ヤドカリのお引っ越し。まるで絵本の題材にでもなりそうな話で、その言葉の響きを聞いただけで、可愛らしくてワクワクする。
ヤドカリの名前の由来は、空になった巻貝の殻に住みついて生活していることから、「宿を借りている」という意味で、ヤドカリと付けられたそうだ。そのまんまな名前なのだが、貝殻を宿とたとえるところになかなかのセンスを感じる。
このヤドカリ、じつは貝殻から貝殻へと引っ越しをするというのだ。自分で家を作ることはなく、空き家を探しては引っ越すらしい。
今回は、ヤドカリのお引っ越しの様子をのぞいてみよう。
【動物雑学】ヤドカリの引っ越しについて解説!
【雑学解説】ヤドカリは成長して窮屈になると、より大きな貝殻を探して引っ越す
そもそもヤドカリはカニやエビの仲間だ。
卵から孵化したばかりの赤ちゃんヤドカリは水中を漂い、何度も脱皮をして成長する。そして、空き家になった巻貝の殻を見つけて、自分の家として拝借するのだ。
「なぜ殻を背負って生活するのだろう?」と疑問に思う人も多いだろう。ヤドカリ類は、お腹の部分が非常に柔らかいため、体を防御するために貝殻を借りてガードしている。
自分に合った空き家が運よく見つかればラッキーだが、なかなか見つからず水中を漂っているうちに、魚などの他の生き物のエサになってしまうことも多いようだ。
殻を背負うようになっても、ヤドカリは脱皮をしながら成長を続ける。とうぜん殻は窮屈になり、大きくなった体に合う新居を探して、引っ越しをするというわけだ。
適当な大きさの貝殻を見つけると、まず自分のハサミで入り口の大きさをチェック。これは自分がこれから引っ越すために、玄関の大きさを測るようなものである。
次に貝殻を転がしたり、中にハサミを入れたりして、貝殻の中の砂などをかき出す。中をきれいに掃除をして準備が整ったら、自分が背負っている貝殻から新しい貝殻へと移動し、引っ越し完了!
大きさをはかり、中を掃除する。ヤドカリって、こんなに慎重だったのか…。またしばらく生活する新居だものね。
こんな映像、初めて見た! 引っ越す瞬間は、けっこう素早い動きをする…。
見つけた新居が気に入ったようで、すっぽりおさまる姿が、なんとも可愛らしくて笑ってしまった。
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【追加雑学①】ヤドカリの引っ越しは命がけ
先にも述べたが、ヤドカリのお腹の部分は非常に柔らかい。
殻から出ているときには、ほかの魚などの絶好のえじきになってしまう。また、もたもたしていると、せっかく見つけた新居をほかのヤドカリにとられてしまうことも。「宿無し」になってしまっては大変だ。
ヤドカリは殻を背負っていないと生きていけない…。新居を見つけたら素早く引っ越す! ヤドカリの引っ越しは命がけなのだ。
なるほど…。ふだん殻を背負って生活しているヤドカリにとって引っ越しとは、新居を見つけたわくわく感よりも、不安のほうが大きいのかもしれない。
【追加雑学②】ヤドカリは、お古の巻貝の争奪戦をすることもある
新しい貝殻が見つかったヤドカリがいれば、とうぜんお古の貝殻は空き家になる。
ヤドカリは、自分の体が大きくなれば引っ越さなければならない。ちょうどいいサイズの貝殻が見つかれば、なんとしてもゲットしたいわけだ。そこへ、同じサイズのヤドカリが現れる…。
じつは、このように空き家を待っているヤドカリたちが、争奪戦をすることもあるという。見つけた殻が空き家の場合、その殻を取り合うのだ。ゲットできなかったヤドカリは、また空き家を探すしかない。
また、ヤドカリ界の中でも荒手のヤツがいるようで…。
すでにヤドカリが住んでいるのに、「その家よこせ!」と言わんばかりに、自分が背負っている殻をぶつけるなどして、追い出し横取りするものもいるんだとか。
どこの世界にも、どうしようもないヤンチャ者がいるものだ…。追い出されたほうのヤドカリが心配になる。すぐに家が見つかればいいのだが…。
雑学まとめ
初めて知ったヤドカリのお引っ越し。ずっと同じ殻を背負っていると思っていたが、じつは成長した体のサイズに合わせて、殻のサイズも大きくしていたのだ。
また、殻の争奪戦まで繰り広げられているとは…小さなヤドカリの世界でも、家をゲットするために必死。
わたしたち人間も家族が増えて、大きな家に引っ越すことがある。自分に見合った家を見つけたら、まずは大きさを慎重に確認し、中をしっかり掃除して…いざ引っ越す時は素早く! これ覚えておこうっと。