、すべての働きアリたちが一斉に働いていたら…。みんなが外に出払っている状態で外敵が現れたり、みんなまとめて力尽きて死んでしまうかもしれない。アリの世界にも過労死はあるらしく、みんなが働きすぎて全滅したら大変だ。そうならないために、ある程度余裕をもつことが種の存続に必要なのである。
みんながみんな、同じ価値観のなかで動く組織は強くないのだ。この「働きアリの原理」は人間の組織にもしばしば応用されている。アリから学ぶことも多いのだ。
【追加雑学②】アリは高いところから落ちてもへっちゃら!
小さな小さな昆虫、アリ。気づかぬうちに踏んづけてしまいそうなほど小さな体をしているアリだが、実はとっても丈夫な体をしている。
なんと、アリはどれだけ高い所から落ちても平気なのだ。
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アリは外骨格という硬い皮膚を体の外側にもっている。アリの外骨格は数十キロの衝撃にも耐えられるほどの硬さだという。めちゃくちゃ丈夫な鎧を身にまとっているようなものだ。
そんなカチコチの体をしているため、ちょっとやそっとの衝撃には耐えられのである。
また、アリの体はとても軽くて表面積が大きい。そのため空気抵抗を受けやすく、着地の衝撃も抑えられる。ひらりひらりと落ちていく感じだ。
そもそも「落ちる」という機会が少なそうだが、体全体がデフォルトで安全装備になっているなんて心強い。さすが「仕事の虫」だ。
雑学まとめ
今回は働き者のアリについての雑学を紹介した。
雨でも巣を守るために一生懸命働くアリ。命が危ぶまれる雨の日にはうかうかしていられないのだ。梅雨の時期は巣を守るので大忙しだろう。
それにしても、アリの巣には建築時からリスクを最小限に抑えるための工夫が施されていることには驚き。アリってあんなに小さな体をしてすごいやつだ!