名前は聞いたことがあるけれど、いまいち正体が分からない調味料…それが、「エックスオージャン」だ。改めて字を調べたらアルファベットでXO醤。ますます意味が分からない。
中華食材であることは知っていても、家にある人は相当な料理通だろう。どうやって使えばいいかわからないし、正直どんな味か説明するのは難しい。
アルファベットの字面だけでは分からないが、いったいどうしてXO醤は「XO」なんだろうか?
【食べ物雑学】XO醤の名前の由来はブランデーにあやかってつけられている
【雑学解説】最高級を自称する気の強い中華調味料
XO醤が誕生したのは思ったより最近で、1980年台だといわれている。舞台は香港の最高級ホテル・ペニンシュラ。広東料理レストラン「嘉麟楼」の料理長・許成氏が、今までの調味料とは一線を画すものを作ろうとして考案したとされている。
実際にその作り方は贅沢そのもの! 最高級の干しエビや干し貝柱・魚の塩漬け・唐辛子・金華ハム・干しアワビなど、高級食材を惜しみなく使って作られている。濃い旨味が濃縮した味わいで、許成氏は最高の調味料を作ったという自信があった。
このため、名づけの時に拝借したのが「ブランデーのグレード」。熟成期間に応じてVO・VSO・VSOP・XOとグレードの上がっていくブランデーの、最上級である「XO(Extra Old)」をつけてXO醤とした。
みずから最上級を自称しちゃうあたりなんとも気の強い調味料だが、実際にその旨みは全世界の料理人を魅了。またたく間に世界中に広がった。
ブランデーと違い、決して長期熟成して作るわけではないが、使われている食材が高級なのでXO醤自体もちょっとお高い値段。ひと瓶1500円前後で入手可能だが、干しアワビだの金華ハムだのが贅沢に使われると値段も跳ね上がる。
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【追加雑学①】他の「ジャン」とはどう違う?
中華料理では「醤(ジャン)」がつく調味料が多いけれど、これはタレとかソース状のものの総称。有名な豆板醤もそうだが、いろんな「ジャン」がある。
豆板醤(トウバンジャン)
これがソラマメから作られていることは知っていただろうか? ソラマメと唐辛子を発酵させたもので、200年以上の歴史がある。麻婆豆腐など辛みをつけたいものに使われている。
甜麺醤(テンメンジャン)
小麦粉を発酵させた甘味噌で、ホイコーローや北京ダックにつけることが多い。
苦椒醤(コチュジャン)
韓国発祥のジャンで、もち米が主原料。米の発酵で作るので甘みがあるのが特徴で、トウガラシがきいている甘辛い味だ。
同じ「ジャン」でも原料が色々と違うのには驚きだ。一般的に米・小麦・大豆などの穀物を発酵させるタイプと、エビ・魚など魚介を発酵させるタイプが多いらしい。それに比べてもXO醤がどれほど贅沢な原料を使っているのかが分かる。
【追加雑学②】使い方難民の方へ、おすすめアレンジレシピ
XO醤は材料の旨みが濃縮しているのでとても美味しいのだが、単体で食べたときの味を文字にするのが難しい。「旨み」としか書けないのがもどかしいのだが、加熱せずそのまま食べられるのも特徴だ。
自宅で使えれば料理上手になれること間違いなし! さっそく挑戦してみよう。
一番簡単なのはおつまみ感覚でそのまま使うことだろう。冷ややっこやクリームチーズにのせるとおつまみにぴったりである。おかゆや白飯にのせるのもおいしい。
加熱すると独特の香ばしさが引き立つので、チャーハンや炒め物にももちろんとても合う。レモンを使った炒め物で酸味をプラスしたり、カレー粉と炒め合わせてコクを倍増させる使い方もおすすめだ。
また、焼きそば・焼うどんなどの麺を炒める系の料理に使ってみよう。具と炒め合わせることで一気に贅沢な料理に早変わり! 手軽に作りたいランチも豪華になる。野菜・肉・エビやイカなど、なんでも合うのがXO醤の強みだ。
雑学まとめ
使い慣れない調味料ながら、意外と簡単に取り入れられるXO醤。野菜炒めに足すだけでもおいしいので、むしろ料理初心者にはありがたい。
それにしても、みずから「最・高・級!」と主張しているこの調味料。誕生から三十数年で世界的に有名になっているから、名前負けはしていない。
生誕から同じくらい経過している筆者の知名度と比べると…なんだか悲しくなってきた。今夜はXO醤チャーハンを作って食べてやろう。