ヨーロッパ 驚き

ドイツの教会で演奏されている曲は終了まで639年かかる【動画】

雑学カンパニー編集部

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終わりのない「楽曲」がドイツで演奏されているという雑学

皆様は音楽をどれだけ聴くだろうか。好きなCDをかけて作業をしていると、聴き終わるともうこんな時間になっていたのか! などと驚いてしまうこともあるだろう。

音楽の演奏時間というのは様々で、一般的なJPOPなら5分程度のものが多いし、一昔前のプログレッシヴ・ロックなどというジャンルになると、30分近い楽曲など当たり前のように存在する。

しかし今回雑学として紹介する曲は、そんな演奏時間など比にもならないレベルでとんでもないものだ。実質永遠に終わらない楽曲である。どんな曲か気になるだろう、そもそも本当にそんな曲があるのか?

あるのだ、そういう曲が…。

【世界雑学】終わりのない「楽曲」がドイツで演奏されている

ゆっくり演奏し続けるため、実質演奏時間が無限の終わりがない曲が存在する!

【雑学解説】終わるのに639年かかるオルガン曲は、現在もドイツの廃教会で自動演奏中!

終わるのに639年かかるオルガン曲は、現在もドイツの廃教会で自動演奏中というトリビア

ジョン・ケージ

639年という膨大な演奏時間がかかる曲は、ジョン・ケージ作曲の「Organ2/ASLSP」というタイトルの曲だ。ジョン・ケージといえば、実験的な楽曲を数多く作ったことで有名である。以前筆者は「弾かないピアノ曲」というトリビアを書いたことがあるが、これもジョン・ケージの曲だ。

タイトル中の「ASLSP」とは、As Slow as Possible(可能な限りゆっくり)という意味で、とにかくゆっくりと演奏することが指示されている。演奏時間は奏者に委ねられており、1分で終わらせても1時間掛けても良い。とにかく好きにして良いと、何だか大雑把すぎる気もするが…。

この639年という時間で演奏するというものは、ケージが指示したわけではなく、ドイツのとある団体が企画したプロジェクトで行おうとしたことで出された時間なのである。

1997年にこの楽曲の「ASLSP」は、ドイツの音楽評論家や研究者の会議の中で、実質無限に演奏が可能と結論が出た。「ならばとにかく長い時間をかけて演奏をしよう」と、いわれたことがプロジェクト発足のきっかけだ。

団体の計画上では、ドイツのハルバーシュタット教会で演奏することを想定しており、この教会に常設オルガンが設置された1361年から、プロジェクト発足の2000年までの「639年」に相当する年月をかけて自動で演奏しようとしており、現在この今もドイツで演奏中だ。

演奏は2001年9月5日に開始され、2003年2月5日までは楽譜が休符を示していたため、無音状態が続いていた。さて、気になる終了予定日は2640年9月5日だ。もはやこの画面を見ている皆様も、筆者も、プロジェクト発足者たちも居ない状態になるが、果たして終わりの瞬間はどうなるのだろうか。

また、公式サイト「Organ2/ASLAP」からは現在奏でられている音を聴くことが可能だ。興味がある方はぜひ見ていただきたい。

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【追加雑学】この曲のコンセプトは「忙しい現代社会の時の流れに反発する」というもの

ここで、どのような様子で演奏されているのか、曲の音が切り替わる瞬間の動画を観ていただきたい。

ふいごを利用し、自動で音を鳴らすようにしているが、音の切り替えは人が行うのである。音が切り替わった瞬間、人々の拍手に包まれる映像だ。これを600年以上続けるのかと思うとなんと気の遠くなる作業だろうか。

またこの曲のコンセプトは「変化の早い現代社会における平静と緩慢な時の流れの再認識」だそうだ。

…うーん、せわしなく生きるだけでなく、ゆっくりと人生を楽しむことも忘れずに、ということなのだろうか? さすがに639年は長すぎる気もするが、意外に奥が深い。

奇妙な曲が満載!ジョン・ケージの珍楽曲一覧

可能な限り長く演奏を支持する楽曲を作曲したジョン・ケージ。彼はとても不思議な曲をたくさん作曲してきたことでも有名だ。筆者はこういう変わり種の音楽が大好きで、いろいろと調べてしまったので、いくつか紹介しようと思う。

  • 「4分33秒」…タイトルの時間だけ、ピアノの前に座り、何も弾かずに退場するだけの楽曲。
  • 「0分00秒」…4分33秒の第2番。一瞬で何も弾かずに終わる曲。
  • 「ラジオミュージック」…ラジオのノイズ音や、放送された声などを組み合わせて造られた音楽。
  • 「増幅されたトイピアノのための音楽」…おもちゃのピアノの音を主軸にヤギ(?)や、ガラスの割れる音が聞こえる曲。
  • 「龍安寺」…京都にあるあの龍安寺のことである。実際に訪れて感銘を受けたケージが造った、和の空気を感じ取れる一曲。演奏時間60分。

雑学まとめ

演奏終了まで639年だと…?ドイツの教会で演奏されている曲がスゴいという雑学まとめ

ジョン・ケージ

今回の雑学、いかがだっただろうか。639年というあまりにも長い演奏時間であるため、絶対に聞き終わることのない楽曲は、本当に存在した。

ジョン・ケージの作品は風変わりというか、前衛的というか、そのような空気の溢れるものが多いが、必ず何かしらの意味をもって作られた、実験音楽なのである。

このオルガン曲にしろ、4分33秒にしろ、目まぐるしく移り変わる時間を生きる我々に投げかけた、メッセージ性のようなものは共通するところがあるのではないかと思う。

忙しい毎日を送っている方は、今一度ジョン・ケージの楽曲に耳を傾けてみるのもよいのではないだろうか。

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