前人未到…未踏峰…誰も行ったことがないというのはなんとワクワクすることか。
ただ、実際にそのような場所に行くことは簡単ではない…。だからこその前人未到なのだから…。
でも疑似体験をすることなら、少しの勇気と準備があれば可能だ。
みなさんは雪山登山をしたことがあるだろうか?
足あと一つなく風の音しか聞こえない銀世界や、自分と登山クルー以外の生命が全く感じられない空間は、誰も行ったことがない地に足を踏み入れている錯覚を私たちに与えてくれる。
また、そこにたどり着くまでの達成感も普通の登山とは比べものにならない。雪がないときなら10分で行ける行程が、雪山登山となると1時間以上かかってしまうこともあるくらいだ。苦労して登頂したときに見る景色も最高だ!
しかし、雪山登山には危険がつきもの。山の天気は変わりやすいとよくいわれるが、快晴で出発したアタック中に、急な猛吹雪に見舞われることだってある。
方向感覚もない中、なんとか風雪をしのげる場所を探しだす。なんとかこの場所で天気が快方に向かうまで耐えるしかない…。しかし…避難場所を見つけだしたことからの安堵感からか…急に睡魔が…。そのとき、クルーの1人が叫ぶ!
「寝たら死ぬぞ!」
ドラマなどでよく見るシーンだがみなさんはご存じだろうか…。
雪山で寝たら死ぬ…なんてことはないのだ! ということで今回は、雪山に関する雑学を紹介していこう!
【自然雑学】雪山で寝たら死ぬのは嘘
【雑学解説】むしろ寝た方がいい場合もある
秋口を想像してほしい。夜間は肌寒くなりつつあるが、まだ日中には夏の陽気すらあるそんな日。夏のころそのままに、かけ布団もせず眠ってしまう…そして夜中…歯をガチガチいわせながら、目が覚めてしまう!
そんな経験がみなさんにもあるのではないだろうか。
そう! 寒いところで寝てしまっても、人間は目を覚ましてしまう。だから雪山で寝てしまったとしても、寒すぎて起きてしまうから、寝たら死ぬなんてことは基本的にはないのだ。
むしろ遭難時には、できるだけ体力を温存したい。だから風雪をしのげる場所で、寝袋や毛布なんかがあれば、寝て体力を回復した方がいい。
ただし衣服が濡れてしまっていたら、そのままだと気化熱で体温が奪われていくので、着替えるか乾かすかしてから寝ることにしよう。
実は、「寝たら死ぬ」は嘘だが「死ぬときに眠ってしまう」は本当の話。これは安らかな死に方するとかそういう話ではなく、寝ることが原因ではなく、死ぬまでの過程に存在しているということだ。
人間は雪山などで体が冷えてしまうと、低体温症というものにかかる。これが遭難時に死んでしまう主な原因だ。その低体温症の初期症状に「眠たくなってくる」というものがある。
体力がない状態で低体温症にかかり、眠ってしまうと、体を暖めることに使うエネルギーもないので、臓器が冷えて活動が停止して死んでしまう。これが眠っているあいだに起こってしまうことで「寝たら死ぬ」という流れができてしまったのである。
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【追加雑学①】遭難したとき人肌で暖めた方がいいのも嘘
男子諸君…すまない…みんなの夢を壊してしまうかもしれない…。
意中の女の子とウィンタースポーツを楽しむ中、突如猛吹雪に襲われる。ようやくみつけた山荘で、一夜を過ごすことに…。猛烈な寒さで凍えてしまう…。こうなったらお互いを人肌で暖め合うしか生き残るすべはない…!
これは嘘。服を脱いでしまうことで熱を逃がしてしまうし、人肌と接していない背中などから熱が奪われていくため、むしろやらない方がいい。
ただし、普段着で雪山に遭難して服がずぶ濡れ…。という状況なら、服を乾かしているときに人肌で抱き合うことは効果的かもしれないぞ!
…つまり…普段着でスノーボードとかのウィンタースポーツを楽しめばいいのか! 恥ずかしいだって? 大丈夫! 昔はスーツ姿でスキーをしている人もいたから平気だぞ!
【追加雑学②】夏の山でも凍死するので注意
凍死というのは、低体温症で死んでしまうこと。これは夏の山でも起こるので注意が必要だ。
登山中に急な雷雨に見舞われ服が濡れてしまう。そのままの状態でいれば、気化熱で体から体温が奪われていく。それに標高が高い山はやはり寒い。そうなると低体温症になってしまい、そのまま身動きが取れなくなり死んでしまう。
こうならないためにも、着替えなどの十分な防寒・防雨装備や、できるだけ体力を蓄えるためにチョコレートなどの非常食を用意していこう。あと、できるだけ体調が万全のときに登山を楽しむようにしていただきたい。
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雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。まさかドラマなどでよく見るシーンが実は嘘だったとは…。でも「眠たくなって寝るってことは低体温症の可能性があるから、体を暖めないと死ぬぞ!」っていうのもまわりくどい…。「寝たら死ぬぞ!」といわれる方がインパクトがあって危機感が生まれるな。
それよりも問題は…私には「寝たら死ぬぞ!」なんていってくれる友人がいないってことだな…。むしろ隣でほくそ笑んでいそうだ…。あっ…そもそも登山に誘える友人もいなかった…。